霞色の夢見心地と若葉色の決意

あの日から、幾年経った。

ゴジラが機龍の暴走を止めるべく怪獣島を後にして間もない頃、インファント島は宇宙からの脅威・デスギドラに襲われ、更には彼の創造主であるグランドギドラの封印すらも解かれた。

グランドギドラはデスギドラに後を託して行方をくらまし、その際に島を守るべく立ち上がった私の母と従兄のバトラは、私の眼前でデスギドラによって殺された。

悲しむのも束の間、デスギドラを討つべく幼虫だった私は傷心のまま繭を張り、幼少の頃から憧れだった成虫になった。
最初に赤かった目はお守りの効能で翡翠色に、茶色の髪と頭部の複眼もそれとほぼ同じ色に染まり、羽は母以上に美しい柄となった。

強大な力を得た事で、そして皆の助力もあって母の仇は討たれた…というより、デスギドラは封印された。誰かが故意に鍵を開けない限り、当分はこの島から出られる事はないだろう。

脅威が去った後インファイト島の住民達は新たなる守護神の誕生だと三日三晩祝福してくれたものの、私の心は未だにぽっかりと黒い穴が空いている。それは怪獣島の仲間達の慰めがあっても、塞がらないままだった。
その原因こそ私の家族を殺されたのは勿論、幼なじみだったあの子が惨劇の起こる数日前にふらりと怪獣島から消えた所為だろう。

ミニラ君…貴方は何処へ行ったの……?

今宵もまた、冷たい寝台の上で帰らぬあの子の事を思っている内に、私は自然と瞼を閉じ、深い眠りにつく。

そして、相変わらずまたあの夢を見始める────。

 

 

先ずお互いに抱擁する所からその夢は始まる。一糸纏わぬ姿で青年の筋肉質な身体を柔肌に感じ取り、彼の背中へと腕を伸ばす。指先にゴツゴツした怪獣王一族特有の背鰭の感覚が触れ、それに気付いたセラフィは顔を上げて青年に問いかける。

「ねぇ、貴方は…行方不明だったミニラ君なの?」
「………」

その質問に青年は答えない。それは今まで見てきた夢の中では何時もの事だった。しかし、今日に限って彼は何か言いたげな表情を浮かべている事に気付く。
どうして口篭っているの?と問おうとした時、いつの間にかセラフィは寝台に押し倒され、その上に青年が覆い被さっていた。
普段なら恐怖で思わず目が覚めてしまうのだが、今日に至っては戦いの疲れからなのか睡魔の方が勝っており、すぐに覚醒できない。おまけにいつもとは違う青年の雰囲気に戸惑うものの、彼が何をしたいのか察したセラフィは静かに目を瞑った。

「んっ……」

唇同士が触れ合うと同時に舌がねっとり絡まり合っていく。互いの唾液を交換し合いながら濃厚なキスを交わす中、青年の手が彼女の胸元に触れていく。
たわわに熟れた豊満な乳房に手を這わせられれば、セラフィはその度にぴくりと体を震わせ反応を示す。やがて手の動きに合わせて形を変え始めた乳首をきゅっと摘まんだ瞬間、彼女の上体が大きく跳ね上がった。

「ひゃうっ!」

唇が離されると同時、摘まれたそこから甘い電流が走ったような快感が走ると共に、甲高い声が漏れ出す。それが恥ずかしくて咄嵯に手で口を覆おうとするも、その仕草を許さないかの如く反対側の突起を食み、まるで母の乳房を求める幼児の如く吸い付いていく。

「だめ…吸わないでぇ……」

体を仰け反らせて嫌々と首を振るも、青年は一向に止める気配はない。寧ろ逆効果だったらしく、更に強く吸引していく。
ぢゅくぢゅくと音を立てて吸われたかと思えば時々舌で転がされ、時折歯を立てられてはやわやわと噛まれる。
そうしている間にももう片方の膨らみの頂きを親指で擦られ続け、無意識に青年の首の後ろに腕を伸ばしてしまう。

「くぅ……っんんぅ…っ!」

吸われ噛まれた部分がじくじくと疼く。既に全裸の時点で恥ずかしくて堪らないのに、これ以上好きにされるのは耐えられないとばかりに身を捩るも、青年の拘束から逃れる事は出来ずにいた。
そしてちゅぱっ、と青年の口が離れた頃にはすっかり両方のつぶらな果実は固く勃ち上がっており、その先端はセラフィの息遣いと合わせて切なげに震えていた。

