Formicophilia

それはほんの少しだけ生んだ油断が引き金だった。

眼前の“宇宙超魔獣”は私にとって大事な“家族”をかすめ取り、動揺させた隙に容赦ない猛攻を仕掛けた。
攻撃を弾く間もなく、まるで煉獄の中に放り込まれたかの様な熱さ……情けない事に、私は断末魔にも似た叫び声を上げてしまった。
人質を取られたことにより、まともに反撃すらできないそんな私を見て、陽炎の中佇む影は深紅の瞳をギラつかせながら薄ら笑いを浮かべている。
彼にとっては自らを倒し、何度も封印を行った相手が苦しむ様を間近にすれば、またとない最高の光景なのだろう。

しかし、この時彼の笑みは更にもう一つの意味があった。それを知るのは、辺りを包む炎が引いた頃だった―――。

 

 

 

 

 

「雑魚が」

デスギドラの冷酷な一言が、嘲笑を交えて硝煙漂う大地に響き渡る。
対する相手―――萌葱色の長髪の女性・グリーンモスラことセラフィは、体中から立ち込める火傷の痛みに耐える為、か細い体を抱き締め、地面に這いつくばったままでうずくまっている。

「くっ……!」

視界が歪み、相手のシルエットが僅かにボヤケる。しかし、決して屈する訳にはいかない。
眼前の相手はかつて母や兄のバトラを葬り、まして何度封印しても自分を狙おうとしている相手だ。

何より、万が一自分が敗れる様な事があれば――。

「おいおい、こんなに痛めつけられてもまだ俺に勝てるとでも思ってんのか?ここまで苦戦したクセによ」

嘲りを含んだ煽り声がセラフィの聴覚を過ぎる。が、彼女の目線はデスギドラよりも、その手に握り締められたものに注がれていた。そこにはセラフィに常に付き添い、成長を見守り続けてきたフェアリーモスラが握り締められていたからだ。

「そんな事、今はどうでもいい…!早くフェアリーを離して……!でなければ、今度こそ……っ!!」
「あ?」

息も絶え絶えなセラフィの言葉に、デスギドラはフェアリーモスラを握り締めた手を掲げる。

「そんなにこの可愛い虫ケラが気になるのか? ほら、早く何時もみたいに奇跡の力とやらで俺を封印してみろよ、お姫サマ」
「くっ……!」
「最もアンタがその気なら、コイツも間違いなく巻き添えだろうがな」

語尾の部分でフェアリーを握り締めたままの手を強く握った。当然ながらそこから「ぎゅっ」と苦しげな鳴き声が漏れる。

「フェアリー!? あ、貴方…何処まで卑怯な真似を!」
「いい褒め言葉だねぇ。“また”アンタの家族が目の前で死ぬなんて、因果なモンだな。それとも…アンタがコイツの代わりになるってのか?」
「ッ!!?」

デスギドラの言葉にセラフィは絶句するも、表情の機微を悟った当人はニヤリと不敵な笑みを浮かべ、こちらへ悠々と距離を詰めてくる。その足音が死へのカウントダウンに感じられて、セラフィは無意識に身を竦めた。
その後、彼は徐に深々と腰を下ろすと、空いた方の手でセラフィの触覚を力加減なしに掴み、無理矢理顔の手前で固定した。

「あぅ!」
「相変わらず虐めてやりたくなるような反応しやがって……この場でコイツを握り潰してやったらどんな声で鳴くんだか」
「や、止めて……この子を、殺さないで…!」
「いいや、止めないね。というか、俺はフェアリーより先にアンタをモノにしたいんだよ。その前に少し眠ってもらおうか」

言いつつ、デスギドラの両肩から角の生えた黒龍が生えてきたかと思うと、地の底から響くような唸り声を漏らしながら未だ硬直したままのセラフィを睨みつける。その眼差しは念願の獲物を間近にした大蛇そのもので、主に倣って殺気に満ちた4つの深紅が翡翠の双眸を捉えた。

