シーモの恩返し

スカーキング率いるグレイト・エイプ達がこの娼館を襲撃し、『この娼館は今日からワシらの棲家とさせてもらう』という名目で我々怪獣娼婦達は大部屋に連れて行かれ、各々陵辱の限りを尽くされた。
特に、儂に特段強い恨みを抱いていたスカーキングはシーモを交えて心を折らんばかりの恥辱を尽くしたものの、事後の最中にほんのわずかな隙を見せたのを皮切りに追い払い、同時に同僚達やシーモを奴の魔の手から解放することができた。

その後はシーモを保護する形で儂の悪友もとい地下世界に住むコングに預ける事になったが、その後が問題だった。

「……モスラさんにはとても悪いと思ってるんですけど、あの時の…貴方の舌遣いが忘れられなくて」

シーモが娼館を出る際、別れ際に言われたあの言葉。元々はスカーキングの暴虐を癒す為に、そしてこれまでの苦痛を忘れる様にと苦しさに耐えつつも祈りを込めて奉仕したつもりだったが、どうやら彼女にとっては依存するほど癖になってしまったらしい。
以降、彼女はコングの許可を貰ってはこの怪獣娼館に度々足を運ぶようになった。とはいっても、此処に来る理由は儂と躰を重ねるという意味ではなく、互いの思い出話や近況報告をして終わるという流れだ。そこは儂の本命であり、そして未だギドラに捕らえられたままのモスラを気遣っての配慮だろう。

この日もまた、儂の部屋へ客が来ない手持ち無沙汰の中でうたた寝しそうになる中、不意に扉が開けられた。

 

「ゴジラさん、こんばんわ。今日も来ましたよ」
「む……シーモか。よく来たな。今夜は何の話をするかね?」
「うーん……あっ、そうだ! 私、貴方に差し入れを持ってきたんですよ!」

にこやかに言うなり、シーモはコングに持たされたであろう背中に結わえ付けた数個の丸い果実を見せる。それは普通の果物ではなく、どうやら地下世界で採れたものを加工した容器らしく、内部からチャプチャプと水音が立っている。

「それは何だ? 飲み物かね?」
「えぇ。俗に言うお酒というものなんですが、グレイト・エイプ達が独自に編み出した手法で作り出した加工品でして、とても美味しいんですよ。ついでにコングさんがこれを渡す際、『お堅いアイツもこれでイチコロ!』とか言ってましたが……」
「……彼奴め、余計な事を言いおって」

小声で悪態が漏れるものの、それはコングの活躍によりスカーキングの無慈悲な支配からシーモを含めたグレイト・エイプ達が平和な日々を取り戻したことに対する安堵感からだ。
ともあれ「一緒に飲みましょう」と勧められ、シーモは儂の座るベッドに近づき、『開けて』と言いたげに結われたそれを手に取るように促す。言われるまま手に取ってみると中身は想像以上にずっしりとした重みがあり、その重量から相当な量の液体が入っていることが窺える。

「かたじけない。早速頂こう」
「はい。では、どうぞゴジラさん」

シーモから手渡された容器の蓋を開けると、忽ち甘く強い香りが真っ先に鼻腔を突く。よく熟された芳香から察するに、かなり度数が濃い飲み物であることが分かる。

「ほぅ……これはなかなか強そうな代物だな」
「そうですね…早速乾杯しましょうか」
「うむ。では、これからもよろしく頼むぞ。シーモ」
「ええ、こちらこそ」

一頻り音頭を取った直後、シーモは果実の表面に開けられた穴に牙を立てて中の液体を舐めて堪能し、こちらは果実ごと受け持つ形でそのままごくりと飲んでゆく。途端、口に含んだ瞬間から甘ったるさと強烈な苦みが舌を刺激するが、むしろ尾を引くような心地の良い刺激で、まるで全身を駆け巡るような熱さに息が一つ漏れる。

「ふっ……癖はあるがすきっ腹には強烈に効くな。しかし、味は悪くない」
「でしょう? 喜んでもらえてとても嬉しいです。でも、あんまり無理しない方がいいですよ?」
「心配無用だ。それに、今宵はこうして其方とゆっくり語らいながら一杯交わすのが目的だからな。まだまだ序の口よ」
「もう、ゴジラさんたら……あ、そういえば最近こんなことがあったんです」
「ほう? 何かね?」

