あなぐら 其ノ弐

ここは一体どこだろう。
洞窟にいたはずなのに、何故か自室の和室に寝転ばされ、宿敵の成すが儘にされている。

「っは……うん、ン…」
「んふぅ…っガメラさん……」

舌先が絡めとられ、粘膜の擦れる音が室内に響く。苦しさで身を捩ろうとすると、何処からか赤い触手が数本か生え、やんわりと手首を拘束した。

「っあ……」

更には脚すらもそれらに拘束され、雌としての恥部が露になる。なのに抵抗できない。
何故だ、何故、私はこんな所にいて、こんな事をされている?そう相手に投げかけようとした途端、口移しの形で咥内に何かを入れられた。

「……んんっ!?」

強引にねじ込まれ、思わず体が強張ってしまう。しかも液体だったらしく、生暖かい感触が喉奥に広がった。

 

ごくん。

 

飲み下したのを確認すると、イリスはようやく口を放し、恥部を隠す事も適わないままのガメラを一瞥して言い放った。

「…飲んだわねガメラさん。“この中”でいっしょに、愉しみマしょウ?」
「何…?それはどういう……」

聞き返す前にイリスの姿は闇に消えたと同時、それを目で追う間もなく突然秘部から擦り上げられるような快感がガメラの体を襲った。

「んああぁぁっ!?」

思わぬ感覚に声が上がった。それを合図にソコからはびちゃびちゃと淫猥な水音を立てて、敏感な箇所を何度も愛撫される。

「んな、っなんだこれ…やめろ、やめてくれぇ!…はっ…あぁあ……!」

快感と同時に時々混ざるくすぐったさに身を捩ろうとすれば敏感になった秘豆を扱かれ、無理やり声を上げさせられる。
何とか動く上体を起こしつつ下腹部を見ようとすると、眼前に何かが突き付けられた。

―――蛇?ちがう、これは………!

琥珀色の光を放つ幾本かの触手が鎌首をもたげ、その切っ先は今にも飛び掛からんばかりに自分を見下ろしていた。

―――私を、殺そうとしている?そんな……

「く、来るな…くる、んっ…んんぅ……!」

怯える間もなく触手達はガメラの体に巻き付いた。
ある触手はガメラの両乳房に螺旋を描くかの如く巻き付き、ある触手はガメラの口内に入り込み、そしてまたある触手は逃がさないと言わんばかりに彼女の四肢を捕らえるとそのまま空中に固定した。

重力に従って緑の髪が地面に垂れ、和室―――だった奇妙な空間には宙づりにされた淫猥な影が出来た。

「んぷ…ンむぅ……っっ!!」

羞恥に浸る間もなく乳房の隅々をやんわりと嬲られ、たまに強弱をつけて締め付ける。それすらも快感に変換されると、今度は頂の小さな果実を触手の先端で弾かれた。

「っあ!?ぁふぅ……!」

自在に乳房を弄繰り回され、相変わらず局部からも執拗な愛撫を受ける度、そして喉奥を時々刺激される毎に皮肉にも溢れ出る雌の果汁は触手の蹂躙を許してしまう。その内四肢を拘束していた触手も、内腿を何度も舐り始めた。

―――嫌だ…動かないでくれ…!

こんなの、気持ち良くなんかない。私は感じてなどいない。逃げたい。心中で嘆いた直後どぷんと、口内に再び何かが注がれた。

「うぐ…ぅむうぅ!う゛ーっ!?」

思わず深緑色の目が見開く。先ほどイリスに口移しされた液体と同じ、奇妙で淫靡な味と匂い。
反射的に餌付こうとすると口内に埋まった触手は吐き出すのを拒むかのように、激しい抽迭運動を繰り返した。

「ん゛ぶぅっ!ご…っぁ゛め…、うぅ゛っ!ぐ…!」

じゅぽじゅぽと口内を犯されている内、仰向けにされているせいで溢れた涎は口元を濡らし、髪までもぐしゃぐしゃになる。
汚らしいはずなのに体は被虐を欲しがるかの如く疼いてしまい、その情けなさにガメラの目から涙が溢れた。

―――助けて…!でないと私は………

このままでは窒息してしまう。それならいっそマナが減る覚悟で必殺技を打たなければ。苦しさに耐えつつガメラが丹田に力を籠めると、じゅぽん、と口元から音が上がり、忽ち口内の異物感が消えた。

「っは……!げほっ、げほっ」

ようやく入ってきた新鮮な空気に咳き込み、先ほど流された液体を僅かながら吐き出す。
宿敵の窒息、或いは必殺技の気配を察して怯んだのだろうか。しかし、それは誤算だった。

「……っ!?か、躰が…!」

どくん、と自らの中で一際大きな鼓動が鳴り、忽ち自らが心臓になったかのような動悸がした。炎のエネルギーを摂取した時とは違い、躰の芯が燃え上がるように熱い。
一体なぜ。思い当たる節はひとつ、先ほど飲まされた液体だ。途端に必殺技を打つどころではなくなり、目を瞑って熱に耐えようとしたところ、開かれた雌蕊の入り口に違和感を感じた。