「……っ!」

牙が擦れる音と耐え難い獣臭が鼻を付くも、そいつから視線を逸らせる間もなくセラフィは涙目になりながら体を小刻みに震わせ、小さな悲鳴を上げる。
このまま再び体に牙を突き立てられ、無残に殺される? セラフィの中で込み上げる絶望と恐怖が辛うじて残っていた理性を凌駕した途端、不意に意識がぷっつりと途切れ、その場に力なく崩れ落ちた。

「きゅうー!」
「騒ぐな。お姫サマが起きちまうだろ」

触覚を掴んでいた手を離し、未だ手の中でじたばたとうるさいフェアリーへ吐き捨てつつ、力なく地面にうつ伏せて倒れているセラフィを食い入る様に見る。
目の覚める様な萌葱色の髪に、栗色のセパレートビキニとパレオに覆われた陶磁器の様な白い肌が覗いており、何より目を引くのがすらりと伸びた両脚だった。そこは案の定数カ所か煤や火傷跡があり汚れていたが、それでもその美しさを損ないはしない。
正に神の与えた“芸術品”だった。一頻り目で堪能した直後、デスギドラの中でどす黒い獣欲がじわじわと芽生えてくる。

この綺麗な“お姫サマ”をめちゃくちゃに壊したい。泣かせてやりたい。今まで植え付けられた屈辱の代償を、骨の髄まで払わせてやる。不埒で淫らな思案が次々と出る度、自然とデスギドラの口元が歪む。

「……なぁ、フェアリーとかいったな。アンタもコイツみたいに痛めつけられたくなかったら、ちょっとばかり俺の頼み聞いてくれないか?」
「き、きゅう?」

断る余地もなかった。何故なら、デスギドラの目には飢えた獰猛な獣特有の光が爛々と灯っていたから。

 

その頃、セラフィは夢を見ていた。
それはまだ、戦いとは無縁だった幼少期…怪獣島にいた頃の夢だった。彼女は同年代の少年怪獣ミニラと砂浜で遊んでいる。
貝殻を拾うのは勿論、波打ち際で追いかけっこをしたり、砂で小さなトンネルを作ったりと、他愛のないものだった。

「あ、反対側見えたー!」
「本当だ!やっとカニさん通れるね」

無邪気に笑い合う二人。その時、ミニラは何を思ったのか水平線に目をやる。

「どうしたの?」

ラーバの問い掛けにも彼は答える事なく、彼は紺碧の海面を見据えている。
その目には、何やら底知れぬ目標がある様だった。

「僕ね、成長したら世界旅行しようと思うんだ」
「えぇー?何で?」
「僕何時もお父さんにあちこち連れてもらってばかりでしょ?だから、何時かは独りで世界を旅してみようかなってね」

続けながらミニラはすっと立ち上がり、浜辺に立つ。
その背中が何だか凛々しく見えてきて、ラーバの視線はそこに釘付けになってしまう。
そして、くるりとミニラが振り向き、満面の笑顔で続けた。

「何時かラーバちゃんも連れてってあげるよ!」
「本当? 考えとくわね」

この会話が最後だった。数日後、突然朝早くからモスラ宅を訪問したかと思うと、家にも入らず「ごめんね」との一言と共に怪獣島から去った。
原因は――後で知った事だが、度重なる侵略怪獣の襲撃により機龍の暴走が止められなくなり、同僚ですら止められなかったばかりか、同族のゴジラも交えた形で機能を停止させられ、海へ沈んでいった。
ましてや機龍はミニラの母親である初代ゴジラの骨から作られており、自身を悲しませないためにも、あえて周りから真実を教えられなかった事、そしてそこまでして尚も勝利に追い縋る人類達に深い悲しみを抱いてしまった事でミニラは怪獣島を出ていった。

あの時交わした約束は最悪な形で叶えられしまったのだ。
そしてセラフィは未だ残る侵略怪獣達を討伐する傍ら、行方不明になったミニラを追っている最中に何かしらのきっかけで復活したデスギドラに襲撃され、今この絶望的な状況に陥っている。

 

「みー…君……」

自らの寝言で目が覚めた。
目を開けると、真っ先に夜霧に立ち込めた森林が視界に飛び込んできた。勿論場所は先ほどの戦場とは違い、木々から時々月光が差す鬱蒼と茂った森の中の様だ。
体を起こそうとしたものの、両手は真上へ上げた状態で包帯らしき物に括り付けられており、脚だけが自由になった状態だ。服はあちこち焼け焦げてはいるものの、全身は先程あれだけの激戦があったにも関らず、不思議と傷一つ付いていない。

(此処は一体…? フェアリーは?)

