あなぐら 其ノ壱

「あ…っはぁっ……」

一体どうしてこうなった。私はなぜここにいる。
朱い触手に捕らわれた手足は虚しく宙を横切るばかりで、何の抵抗もなさない。
その間にも、局部に入り込んだ指先は荒く蠢き、私の弱い箇所を何度も刺激している。

「ほらガメラさん…どうせ此処には誰にも来ないし、思う存分声を上げても良いのよ?」
「……っ、誰が…!」

四肢を動かせない代わりに、目だけで相手を射殺さんばかりに睨み付ける。しかし、そんなささやかな抵抗すら許さず、イリスはガメラの乳房に幾本の触手を巻き付かせる。

「あっ……うぅっ」

痛さと僅かな快感にガメラの体が小さく震える。触手の先端がソコの頂―――ツンと尖った乳首を転がし始めたのだ。

「あらあら。まだほんのちょっと触っただけなのに……もうこんなにして」

喉で笑いながら、イリスは更に激しく無垢な秘部を攻め立てる。その度にガメラは小さな悲鳴を上げ、体を震わせた。

「さ、触る、なぁ…!貴様、今に焼き殺して……ッ!」
「ガメラさんったらこんな時でも相変わらず強情ね。今にそんな顔できなくしてあげる」

直後、朱いそれらは巻き付いたままで荒々しく乳房を揉みしだき、余った無機質な切っ先も、ぴんと尖った突起を嬲る。

「ぅあっ!?や、やめ……あぁあん!」

突然の激しい攻め立てに思わず甘い声が上がると同時に、イリスの指先は一層胎内を強く掻き回し、甲高く淫靡な水音を立てる。これが室内や森の中ならまだしも、此処は人っ子一人入らない洞窟内だ。嫌でも卑猥な音は反響し、ガメラの聴覚を侵す。
だがそれでも尚、彼女は気丈にも歯を食い縛り耐えていた。

「くっ…ふぅっ……!」
「ふふ…嫌々言いながら私の指こんなに咥え込んでる。貴女、処女の癖して案外好きモノじゃないの?」
「だ、黙れ…っあ!はっ、早く…抜けぇ…!」

毅然と言い放ってみるものの、どうやら余計に相手の劣情を煽った様で、更に指はずぶずぶと奥に入り込んでくる。その感覚にガメラは躯を仰け反らし、再び終わりのない愛撫に身悶える。
と、その時、先ほどまでガメラの胎内を探検していたイリスの指先が何かにつっかえた。

「…どうやら、ここ処女膜みたいね」
「……っ!」
「暗がりで余り見えないけど、ガメラさんの初めて奪っちゃおうかしら?破瓜の血の色も緑だったりして」

ガメラにとって死刑宣告にも近い事をくすくすと笑いながら告げられると、彼女の中に僅かに残った理性が警鐘を打ち鳴らす。

―――い、嫌だ!

そう判断した彼女は必死になって拘束から逃れようと藻掻いた。が、イリスはすかさずガメラの両足首に触手を巻き付け、思い切り左右に開かせ、イリスの方に向けて強引に向かせる。
淫らにヒクつく薄紅の花弁が数本の指を咥え、それでいて臀部を伝って愛液を垂れ流している……痛がっていても、もうすっかり慣れた様子だ。勝利を確信したような笑みを浮かべつつ、イリスは指を三本に増やすと、今までと変わらずぐねぐねと胎内を犯し始めた。

「ひぃあっ!や、やめろぉ……!そこだけは…それだけはぁ……!」

最早恥も何もかも捨てて泣き叫ぶガメラであったが、そんな彼女にイリスは容赦なく、「駄目よ」と一言だけ冷たく吐き捨てると更に奥へ突き進み、膜をごりごりと引っ掻く。
蛇が入り込んできたかの様な感覚にガメラはビクビクと体を波打たせ、同時に少しでもイリスの指を抜かせるべく胎内を強く引き締める。しかし、その抵抗虚しく膜はぎりぎりと嫌な音を立てて軋んでいた。

「か…あ゛っ…や…やめ…で…!い、っ痛い……!」

内壁から刺す様な激痛が襲う。その際にガメラは涙を大量に流しながら、何度も首を激しく横に振った。しかしそれでもイリスは許してくれそうにない。寧ろ楽しそうに無理やり指先を前後左右に動かして、ナカに残された最後の防壁を突き破ろうとしている。

「何云ってるのよ、膜があったらこの先楽しめないじゃない」
「そんな……ひぎィッ!?」

ガメラの短い悲鳴が立つと同時に、膜がみり、と裂けた。そこから更に指が入り込む度、ブチブチと表面が大きな亀裂を成し、緑色の血を噴き流す。
ここまで来ると最早ガメラは声にならない叫びを上げながら、局部からの狂いそうな激痛にむせび泣く。
そして、見慣れた柔らかい凶器が緑色の体液を引きながら一端抜かれたかと思うと、駄目押しの一撃が鈍い音を立てつつ胎内を突き上げた。

「か……あ゛ぁああぁあ゛ぁっ!!」
「初めてハッキリ声を出したわね…最初からそうしてれば良かったのに」

イリスが勝ち誇った様に呟くと同時に、ガメラの胎内に収まっていた指が全て引き抜かれ、愛液と血が混ざった雫がひたひたと垂れる。その直後にイリスはさも熊が取れたての蜂蜜を舐めるが如く、ねっとりとそれを舌で味わった。
本来は苦くて不味い筈なのに、舐めれば舐めるほど甘美な味わいが口一杯に広がる。

「ふふ…やっぱりガメラさんの血は美味しい……そこらの缶詰やニンゲンの体液なんて比べ物にならないわ」
「はっ……う゛あ…ぁ…!き、貴様…ふざけた真似を…ッ!」

嗚咽交じりで尚も抵抗の意を崩さないまま睨み付けるガメラを余所に、イリスは一端味わうのを止めると彼女の頬に汚れていない方の手を添える。涙の跡が残る顔にそっと指先がそれを慈しむ様に拭い取った。

「泣かないで、ガメラさん。貴女が泣くと私も悲しいわ」

頬のみならず、涙でベトベトになった髪を梳き上げながらイリスが優しく囁く。だが、その優しい言葉の裏には、決してガメラを解放する気がなく寧ろ期待に満ち溢れたような心持が含まれていた。直後、イリスの腹部にある黄色い発光体がハエトリ草の如く互いに口を開き、苦痛の余韻と触手の拘束で動けないガメラの躯を下肢から飲み込んだ。

「っあ………!?」
「せっかく女になったんだし、その痛みが消えるまで私の体内で楽しみなさい」

何時出られるかは私の気分次第だけど、と付け足すと、ゆっくりとガメラの躯を飲み込んだ。

――い、嫌だ!嫌だ!離せ!誰か……!

まるで食虫植物の餌食となった獲物の様にガメラは抵抗できないまま、雌蕊から来る激痛に耐えながらも、これからイリスの体内で行われる事が訳の解らない空間でじわじわ捕食されるのか、それとも足腰立たなくなるまで“何か”で嬲られるのか見当も付かないまま、そっと意識を閉ざした―――。