シーモの語った内容は近頃グレイト・エイプの子供達と仲良くなったことや、彼らが自分のことを慕ってくれているということ。そして、コングと毎日を過ごしている中で日々彼らの成長を願っていることなど、地下世界での日常についてだった。
笑顔交じりに話すシーモを見て、ようやく手にした自由と幸せを改めて実感できたと同時に、娼館が襲来された日まで長い間スカーキングに陵辱され、心身共に疲弊していた彼女がここまで立ち直ることができたことに心の底から安堵した。

「成程……そんな事があったのだな」
「はい。お陰様で皆元気にやってます。本当に、あの時はありがとうございました」
「いや、礼には及ばぬ。儂は其方と交わした約束を守っただけだ。あの後すぐにスカーキングを追い払えたのは紛れもなく其方の協力あってのこと。胸を張るが良い」
「……はい。あ、そうだ。ちょっと言いづらいのですが…」

酒に酔った影響でシーモはほんのり朱に染まった顔をこちらに向け、言葉通り言いにくそうに目を伏せながらもひとつ投げかけてきた。

「コングさんから聞いたんですけど、ゴジラさん……此処に務めてもう長くなるそうですね。ギドラの下からモスラさんを助ける為とはいえ、今まで辛い思いをされてきたんじゃありませんか?」

コングの奴め、また余計な事を…と心中で恨み言を呟きつつも、かつて誰もが平伏す存在の怪獣王が今や種族問わず体を開く怪獣男娼ともなれば例え盟友のシーモでもひどく気にするだろう。ましてや数日前まで地下世界の果てにある火の国にて幾星霜もの間繋がれていたから尚更だ。外の世界で起こった事象を知らないのも当然だろう。
氷の中から復活したギドラに敗北したのを始め、モスラの命と引き換えに躰を蹂躙されたのを皮切りに、奴の咆哮により動き出した世界中のタイタン達は儂を徹底的に陵辱し尽くした。果てしない凌辱地獄の中、儂の躰は不本意にもすっかり牝としての快楽を覚えてしまった。時にはモスラの見ている前で偽りの王の奴隷という言葉を誓わされ、不眠不休で犯され続け、果てる度に“あの誇り高い怪獣王で抜いた証”として何度も太腿の裏に傷を刻み込まれた。
しかし、ある日ギドラは何時ものように儂を散々己の精液で穢したのち、何を思ったのかこう付け加えた。

『モスラを助けたくば、怪獣娼館で100人の客を取ってこい』と。

そうして始まったのが娼館での生活であり、今に至るまで儂の男根を誰かに挿入するのを禁じられている過酷な条件の下、後孔だけを弄ばれて果ててしまうという屈辱的な日々を過ごさせられた。一方的に雌孔扱いされたり、かと思えば客の殆どは雌怪獣目当てでこちらには目もくれずに指名されない時もあれば、ギドラが監査という名の元で直々に来る事もあり、そんな時は一晩中泣かされることもあった。
しかしそれでも新たな客が来て事に及ぶ度に儂は決して希望を捨てず、ひたすらに己の誇りを守る為に躰での奮闘を止めなかった。
一方的な使命に繋がれているのは、こちらも変わらないな……と自嘲してしまう。しかもその切っ掛けを作ったのは、かつて自分達が封印したはずの仇敵・ギドラによる仕打ちだというのだから尚更だ。

「ゴジラさん…?」
「……ああ、すまぬ。少し考え事をしていてな」
「やっぱり……まだ、辛かったりしますよね?」
「何を言っている。この運命はとっくに受け入れた身、其方が気負う必要などどこにもない。今はただ、こうして其方と酒を酌み交わせるだけで十分だ」

話を無理やり終わらせるかの如く吐き捨てるかのように告げ、無意識に語気が荒くなった事にハッとする。しまった、これではまるで八つ当たりではないか。シーモは何も悪くないというのに。
気まずい沈黙が場を支配する中、謝罪の言葉を考えている内に口を開いたのはシーモだった。

「出過ぎた事を訊いてしまって申し訳ありません。でも……ゴジラさんは凄いです。ギドラの策略で配下のタイタン達からあんな扱いをされたにも関わらず、今も貴方の事を待ち続けているモスラさんの為に必死で頑張っておられるんですから」
「……っ」

意外にも怒ったり落ち込んでいないことに安堵しつつも、やはりシーモもモスラの事が心配なのか、口調こそ穏やかだが声色には不安の色が見え隠れしている。

「それに…あの時私がスカーキングの奴隷にされている時に、貴方は彼から酷い辱めを受けても文字通り体を張って私を救い出してくれた。幾ら蔑まれようと、ゴジラさんからはどんな時でも怪獣王の貫禄を感じますもの」