重い頭を押さえ、まだボヤケる思考回路を叱咤しつつ、辺りを見回す。
人の気配はなく、息を止めていると闇の中に同化しそうな程静かだ。夜霧が肌を微々に濡らし、その冷たさに記憶が蘇る。

(そうだ。私、アイツに……!)

刹那意識が急激に覚醒し、手を戒めている包帯を振り解こうともがくも一向に緩む気配はない。
こうしてはいられないのに。この間にもフェアリーが凍えているか殺されてしまうかもしれない。ここは閃光で目立ってしまうかもしれないが、触覚からの光線で包帯を焼き切ろうとした途端、まるで本能を凍り付かせる様な気配がしたと同時にこちらへ向かって湿った砂利を踏みしめる音が聞こえた。

「よう、目は醒めたかい?」
「……っ!?」

鈍色の月光がシルエットを照らす中、自らを嘲る様に降ってきた声。その主は見ずとも分かる。
そいつ―――デスギドラは何処で手に入れたのか、銀色のメダルらしき物を宙に放り投げては、自らの手中に戻す仕草を繰り返しながらゆっくりと歩いてくる。

「これはエリアスの盾、だったか?ほんと便利だよなぁ。かつて俺を封印してたブツが、此処で役立つとはな」
「どういう事?」

動揺を悟られないように聞き返すとデスギドラは小首を傾げ、「察しが悪いな」と言いたげに鼻で笑う。

「ちょっとばかり、フェアリーとやらに手伝ってもらったんだ。『お前を殺さない代わりに、コレに祈ってコイツを治せ』ってな。で、事が済んだら奴をあの場に残してアンタを連れ出した……その結果が今の状況ってわけさ」
「そんな……!」

自慢げに語るデスギドラとは裏腹にセラフィの表情は焦燥の一途を辿っていく。一応彼女の命は助かったとはいえ、これでは時間を置いた分だけフェアリーの体力はかなり消耗しているに違いない。一刻も早く助けねばと思うも、今の状態ではとてもじゃないが逃げ出すことは叶わないだろう。

「おっと、まさかこの期に及んで逃げようとか思うなよ? 少しばかり俺の“お願い”を聞いてくれたら、解放してやっても良いぜ」
「お願い…?」

デスギドラが言い終わるより早く、セラフィの脳裏をよぎるものがあった。それに言葉から『お願い』と態々強調した点から見て、ろくでもない要求なのは容易に予想出来る。ここは隙を衝いて光線の1発でも食らわそうと思い立とうとした瞬間、デスギドラは徐にセラフィに覆い被さると顎を軽く摘み、正に互いの顔が触れるか触れないかの距離でその“お願い”を繰り出した。

「なぁに、簡単な事だ。そのたわわな躰で俺を一晩中満足させるだけで良いんだよ」
「ッ、な……!」
「勿論勘違いしてもらっては困るが、アンタの踊りが見たい訳じゃねぇんだ。何をすれば良いか…わかるよな?」

言い終わらないうちに、セラフィの内腿をデスギドラの手がつぅ……と這う。その箇所だけ嫌悪感で毒に冒されたような痺れが走るも、決してそれを悟られないように気丈に言葉を返す。

「い、嫌よ…貴方に抱かれるなんて……お母さん達の仇の、貴方には……」

視線を背けながら拒むものの、デスギドラはセラフィの顎を掴んでいる手に力を入れ、無理やり自分の方へ向かせる。

「ぐっ……!」
「まだアンタの立場が判ってねーようだな。事が終わったら、さっきの場所に送ってやろうと考えてたんだけどなぁ? どうする? アイツを寒い中待たせんのも可哀相だろ。早く決めな」