「あっ……やだぁ……」

母乳が出る訳でもないのに執拗にそこだけを責められたお陰で何度も弄られたそこは赤く腫れ上がり、セラフィの滲んだ視界には淫らに映ってしまう。
そんな様子にも意に介さず、青年はセラフィの臍周りに舌を這わせる。薄っすらと浮かんだ腹筋の溝をなぞるようにつっと舐め、時に赤い痕を残していく。

「あ……はぁ…っ、だめぇ…ソコは……!」

下腹部から伝わる初めての刺激に顎を仰け反らせ、シーツを掴んで身悶えるセラフィだったが、青年は構わずそのまま腰の方まで顔を移動させると、今度は内腿の付け根辺りに口付けを落としていった。

「ああ……っ」

接吻の感触がじんわりと尾を引き、吐息が敏感な部分に吹きかかると、セラフィの唇からは艶やかな喘ぎが零れる。そして、青年は一旦舌先での愛撫を止めると、両手でセラフィの両脚を大きく開かせた。

「ひっ!? やめて、お願いだから見ないで!」
「………」

セラフィの制止を無視して、青年は顕になった秘所を見つめる。視界には開かれた雌蕊から絶えず蜜がとろとろと溢れており、後孔に伝うまでぐしょぐしょに濡らしていた。余すところなく見られた羞恥心からセラフィの顔はおろか耳の先から足の爪先に至るまで真っ赤に染まり、瞳は涙目になって潤んでいる。
これ以上何をされるんだろう。未知の体験に対する恐怖と微かな期待が入り混じる中、青年は徐に手を伸ばすと真っ先に濡れそぼった花弁に触れた。

「ーーーあっ?!」

ぐちゃり、と音を立てて青年の太い指が花弁を掻き分け、膣内に入ってくる。その異物感にセラフィは思わず悲鳴を上げた。
しかし青年は気にする素振りもなく、ゆっくりと抜き差しを繰り返す。

「やっ、汚いよぉ…抜いてぇ……」

無垢で神聖な箇所を暴かれる恐怖と痛みにセラフィは涙をじんわりと浮かばせ哀願する。だが青年は止めようとせず、それどころか更に奥へとズブズブと突き入れていく。やがて青年の指先が何かしこりのようなモノに触れた途端、今度は中でぐるんと円を描くように動かし始めた。

「あふぅっ! 嫌ぁ…い、痛いってばぁ……!」

狭い中を無理に動かされた事で新たな圧迫感が生まれ、思わずセラフィは翡翠色の髪を振り乱し、甲高い声を上げる。するとそれに気を良くした、或いは彼女の苦痛を和らげる為なのか、青年はぐりっとその一点を集中的に押し潰し、時には擦り上げてきた。

「んぅっ……!だめ…奥ぅ…触らない、でぇ……!」

濁った水音をバックに同じ箇所を執拗に攻め立てられる度にセラフィの体はビクビクと跳ね上がる。やがていつの間にか膣内の痛みと違和感も消え失せ、代わりにじわじわと甘い感覚が湧き上がってきた。

(何これ……怖い…! 何で、こんな…気持良いの?)

自分の体がおかしくなったのかと不安になる。けれども、青年はまるで儚げな壊れ物を扱っているかのように優しく、それでいて的確にその場所を攻め立ててくる。
そして青年は一度動きを止めたかと思うと、今度は二本の指をバラバラに動かすようにして動かし始める。

「あひっ!?」

押し広げられ、弄られる感触にセラフィは戸惑いながらも、徐々に快楽の方が勝ってきた。そして青年の指がある部分を掠めた瞬間、今までで一番大きな快感が体を突き抜け、腰が浮いてしまう。
それを見逃さなかった青年は悦楽の一点を見つけたばかりにそこばかりを狙って擦ったり突いたりを繰り返し、同時に掌の空いた部分で秘豆を擦り上げたりして責め立てる。

「や、やだ…っそこばっかりやめて! おかしくなっちゃうぅ!」

執拗に弱点を弄られ続け、声を抑えるのも忘れて悶え続ける。雌蕊全体から波紋が広がるように全身に痺れが迸り、胎内の奥から熱いものが込み上げて来る。

(何なの…この感じ……穢されちゃいけない場所なのに、もっとしてって思うなんて……!)