触手が、入ろうとしている。処女を喪って間もない箇所に。

「だめ…挿入れないで……」

手足を動かせない代わりに、命乞いさながらに拒む。しかしそんな哀願も聞かず、ぐぽ、と音を立てて切っ先が頭を突っ込んだ。

「っひ……ぅあああぁぁあっ!」

挿入された瞬間にも熱は治まらないままで、寧ろ擦り上げれれば擦り上げられるほど情欲は一層激しくなってゆく。

―――私の体、感じてしまっている!?嘘だ、こんな、こんな…!

未熟な胎内が軋みを上げ、それでも溢れる愛液を潤滑油に進めば、到達した事のない箇所に止まり、その場でぐりぐりと捩れ始める。ソコは弱い箇所だったらしく、刺激を与えるときゅんきゅんと締め付けてきた。

「も、むり…そこはぁ……ひぃいっ!あはぁっ!」

それを合図に、触手は再び体を嬲り始めた。乳房は一層強く捏ね上げられて奇妙な輪郭を成し、そそり立った果実を絞り上げる。その痛みと刺激にガメラの口から絶叫が迸った。

「や…やめ、嫌、嫌あぁあっ―――!」

 

 

 

「ん…ふぅ……ガメラ、さん…!」

ぴちゃぴちゃと、洞窟内で淫らな水音が響き渡る。イリスの開かれた内腿は既に自らの愛液と潮に塗れていて、勿論その先はぐちゃぐちゃに浸されている。そしてそこから漂う雌の匂いすらもフェロモンとなり、何度達したかも判らない体をぞくりと震わせた。
勿論ドレスは既に脱ぎ捨ててあり、彼女は独り生まれたままの姿で乱れ狂っていた。

―――最初は嫌がってたのに、もう感じてるのね。私にも伝わってくるわ。

瞼を閉じれば触手に弄ばれて淫靡に喘ぐ宿敵の姿が視界に浮かび、少し集中すれば体内から聞こえてくる愛おしい宿敵の嬌声が聴覚を犯す。それらは当然自らを高ぶらせる“媚薬”となり、指先を―――先刻宿敵の処女を貫いた箇所を――何度達しても飽きない貪欲な胎内を嬲り始め、激しく抜き差しした。

「あんっ!も、もっと聞かせてね、っ…!貴女の…っ素敵な痴態……」

私が意識を落とすか、飽きるまで。心中で呟いた直後、イリスは躰をのたうち回らせながら幾度目かの絶頂を迎えた。

 

 

「はっ、あぁ…やめろぉ…も、イキたく、な……あんっ、あはぁあ……!」

今やガメラは犬の如く四つん這いにされ、後ろから何度も触手の抽迭を受けていた。
彼女の中を蹂躙していた触手は今や二本に増え、前だけでなく後孔をも堪能し始めていた。時には思い切り押し広げたり、掻き回したりと動きはバリエーションに富んでいる。
乳房を嬲っていた触手はなくなったものの、露になった尻尾にはそれが巻き付いており、休ませないと言わんばかりにぎゅっと一際練り上げられれば甲高い絶叫が上がった。

「はひぃっ!ぁがあ……っ‼や、やめ、てぇ…!」

弱弱しい声を上げるとそれに呼応するかのように触手が一層奥に入り込み、彼女の弱い所を激しく刺激する。たまに膣内に埋まっている触手が子宮を舐ると、無意識に潮を噴いた。
何度こんな単調ながら淫猥なやり取りを繰り返されたのだろうか。あまりの感覚に時々失禁しても許してくれない。

「嫌…!また、っまたイってしまうぅ!やだ…いやあぁっあぁああ‼」

絶叫に合わせて触手が奥を貫いた途端、びくん!とガメラの体が仰け反り、内股をがくがくと震わせながら達した。
同時に中に埋まっていた触手も、種付けのつもりなのか得体のしれない生暖かい液体を分泌してゆく。

「あっあぁ…だめぇ……はへ、入ってくるなぁ……!」

もう何度こうしているだろうか。情欲が治まらないまま触手に何度も犯され、無理やり高みに昇らされ……少しでも逃げようとすれば喉奥に触手が入り込み、あの催淫作用入りの液体を飲まされた。

「んんっ…ぐ……ぅう……っっ‼」

飲みたくない。もう熱いのも達するのも嫌だ。目を瞑ると大粒の涙が頬を伝う。

 

―――助けて…!私は一体……どうなってしまうの…?

 

答える者はもちろん、いない。そして再び体を襲う熱を味わう前に二穴を思い切り突かれ、ガメラは嬌声交じりの慟哭をこの淫猥な異空間で上げたのだった。