セラフィの脳裏でフェアリーとデスギドラの姿が交錯する。自分が下手に動けば、それこそフェアリーがどうなるか分からない。

(そんな事になったら……私……)

途端、反抗しようとしていた意思は崩れ落ちて消えてしまう。眼前の仇に降伏を宣言した様なものだ。自分の家族のモスラとバトラの命を奪ったばかりか、今にも守護神獣としての証―――処女を奪おうとしている男に。
憎しみよりも自分自身への無力さに打ちひしがれ、セラフィは溢れそうになる憤りを堪えつつ、目の前の黒い魔獣へ途切れ途切れに言葉を口にした。

「デスギドラ……っ貴方に従います……!」
「良いねぇ…物分りの良い素直な娘は大好きだぜ?」

直後、デスギドラはセラフィの唇を貪った。戸惑う間もなく肉厚の舌が彼女の口腔を、歯列をも容赦なく嬲る。

「んふっ…くぅ…!」

呻き声を上げつつセラフィは精一杯目を閉じて耐えようとしていた。こんな形で誰も知らない森の中で、況してや憎き敵に守護神獣としての証を捧げる事になるなんて……と心の中で呟きながら、汚辱感に打ち震えつつデスギドラの愛撫を思うがままに受け入れてしまう。

「んぅ……ふ、ん……!」
(こんな…こんな奴に、嫌っ……!)

舌を吸われる度に全身がびくりと震えてしまう。反射的に一旦舌が引くと、それに呼応する様にデスギドラもセラフィの舌に自分の舌を絡ませ、互いの唾液を混ぜ合わせていく。二度と離れないように、自分のモノだという徴が相手の中に刻まれるように。

そして一頻り接吻が終わると、デスギドラの唇は銀糸を引きながらセラフィの口から離れていった。

「ぷはぁっ!はぁ、はぁ……」
「へっ、キスだけで随分と蕩けた表情してるなぁ? もしかして初めてだったか?」
「っ……そんな、事……」
「ふーん、まあどっちでも良いけどな」

酸欠でまともに反論できないセラフィを他所に、デスギドラの視線は豊満な乳房を覆っているセパレートビキニの方へ落ちる。寒さと緊張で僅かに布越しながら勃起したソコは、明らかに輪郭を成していた。

「ほぅ? 妙にキツそうだな」

出してやらねーと、と呟き、両肩に潜ませている自らの化身―――先程セラフィを蛇睨みの如く硬直させ、絶大な恐怖による一時的な気絶に追いやった灰褐色の龍を出現させると、彼らをセラフィの身にまとわりつかせる。

「ひっ!や、やだ……」
「暴れるなよ。折角の綺麗な躰が台無しになっちまうぜ?」

素肌をなぞる岩さながらの感触と、地の底から聞こえてくるような唸り声…やがて両方の頭部が鎌首をもたげ、彼女の顔に近づくと威嚇するかの如くくわっと口を開けた。びっしり直列に並んだ牙と口内から溢れ出る涎の臭い……たったそれだけで彼女は体の自由が効かなくなった。

怖い。食べられる。死にたくない。恐怖で瞑った目から涙が滲む。

「オイオイ、喰いはしねぇよ。ちょっとばかしコイツ等にアンタの果実をお披露目してもらうだけだからさ」
「お披露目……って、まさか…!」
「あぁ。そのまさか、だ。行け」

デスギドラが合図を出すと、セラフィの躰にへばりついている灰褐色の龍達が一斉に動き出した。
息を呑んで絶句し、震えるセラフィを他所に、龍達は彼女のビキニを鋭い牙を立てて引き千切った。

「や、っ嫌ぁああ!!」

布が引き裂かれた一瞬、時が緩やかに流れている様な気がした。しかし肌に触れる冷たい外気が思考を現実に戻し、晒された両の乳房がデスギドラを挑発するかのようにたぷん、と揺れ、込み上げる羞恥にセラフィは耐え切れず絶叫する。