頭の中で理性と本能がぶつかり合い、拒絶の代わりに断続的な嬌声が上がる。その葛藤さえも今のセラフィにとっては心地好く、愛しいもののように思えた。

「だめぇえ…これ以上やったら、っ戻れなく…あふっ! なる、から……」
「……っ!」

その一言で青年は動揺したかのように息を詰まらせると同時に糸を引きつつ指を胎内から引き抜いた。

「あぁんっ! は…っはぁ……」

指が引き抜かれると、セラフィは切なげな吐息と共に喪失感から体をぶるりと震わせる。異物の無くなった秘所からは愛液が止めど無く溢れ、薄桃色の花弁をぐしゃぐしゃに濡らしていたが、それよりもセラフィは唐突に止まった愛撫の余韻に浸っていた。

「…どうしたの?急に止まって……」
「……」

体中に燻る熱に息遣いを荒げるセラフィとは対照的に、青年は何やら切なげな表情で黙っている。が、彼の下肢にあるものに息を呑んだ。
雄のシンボル、男性器。そそり立ったソレは目で判る程に熱気を帯びており、あまつさえ鼓動すら聞こえてきそうな程の脈打ちをしていた。
こんなモノが自分の中に入るの?そう思っただけで、セラフィは思わず恐怖に顔が青褪めた。

「む…無理っ、お願いだからそれだけはぁ!」

先刻までの艶っぽい雰囲気は何処へ行ったのか、セラフィは目を背け、半泣きになりながら懇願する。というのも彼女は処女を散らしてしまうとモスラ一族で最強を誇る守護神獣モスラ・レオとしての力を失い、インファント島はおろか世界を守る事が出来なくなってしまうからだ。
恐怖から来る防衛本能でいつの間にか自分の体を抱き締め、閉ざされた膝がガクガクと震えている。
そんな中でも青年は思い詰めた表情から一変して、何を思ったのか涙に濡れたセラフィの頬を優しく撫でてきた。

「な……っ何?」
「大丈夫、怖がらないで」

昔どこかで聞いたその言葉に嘘偽りはない、と言うように青年の手つきは慈しみに満ちたものだった。
しかし、セラフィにとってそれは逆に恐ろしく感じられた。何故なら、母や小美人から厳しく伝えられた掟を欲望のまま破るという事は即ちモスラ族末裔としての最後の希望を捨てるという事になるのだ。

「そう言われても…もし貴方と交合ったら私は守護神獣じゃなくなるのよ? それでも…」
「俺はその力が消えても、君の事が大切だ。俺が守りたいのは他の誰でもない。君なんだ」
「え……!? 」

突然の告白にセラフィは戸惑いを隠せず、そしてこの優しい眼差しには見覚えがあった。

 

 

かつて幼い頃故郷のインファイト島にて宇宙怪獣の襲撃により、父と妹を眼前で失い心を閉ざしていた時の事、傷心を癒すべく母と一緒に出向いた怪獣島の浜辺で、自分は同じ年頃の少年怪獣に遭遇した。
当時はショックで口が訊けない事もあり、眼前には同族以外の初めて見る他種族の怪獣……蝙蝠を模した羽こそなかったものの、その二本足で地を踏みしめて立つ姿が父と妹を殺した相手を思い起こさせるだけに、忘れていた恐怖が蘇ってくる。

―――やだ…来ないで…!

段々顔が青ざめ、砂地を踏む足が一歩引いてしまう。
そんな中でも少年は彼女の様子に少し戸惑ってはいたものの、数秒かしてはにかむ様な笑顔で声を掛けた。

「大丈夫だよ、怖がらないで」

ほんの一言だけだったのに、どういう訳か次第に震えが止まり、恐怖が薄れていった様な気がした。
何故だろう。悪意を感じなかったから?
そして、少年はラーバが落ち着いたのを見るとゴソゴソと胸ポケットから数個の貝殻を取り出す。

「……?」

首を傾げながら、目線をミニラに合わせる。

「これ、今朝海岸で拾ったんだよ。お父さんからモスラおばさんの子供が来ると聞いて、その子のお土産にしようかなって」

最後に、あげると言われ、恐る恐る手を少年の手の中に伸ばす。
とても柔らかくて温かい感触……家族以外の者に触れるのはこれが初めてだった。
同時に、ラーバの口を閉ざしていた「錠前」は自然と解かれ、甲高い音を立てた時、彼女は無意識に言葉を繰り出していた。