シーモの一言に思わず言葉を失う。他からは「淫乱」「元怪獣王」等と侮られ続け、肉奴隷に堕ちた自分に対しても彼女は忖度無しに「王」として評価してくれた。それはこの娼館に身を窶した中でも滅多にないことだった。

「ふ……生憎褒めようがこちらの指名料は安くならんぞ。ともかく、先程は其方に当たってすまなかったな。仕切り直しとして朝まで飲み明かすか?」

謝罪も兼ねて笑みを作り、余った酒入りの果実を傾けて彼女に提案を持ち掛ける。が、シーモは何を思ったのか急に俯いて黙り込んでしまった。どうしたのだろうか、と思い声を掛けようとした途端、彼女は意を決したように顔を上げた。

「……あ、あのっ!」

突然大声を出された事で少々面食らってしまったが、何とか平静を装い目線だけで続きを促す。数秒も経たぬ内に彼女は酔いが回ってきたせいか頬を紅潮させながら、半ば詰まり気味に切り出した。

「ゴ…ゴジラさんさえ良ければ、私が慰めてあげましょうか?」
「ん……? それは一体どういう意味だ?」
「つまり、そのー…前に貴方が私をスカーキングから助け出してくれた恩返しというか、日ごろの労いをしたいなぁと思って……駄目、ですか…?」

酔いと照れが入っているのか、すっかり頬を朱く染めたシーモの目が泳ぐ。

「いや、そういう訳では……だが、何故またそのような真似を?」
「だって……先程あんなに辛そうな顔をされてたのに、放っておくなんて出来ませんよ!」

正直に言えば戸惑いを隠しきれない。そもそも彼女がこのような行為に及んだ理由は分からなくもないのだが、酔いが回ったにしても唐突過ぎる。けれどもし仮に、これが彼女なりの気遣いなら―――。

「そこまで詰め寄られると断る理由はないな。では、其方の申し出を受け入れるとしよう」
「本当!?」
「折角の厚意だ。ただ、ギドラの命で誰かへの挿入は禁止されているが、代わりに愛撫のみであれば可能だ」

実のところ、ギドラからこんな厳命が下されているのは儂をとことん雌に堕とす為でもあり、同時に雌怪獣を孕ませてしまうリスクを考慮しての処置だろうが、そこは敢えて口にせず果実内に残った酒をぐっと飲み干すのを合図に、改めてシーモは寝台から降りて儂と向き合う。

「それでは、始めますね? なんだか緊張しちゃいます……」
「ああ、どんな形になろうと構わん。最後まで宜しく頼むぞ」

促された直後、シーモは恥ずかしそうに微笑み頷くとおもむろに口を半開きにし、儂の咥内に僅かに残っている酒の香を堪能するように舌を絡めてきた。酔いが回っているとはいえ、またしても情熱的且つ貪欲に求められればこちらも相応に応えねば失礼というものと思い立ち、一旦瞼を閉じると儂は彼女の舌を一息に絡み取り、そのまま貪る。

「ふぅっ…♥ ん゛ぅっ……♥」
「んっ、んむぅっ……!♥」

シーモも負けじとばかりに舌を絡ませてきて、互いの吐息と粘液が混ざり合う音が室内に響き渡る。特にシーモの吐息は相変わらず冷たいのが印象的で、酔いで火照った咥内には丁度良い。そして挑発のつもりで互いの尻尾を絡め合うとシーモはぴくりと反応を示し、儂を寝台に押し倒しつつ、更に熱っぽく口付けを交わしてくる。

「んぅ…っゴジラ、さん…♥ 好きっ……♥」
「っ……♥」

シーモの告白を受け、戸惑い交じりに思わず情けない吐息が漏れ出てしまう。今までは客から肉体的な意味で好意を寄せられる事は多々あったが、こうして裏表無く自分から愛の言葉を口にしてくれたのは珍しい事だった。それがたった一夜限りの愛だと分かっていても、やはり嬉しくないと言えば嘘になる。

(シーモの奴め…酔いもあるとはいえ、また随分積極的だな)

そんな事を思いつつも、今は“恩返し”という名目で来ている以上、その気持ちを受け止めるべきだろう。体格差はありながらも、シーモの頭部にそっと手を這わせると彼女はびくんと身体を震わせて切なげな声を上げる。