「……へぇ、こりゃまた凄いな」

姿を表した桃源郷の果実に思わずデスギドラは舌なめずりし、眼前でふるふると揺れる双丘に手を伸ばす。掌に触れる感覚を愛でつつゆっくりと揉みしだき、時折固くなったつぶらな切っ先を押し潰すと、反動で戻る感覚を楽しむ。

「ふぁ、んっ……! 触らない、で……」

好き勝手に揉まれる度にぞわり、と体の中で甘い悪寒が生まれ、全身に広がってゆく。涙が浮かぶより先にぐにぐにと乳房を揉んでくる手の感触がセラフィの意識を奪い、思考を麻痺させていく。

「ひぅっ! く、ぁ……っ! あぁっ……!」
「ほぅ…想像以上に柔けぇな。こんなに胸がデカいと、戦いの時不便じゃないのか?」
「そんなこと…な、いっ…ぁ……!」

反論すると乳首をぎゅっと摘まれ、そこから電撃が走ったかのようにセラフィの背中が仰け反った。

「うあ…っ!」
「口答えすんな。さっきから嫌だの否定ばっか吐きやがって。早いこと素直になれよ」
「誰、が……っ!」

敏感な箇所を摘まれ、強くこねくり回される激痛に唇を噛み締めたまま、セラフィはデスギドラを睨みつける。強気に振る舞っているが瞳は既に潤み、目尻には涙が浮かんでいる。
しかし、弱肉強食が横行する擬怪獣の世界では格好の餌食に過ぎない煽情的な態度はデスギドラを奮い立たせるもので、彼の脳裏に禍々しい欲望を芽生えさせるだけだった。

「……そうかよ、ならもう手加減は要らねぇな」

低い声でそう呟くと、デスギドラは先程愛でていた乳房から手を離し、彼女のセパレートビキニを剥ぎ取った時から熱を持った自身をズボンから取り出しす。そのまま切っ先を、肌にうっすら滲んだ汗と先端から溢れる先走り汁を潤滑油に、胸の谷間へ滑り込ませた。

「なっ……!?や、嫌ぁっ!」

狭まれた乳房の隙間からにゅるりと突き出た先端に引き攣った悲鳴が漏れ、全身がゾワッと粟立つ。
生きている中、今まで亡き父や兄のものでしか見た事がないそれは明らかに彼らより一回り大きく、乳房の中でグロテスクに波打っている。怖くて引き剥がしたいのに、下腹部が殆どのしかかられている為、視線がイヤでもソコに釘付けになる。

(な、にこれ……怖い、気持ち悪い……っ!)

初めて間近で見る大蛇さながらの男性器に嫌悪感が湧き上がる。こんなものを、あの恐ろしい魔獣はセラフィの乳房に挟んで何をしようというのか……悍ましい予感が頭をよぎるも、それを現実にさせるべくデスギドラはひとつ満足気に溜息を吐くと、セラフィの両胸をぎゅっと挟み、ゆっくりと前後に動かし始めた。

「や、っああ!ふ、ぅう……ンむぅっ!?」

豊満な乳房をデスギドラの肉棒が蹂躙し、瞬く間に生臭い匂いが嗅覚を突く。
一部でも唇に掠らないように口を閉じるも、デスギドラの欲望を反映するかのようにソレは先走り汁が谷間でねちゃり、ぐちゃっと粘ついた音がセラフィの耳に届き、嫌悪感と羞恥心が入り混じって目から涙が溢れ出す。

「んくっ!む、あうぅ…っンン゛!」
(やだ……はなしてっ! 汚らしい!)

「ははっ、そう露骨に嫌がるなよ。アンタの母ちゃんも夫相手に毎晩同じ事やってたかもしれねーしさ」

顔を耳まで赤くして目を瞑り、嗚咽混じりに餌付くセラフィを見下ろしながらデスギドラは胸の谷間を犯す速度を上げる。その際に、母の事を出されて抗議の声を上げようにもやや濁りがちの雄液が咥内に流れ込み、ほぼ強制的に黙らせられる。苦しい。怖気がする。ましてや忌々しいギドラ族のソレなんて……!
一方で、デスギドラはまたとない極上の感触にいたく満足していた。
彼自体も幾度か戯れにセラフィとよく似た娼婦を買い、前戯としてこういう“奉仕”をさせる時もあったが、彼女達とはまた違う何かがあった。