「あり…がとう……」

ぎこちない口調だったが、その言葉にラーバは戸惑い、少年は照れくさそうに顔を赤らめる。

「ねぇ、僕の名前ミニラっていうんだけど……君の名は?」
「わたし、は………」

思えば、そこから何もかもが始まっていたのかも知れない。そもそも彼とこうして結ばれる事自体、夢のまた夢の話だと思っていた。
それが今…長い間行方不明だったミニラと、禁じられた一線を越えようとしているなんて……。

 

 

「信じられないけど…会いたかったよ、みー君」

セラフィは彼の背中に腕を回しながら、青年の顔を見て呟く。その表情にはもう恐怖はなく、懐かしさとずっと会いたかった彼に出会えた嬉しさに、じわりと翡翠の目に涙が浮かび、滲んだ視界には幼い頃自分の心を開かせた少年の姿が映る。
そんな中、青年は軽く溜息を吐くと先程と変わらない優しい口調で名乗った。

「……サバイヴ、今の俺の名前だ。いきなり居なくなってすまない」
「ううん、いいの。私、あの日からずっと貴方に会いたくて…でも、もう無理かと思ってたから、嬉しいよ」

セラフィは青年改めサバイヴの首に抱き着き、歓喜のあまり嗚咽を漏らす。そんな彼女をサバイヴはそっと抱きしめると、優しく頭を撫でた。

「泣かないでくれ。君の泣き顔は見たくない」
「ごめんなさい、でも……嬉しくて、止められないの…!」

できればずっとこの温もりに包まれていたい。しかし、未だに嗚咽を漏らし続けるセラフィを見かねたのか、サバイヴは彼女の唇を塞いだ。

「んっ…ふぅっ……!」

一瞬驚く彼女だったが、すぐにその行為を受け入れると舌を差し出し、絡み合う。忽ち力が抜けると同時に不安や恐怖が紛れていき、代わりに絶え間ない幸福感で満たされていく感覚を覚えた。

「ぷはぁっ……!」

やがて長い口づけが終わると、セラフィは潤んだ瞳で見つめる。
その表情を見たサバイヴは再び彼女の身体を引き寄せ、両脚を割り開くとその間に腰を落とし、ゆっくりと挿入していく。

――ああっ、入ってくる…男のモノが、私の中に……!

指とは比べ物にならない剛直の熱と硬さ、そして破瓜の痛みに今まで体験した事のない感覚を覚えながらもセラフィは目を閉じ、彼の首に両腕でしがみつく。
やがて、先端が入ったところでサバイヴの動きが止まったが、それも僅かな時間だけだった。
彼は少しだけ顔を歪めつつもそのまま腰を前に進め、奥までずぐ、と一気に貫き、遂に二人は一つとなった。

「あぁ゙…っ!!」

結合の後に来るのは歓喜ではなく処女膜を破られた痛みと禁忌を侵した罪悪感だった。それらの苦痛に耐えられずセラフィはくぐもった悲鳴を洩らし、きつく瞑った目からはボロボロと涙が溢れる。

「痛いか?」

心配そうに訊ねる彼にセラフィは首を横に振る。

「ぅぐ…っ平気……少し驚いただけで……。続けて、私は大丈夫だから」

返答を聞いて安心したものの、やはりその表情は未だに苦痛に歪んだまま、作り笑いすらできない様子だった。
そこへ、ほんの気休めにはなるかと思い、サバイヴはセラフィの両手が自らの背中に届くように、徐に上体を低く下ろす。

「辛かったら、何時でも爪を立ててもいい」
「っ、ありがとう……」

そのお陰か、セラフィはどうにか笑顔を浮かべて礼を言い、ゆっくりと手をそこに回して彼を抱き締める。
彼の体温を感じている最中に、「動くぞ」という言葉を引き金として未だ疼痛の残る胎内がゆっくりと引き抜かれる感触が伝わり、思わず声が漏れてしまう。

「は、あん……!」

このまま抜かれる?と思った矢先に、肉棒が膣壁を引っ掻きながら外へ出る寸前で再び押し込まれ、また引き抜く。この動作が何度も繰り返されるうちに結合部から愛液と血が混ざり合ったものが零れ落ち、シーツを穢す。