「っ…あ……っ♥ ゴ、ゴジラさぁん……」
「大丈夫だ。安心するが良い」

接吻を止め、不安げに見つめる彼女に優しく微笑みかけると、今度は自分の番だと言いた気に喉奥から甘えた声を漏らしつつ、儂の胸板に頭部をスリスリと擦りつけてくる。その時、氷塊を直接儂の肌に押し付けられているような錯覚を覚え、思わず上半身が僅かにびくりと震えるが、それすらも緩やかな快感に変換されてしまう。

「くっ……!♥」

思わず儂の背中が仰け反りそうになるが、シーモは逃さないと言わんばかりに頭部を押し付けて離れようとしない。それどころかこちらの酔いと欲情により胸筋からほんのり漂う雄フェロモンをすぅっと嗅がれてしまえば、耐え難い恥ずかしさが同時に襲ってくる。

「はぁ……っとってもいい匂いですね」
「っ……其方こそ、考えていたより大胆だな。コングに仕込まれでもしたか?」
「ふふっ、残念ながらそれは教えられません」

無邪気な笑みを浮かべながらシーモはゆっくりと上体を起こして返答すると、今度は舌を伸ばして胸筋の筋をなぞるかの如く這いずらせ、鎖骨や首筋に至るまで念入りに愛撫する。 その都度冷たい感触が軌跡のように残されていき、くすぐったいのか気持ちいいのか分からない感覚がぞわぞわと押し寄せてくる。

「っう……くぅっ……!」
「ゴジラさんってば、んふぅ…っ可愛い……♥」

吐息交じりに呟きつつ、シーモはこちらの反応を楽しむようにくすりと笑うと、そのまま尖った舌先で弄ぶかのように胸筋の中心をくりくりと舐め上げてきた。しかも甘噛みや吐息を交えての微かな嬌声が耳元に届けば、背徳感にも似た高揚が沸々と湧き上がってくる。

「はぁ…んむぅっ……♥ ココが良いんですか?」
「っ…くぅぅっ……!」

シーモの舌先が敏感な箇所に触れる度にちりちりと僅かな電流が走ったかのような刺激に襲われ、反射的に息が漏れる。けれどもそれは決して嫌なものではなく、寧ろ独りよがりとは正反対の所謂つがいを求め合うような濃厚かつ深い心地よさと幸福感に心身が満たされていく。

「ゴジラさんのお胸…乳首もないのに感じるんですね?」
「っ……こ、これは…そういう体質なのだ」
「そうですか…じゃあ、もっと感じさせてあげますね」

妖艶な声色で告げると、シーモはおもむろに胸部へと顔を近づけてわざと強めに冷気を帯びた吐息を吹きかけてきた。瞬間、ひやりとした空気が表面を舐める様に這い、思わず儂の身体が一際大きく反応してしまう。

「っ……!?♥ くっ……ぅ……!」
「貴方の声、もっと聞かせて下さい。我慢する必要はありませんよ?」
「た…戯けた事を言うでない。この程度で…っ、はぁっ……!♥」
「やっぱり素直じゃないですねぇ。こんなに立派なお胸なのにとても敏感だなんて…益々愛おしくなってしまいます」
「ぅ……ッ言うな、っ照れる…だろうが…っ♥ あっ♥」

これでは慰められているのか虐められているのか分からなくなってしまい、またもや情けない声で喘いでしまった事に羞恥心が煽られる。それでもなお、シーモは胸への愛撫を止めようとはせずに時折冷気が混じった吐息を吐き出しながら、徐々に腹筋へと矛先を向けてくる。

「んっ♥ んんぅぅっ……♥」
(な、何という快楽だ……ッ)

鍛え上げられた箇所がひんやりと冷えてゆき、その度に呻き声が噛み締めた牙の隙間から漏れ出る。本当は声を出しさえすれば楽になれる事は分かっているのだが、未だ本能に刻み込まれている怪獣王としての矜持がそれを許してはくれず、シーモの愛撫を無抵抗に受け止めるしか出来ない。
しかし、その抗いも腹筋をつつく甘い冷気が溶かしてしまい、自ずと理性が剥がれ落ちてゆく。