この美貌を兼ね備え、しかもあんな扇情的な格好をしておきながら今まで一度も襲われなかったのが不思議な位だ。
だったら手加減はいらない。その澄ましきった顔を一層汚してめちゃくちゃにしてやる。

「おい、呻いてばっかいないでたまには舌使えよ」
「ふっ、ンむっ……!? はぁ、うぅ゛っ……れろぉ……ん、んっ!」

拒否する間もなく言われるがまま、ピチャピチャと卑猥な音を立てながら胸の谷間を上下する肉棒の先端に舌を這わせる。味蕾が痺れる様な、塩気がキツいエグみのある味が咥内に広がり、涙が滲んでくる。せめてもの抵抗としてデスギドラを睨み付けてみるも、すぐに胸を犯す速度も加速し、絶え間なく雄液を喉に流し込まれる。

「ふむ゛ぅ…ん゛ん…ぢゅるっ、んはぁ」

懸命に舌を動かし、尚も嫌がる彼女を余所に何度も執拗な抽挿が続く中、デスギドラに変化が起きた。
ソレの質量が鼓動を打ちつつぶわっと増したかと思うと、今度は際限なく溢れる分泌物に白が混じる。

(えっ、嘘でしょ!? まさか……っ!!)

「ふはっ、そろそろイくぜ? アンタの顔がザーメンで化粧される様、愉しみだなぁ」
「うぅう!?」
(ザー…? よく判らないけど、絶対ダメだってばぁ! )

「オラァ、受け取れぇ!!」

咆哮した直後、乳房の間でデスギドラの欲望が弾けた。間髪入れずに大量に放出された白濁液は谷間から勢い良く迸り、セラフィの顔にまで飛び散る。

「んむ゛っ……ぉお゛…!!」

逃れようにも乳肉をがっちりと押さえ込まれていて身動き一つ取れず、完全に搾り取らんとするまで逃げられなかった。自らの美貌を雄の欲望に汚され、悔し涙を流すセラフィをよそにデスギドラはマーキングと言わんばかりに軽く腰を振り始める。

「ククッ……良いねぇ、アンタのその泣き顔。見てるだけで幾らでも射精せそうだぜ。ほらほら、喉の奥までしっかり味わえよ!」
「ぐっ、おごぉっ!ん、っン……うぉえ゛っ……!!」

(き、気持ち悪い……!)

雄臭い匂いに顔を顰めつつもセラフィは口に広がる不快な味わいに必死に耐え、なんとか呼吸を確保しようとする。が、容赦なく白濁が喉に叩きつけられるせいで上手く息ができない。味蕾と喉奥を生臭いソレで侵される感覚に目が見開き、否が応でも飲み下されてしまう。
それを見てデスギドラの口角が歪んだ。何も反撃する術のないままに必死に精液を飲み下すお姫サマの表情は、ひどくそそられる。できればずっと彼女が苦しむ様を味わいつつ眺めていたいのだが、やはり注げるソレには限度がある。「そろそろいいかな」と小声で呟き、デスギドラは自身をずぽっと谷間から引き抜く。

「かはっ、げぇっ!はっ…あ゛ぁっ…!げほっ!え゛ほっ……!」

生臭い精から一変、新鮮な空気が入り込んできた事でセラフィは大きく餌付き、噎せ始める。そんな彼女に構う事なく、デスギドラは白濁で汚された彼女の胸元をしげしげと眺める。
特に深い谷間の部分からはそれが大量に溢れており、そのまま垂れた分が髪まで汚している。気高さとは程遠いその有様に気を良くした彼は、いやらしい笑みを浮かべながら言葉を紡ぐ。

「どうよ?アンタの嫌うギドラ族の味は?」
「はぁ、はぁ……っ、がふっ」

朦朧とした意識の中、咳き込んだせいで言い返す気力すら削がれたセラフィは言葉にならない声を漏らしながら相手を見据える。その眼差しは依然として、「私は絶対お前に屈するものか」と言いたげな光が宿っていた。