「ひゃ、あうぅ…っ! い、痛いぃ……!」

苦痛を伴ったままの胎内を慣らされるような動きが却って切なさを齎し、抱き締めている背中に爪が立つ。男根の先がセラフィの敏感な箇所をずり、と刺激した瞬間、中から甘い電流を伴い、息が詰まるかの如し快感が彼女の体中を襲い掛かった。

「ひぅっ!?ああぁっ!」

焦らされていた反動からか思わず大きな喘ぎを上げてしまい、羞恥心で顔が真っ赤に染まる。しかし、それに気付いたサバイヴはセラフィを優しく抱擁すると頭を撫で、先程より深く突き入れる。再び彼女の体中に快楽のスパークが弾けた途端、今度は苦痛から漏れる声ではなく、悦びに満ちた艶やかな嬌声が上がった。

「あぅっ!あんっ! ふ、深ぁっ……!」

サバイヴの腰使いはセラフィを労わるかのように緩やかだったが、歓喜の徴として溢れ続ける愛液で抽挿を円滑なものへと変えていた。そこには最早痛みはなく時々子宮口を突けば豊満な乳房が揺れる程に体が仰け反り、気を抜くと意識を失いそうになる程の愉楽と幸福感に満たされていく。

「ぁふっ!あぁ!は、激しいよぉ……! こんな、っ壊れちゃうぅ!」

先程までの穏やかなピストンとは打って変わり、サバイヴは荒々しいまでに激しく、力強くセラフィを突き上げ始めた。その際に聞いた「壊れる」という言葉でまたもや苦痛を和らげる為なのか彼女の乳房を強引に掴み、柔らかさを掌で堪能しつつ指先でツンと立った乳首を頻りに摘まむ。

「ひゃうぅっ!? あぁんっ! ま、また強く揉んじゃやだぁ……!胸、っ弱いのにぃ…っ!」

弱点を揉みしだかれ、より鋭敏になった胸の先端が乳輪もろともコリコリと捏ねくり回され弄られるたびにセラフィは悶絶すると同時膣内がきゅっと締まり、肉茎をより締め付ける。
その度にサバイヴは若干苦しげな表情を浮かべたが、それを振り払うように抽迭を繰り返し続け、息遣い交じりに告げる。

「セラフィ…愛している」
「っあ…あたしも…んあっ! 貴方が好きぃ、大好きっ!だからもっとぉ……!」

想い人からの告白を受けて、今まで感じた事のない喜びに打ち震えながらもセラフィは彼に抱き着く力を強め、自ら唇を重ねた。舌を絡ませ合いながら互いの口内で吐く熱い吐息の感触を味わいつつ、セラフィは両足を相手の腰に巻き付け、離れないでと言わんばかりに少しでも密着しようと試みるが、それは逆に二人を一つに纏めるかの如くだった。

「んちゅっ、んむぅ…っ! ぷはぁ……っ!」

唇が解放されたかと思えば、言葉を紡ぐ暇すらない程にずぶずぶと結合部位から飛沫を撒き散らし暴れ回る剛直の蹂躙によって掻き消されてしまう。一方でセラフィの雌蕊もまた、彼の形を覚えるべくきゅんきゅんと収縮を繰り返し、貪欲に今から注がれるであろう子種を歓迎していた。

「はぁ…っサバイヴぅ…何かキてるぅ!怖いのっ、一緒に…っ!」
「大丈夫だ。このまま、一つになろう」

絶頂が近い事を悟るとセラフィは涙目で訴え、サバイヴの首に両腕を巻き付けて、より密着度を高めた上でキツくしがみ付く。それに応えるかのように彼も彼女の身体を一層抱き締め返し、膣奥にぐりぐりと押し付けた途端、その時は訪れた。

「も、だめぇ……とろけ…っんぁぁあぁっあぁあ!!」

悦楽と歓喜に満ちた甲高い嬌声と共に、セラフィの胎内は射精を促すかの如く強く蠕動し、容赦なくサバイヴ自身を締め付ける。それに呼応するかの様に肉棒が別の生き物のように大きく脈打ち始め、次の瞬間―――。

「ッ、く……っ射精すぞ!!」

その言葉を合図にどくん、とセラフィの中で熱くて若い白濁液が勢いよく吐き出された。奔流が胎内を満たしていくのを感じると、彼女は体を戦慄つかせながら甘い悲鳴を上げる。

「あぅっ!ふああぁっ!出てる、貴方のがいっぱいっ……!あつ、いぃっ…♥」

初めての精を受け止めた事で頭がふわふわし、視界がチカチカと明滅する。
このまま彼と抱き合ったまま、ひとつになって朝を迎えていたい。しかし、不意に絶頂の反動と行為の疲れがセラフィを襲い、半ば強引に緞帳を下ろされたかの如く視界が暗くなる。

―――駄目…もう少し彼と居させて!名前すら名乗ってないの……お願い、覚めないで!!