「っうあ、っああ!♥♥そ、そこはぁ……っ!」
「ふふっ、やっとはっきり声が出せましたね」

図星を突かれ、思わず言葉に詰まってしまう。けれどシーモはようやく弱点を見つけたと言わんばかりに腹筋の輪郭をなぞる様に指先を這わせ、時折くるくると円を描くように動かしてくる。引っ掻くようでいて爪を立てない絶妙な力加減で触れられる度、むず痒さに似た快感が込み上げてきて自然と腰がくねってしまう。その弾みでシーモから「あっ」と声が上がり、思わず我に返った。

「すみません、少し強過ぎましたか? 恩返しなのに調子に乗ってしまいました」

絡み合っていた尻尾を解き、目を伏せて謝るシーモにこちらも無言で首を横に振る。確かに腹筋に触れられて少々驚いたが、決して嫌だった訳ではないのだ。寧ろシーモの献身的な奉仕は嬉しかったし、感謝こそすれど文句など言える筈もない。

「……良い、気にするな。其方の気持ちは十分伝わった」
「本当ですか?」
「ああ。それに…… 儂の方も、そろそろ限界なのでな」
「え?それはどうして―――ひゃっ!?」

シーモが声を上げたのも無理はない。というのも、彼女の執拗な愛撫により儂の“雄”はすっかり勃起しており、はっきりと定期的な鼓動音が鳴っていたからだ。

「わ、わわっ…凄い……!」
「驚かせてすまんな。其方の愛撫が余りにも気持ち良くて、魔羅がついこうなってしまった」

牙を覗かせて苦笑しつつ話す傍ら、シーモは一瞬呆けた顔を見せた後で頬を赤らめ、溜め息を吐きつつもまじまじとソレを凝視し始める。
血管を浮かせ、雄々しく反り立つ肉棒を前にして「わぁ……」と感嘆した様子で見つめたり、小声で「スカーキングのよりおっきい」と呟いたりと興味津々のようだ。流石に間近でモノを見られ褒められた事がなかった為にじくじくと羞恥心が湧き上がってきたが、今は恩返しを受けている身。此処でケダモノになってはいけない。そう自分に言い聞かせ、平静を装いながら口を開く。

「触れてみるかね? 怪獣王のモノを間近に感じられるのは中々にない機会だぞ」
「……はい。失礼しますね」

体格上手が使えない代わりに、シーンは恐る恐る鼻先で軽くつんつん、と亀頭に触れる。途端に弾みでモノが僅かに左右へ揺れ、 ぺたりと刀身が彼女の頬にくっつく。直後、敏感な箇所にじぃんと冷気が伝わってきたが、それを感じる間もなくじっくり愛おしむかの如く頬擦りを始められると、またもや切なげな吐息が自ずと漏れてしまう。

「っあ……っ…!」
「んっ♥ 貴方のおちんちん、すごく熱くて硬いです…それに脈打ってて、ビクビクって震えてる……♥」

もし挿入が赦されているなら、迷わずシーモの雌蕊と結合したいくらいの心地良さだ。しかし、こちらはギドラの厳命もあるが何よりつがいとしてモスラが居る身、浮気なんて言語道断である。だが時々冷気混じりの吐息を吹きかけられる度に挿入したくなりそうな快楽が込み上げて来るのは抑えようがなく、シーモもそれを知ってか知らずか悪戯っぽく微笑んでくる。
そして見ているだけでは足りなくなってきたのか、彼女はトカゲ特有の長い舌を出して竿ごと籠絡し始めた。その刺激は絶妙なもので、まるで好物の果実を舌で咀嚼するかのように丹念かつ丁寧に舐っていく。

「んちゅっ♥ れろっ♥ じゅぷっ♥」
「くぁあ゛……ッ!♥ っう…ぅ……ッ♥」

不意討ちで敏感な箇所をひんやりとした柔らかいもので包み込まれる感覚に堪らず甘い咆哮が上がった。しかも、それだけではない。先端から根本にかけて何度も往復して舐められると背筋が粟立ち、腰がびくんっと大きく跳ねるのを止められない。

(い、いかん……こんなに奉仕されるのは、っ久しぶり過ぎて…ッ!)
「ふっ……!♥ あぁうっ……!♥」
「んっ♥ ん゛んぅっ♥」

じゅぽっ、ぐぷっ、と下腹部から卑猥な水音が鳴り響き、その度に押し殺した筈の声が漏れ出ては慌てて顎を仰け反らせて誤魔化そうとするが、もう既に遅い。同時にこの声を聞いてシーモが気付いていない訳もなく、“もっと聞かせて”と言わんばかりに淫らに舌を動かして竿ごとしゃぶりついてくるのだ。
おまけに彼女もこの怪獣王の分身を屈させるのに必死なのか、無意識のうちに舌を頻りに動かしてモノを扱き上げ続けている。少しでも気を抜けば、呆気なく射精してしまいそうだ。

「はっ…ぁ……し、シーモぉ……ッ♥」
「っ…?♥」

シーモの名前を呼べば、二対の藍玉が上目遣いで儂を射抜いてくる。その弾みで垂れた先走り汁を吸い上げられると腰の奥が疼いて背中に一筋の恍惚が走る。このままでは本当に彼女の口内にぶちまける羽目になってしまうだろう。

「す…すまんが、そろそろ口を離してくれぬか?其方に無茶はさせたくない」

恩返しという名目ではあるものの、このまま雄の慾を飲ませてしまうということは永きに亘って彼女を甚振っていたスカーキングと同等になってしまう。それを危惧しつつなるべく優しい口調で語りかけるが、シーモは一向に離れようとせずそれどころか、がぽっ、じゅぽっと一際大きい音を立て、尚且つ強く吸引してきた。

「っふぁ!?♥ な、何を…っ!♥」

まるで追い込みを掛けるかのように今度は舌先で尿道口を何度も穿り、そのまま亀頭へと絡みつく。まずい、と思った時には既に遅く、それを好機とばかりにシーモは容赦なく吸い付き始めた。しかもその上目遣いの眼差しは「遠慮なく射精して」と訴えかけてきているようで、こちらの理性が崩壊するのも風前の灯だった。

「あ゛っ、あぁっ!♥ や、やめ……ッシーモぉお゛ッ!♥♥」

辛うじて快楽を留めていた儂にとってはあまりに甘く魅力的な誘惑であり、腰を突き出すかのような形でカクカクと揺らす。するとそれに応じるかのように舌が丹念に竿を拘束し、冷えた粘膜でキツく扱き上げる。まるで根こそぎ搾り取るかのように強く吸い付かれ、そのまま舌先で鈴口を抉られては堪らず甘い咆哮を上げてしまう。

「…っあ゛…うぁぁ……ッ♥♥ む、無理だ……もう…ッ射精るぅ…っ!!♥」

絶頂に抗う術もなく、瞬く間に視界が真っ白に染まる。そして無意識にびくりと腰を突き上げた瞬間、魔羅からどくっ、どくんと不定期な鼓動と共に熱いものが尿道を駆け上がり、途端にシーモのくぐもった声が聴覚を劈いた。

「んぶっ!?♥ んっ……んぅ゛…~〜〜っ!♥」

射精の勢いに驚いたのかシーモは上擦った悲鳴を上げたものの、やがて極上の甘露を味わうかの如く精液を飲み干し始める。最初は苦味に顔を歪めて時折嘔吐いてすらいたが、暫くすると目すら瞑ってコクコクと喉を鳴らし、黙々と味わってすらいる。

「っく…!♥ はぁ…う゛っ……♥」

雄としての絶頂が久しぶりだったせいか、中々放出が止まらないせいで脳髄が蕩けて意識が飛びそうになる。しかし、シーモはそれでも健気に残滓すらも舌でしっかりと舐め取り、最後の最後まで飲み干してくれた。
漸く男根を包み込む冷気交じりの粘膜拘束が解かれると、儂は息遣いも顕にシーモを気遣う。

「大丈夫か、シーモ? なんと無謀なことを……」
「こほっ、げほ…っ! も、申し訳ありませんでした…」

シーモの口許に飲み切れなかった分の白濁液がとろとろと垂れていることに益々罪悪感を覚え、申し訳なさから目を伏せつつぽつりぽつりと謝罪の言葉を口にする。

「いやいや、こちらこそ儂としたことがつい我を忘れてすまなかったな。苦しいなら吐き出しても良かっただろうに」
「いえ、そんな勿体無いこと出来ませんよ。それに…ゴジラさんのだから、飲みたかったんです」
「……! 全く、其方という奴は……!」

あからさまにそう言われてしまえばこれ以上は反論できなくなる。実際に雌を前にしたアルファタイタンとしての本能故か、上の口ながら目の前の雌怪獣を孕ませる勢いで射精したにも関わらず、未だ愚息が萎える気配がない。
そんな中、何やらシーモがもじもじと内股を擦り合わせて何か言いたそうにしているので、どうした?と訊ねてみると彼女は頬を赤らめながら恥ずかしそうに言葉を紡いだ。