闇の中へ意識を手放す寸前に、セラフィは涙ながらに叫んでいた。

 

 

 

 

「ン……」

窓から入ってきた風の冷たさにセラフィは目を覚ました。月明かりで仄かに照らされた室内と天井は幼い頃から見慣れた自室のもの。当然寝台に他者の気配はない。

「夢…? あっ」

暗がりを見回した際にふと両脚の付け根に湿っぽい感触を覚え、太腿を擦り合わせるとぐちゅ、という音が聞こえてきた。どうやら生々しくて淫らな夢を見た事で欲情してしまい、いつの間にか秘所を濡らしてしまったらしい。

「やだ、私ったら……もう」

羞恥に頬を染めつつセラフィはスカートの裾を捲り上げると、下着越しにそっと指先でなぞってみる。そこは既にじんわりとした温もりを帯びており、指先を離すと糸を引いた。
こんなに汚したら着替えなきゃ。心中で呟きつつセラフィは気怠い体を起こし、寝台から立つと下着を替えにゆく。

ひと通り事を済ませてもう一眠りしようと思ったが、既に眠気は覚めてしまい体にほんのりと灯る熱は燻ったままで消えない。
ここは少し夜風に当たり、あの場所へ行って落ち着こう。そう決めた彼女はふらりと外へ出て行った。

 

 

外は相変わらず夜風が冷たく、一見すればやや露出多めの水着と相違ない服に身を包んだセラフィの肌を撫でる。
それでもセラフィは木々の間から洩れる月光を頼りに、夜の帳に包まれたインファント島のジャングルを歩いていく。時折聞こえる虫の鳴き声と木々の葉が揺れる音以外は静寂そのもので、まるでこの世界に自分一人だけしか存在していないような錯覚に陥る。

やがて歩を進めてゆく内に潮風の匂いが微かに漂ってきた。そしてその香りはどんどん強くなり、目的地である丘へ辿り着く。
そこには人が座れるほどに大きく、少し苔むした白い石が2つ草むらに紛れて置かれているだけで、その他には色とりどりの花が供えられている。
けれど、此処は彼女にとって生涯忘れられない場所だ。何故なら此処は、かつてグランドギドラに殺された犠牲者達ーーー妹と実父の眠る場所だからだ。

「イム、父さん…こんな夜遅くにごめんね、でも急に眠れなくなっちゃって」

そう言いつつ、セラフィはす、と彼らの墓標でもある石を優しく撫でる。
相変わらず石は何も言わずにひたすらそこに佇んでいるだけだが、この時だけは何故か温もりを感じた。きっとこれは自分の体温ではなく、亡き父と妹のものだと信じたかった。
石の輪郭を指で追っているうちにふとデスギドラとの闘いで散った母と従兄の顔が浮かび、表情が暗くなるものの辛うじてそこは何とか抑える。インファント島で唯一最後のモスラだと告白すれば余計に悲しくなるだけだ。
しかし、一際大きく轟いた波の音が自分を叱責したような気がして我に返り、「クヨクヨしてられないよね」と呟き、再び薄い笑みを浮かべて墓石に問いかける。

「ねぇ、バトラ兄さんと母さんも父さん達の傍にいる?もしいたら私は大丈夫だって伝えといて。それと…ミニラ君は見てないかな?」

もしかしたら雲の上から見つけられるだろうか、とは思ったが、当然ながら相変わらず言葉は返ってこない。

「ふふっ、やっぱりそうだよね。でも、彼も世界の何処かで頑張ってるんだよね」

セラフィは小さく微笑んでから顔をつ、と起こし、満点の星空を一望する。

「私、頑張るよ。モスラ族最後の末裔として、必ずこの世界を護り抜いてみせる……!」

彼女の決意の言葉に呼応し、尚且つまだ見ぬ未来を激励するかの如く海はただ静かにさざめいていた。