【※NTR注意!】
この娼館には人間・怪獣問わず様々な客が訪れてくるが、一部例外もいる。それは、誰かのお目付け役を務めている者がわざわざ時間を作ってやってくる場合だ。
この日の相手も正にそういった類の客であり、同時に忌むべき敵でもあった。
「客の取れ具合はどうかね、ゴジラ」
不敵な笑みを浮かべた偽りの王―――愛しの女王モスラを人質にとったばかりか、それを脅しの種として儂をタイタン達の肉奴隷へと堕とし、尚且つ此処で勤めるきっかけを作った張本人・ギドラはいきなり部屋に来たかと思うと嫌味たっぷりに呟き、悠々と歩を進めてくる。しかもこの時、儂の相手をするつもり『だった』若造が室内に居合わせており、当然ながら当の本人は唐突な来客に足を動かせないまま焦燥感と恐怖が混ざった表情で顔を引き攣らせていた。
「ふん、先客か。貴殿を指名するということは、相当に肝が据わっていると見える」
若造の全身を舐め回すように見つめながらギドラの真ん中の首―――尊大かつ傲岸不遜な口調のイチが喉を鳴らして嗤う。その眼はどこか侮蔑を込めた様子でもあり、それでいて愉快そうに細められていた。
「へぇ……こんなお子ちゃまがねぇ」
「タダの人間風情なのに怪獣のケツ掘るとか物好きな奴だな。あぁ、マセガキ?」
イチに続き、左右の首―――好奇心旺盛ながら軽薄なサンと粗暴な話し方のニに凄まれて若造は棒立ちのまま息を詰まらせる。彼も知恵はあれど力を持たぬ種族である以上、直々に怪獣から至近距離で威圧を受けた事は勿論ないだろう。実際目を見開いた若造の口許からは恐怖で歯の音が鳴り響いており、今にも泣き出しそうだ。
「ま、待てギドラ! 客に手を出すな! 娼館で殺生を起こしたらこの儂が赦さんぞ!!」
「……うん? おいおい、何を言っているんだ。まさか、我がコイツを『殺す』とでも思っているのか?」
声を荒げて必死に止めようとした途端、イチは相変わらず冷たい笑みを浮かべながらこちらに目を向ける。その眼光は如何にも良いことを思いついたと言わんばかりに鈍く輝いている。
「良いか、ゴジラ。我とてこの娼館の掟はつくづく弁えている。この者を『殺生』する理由が何処にあるというのだ?」
「ッ……それはどういう…んむっ!?」
理由を訊こうとする前に、真ん中の首がこちらに鎌首を擡げたかと思うと突然唇を重ねてきた。
ぬるり、とした細くても熱い舌がこちらの口許を抉じ開け、牙すらも舐めて強引に割り入り、そのまま我が物顔で口内を蹂躙される。嫌悪感と散々に仕込まれた背徳感、そして若造の突き刺す様な凝視した目線が逆に興奮を煽り、思わず躰を震わせる。
ああ、頼むから今はこちらを見ないでくれ。若造の方に無言で訴えかけようとするが、それを打ち消すかのように蛇さながらの細い舌が四方を嬲り続け、ほんの僅かな目配りすらも許してくれない。
「んんぅッ!くちゅっ、ん゛っうっ…はふぅ……ン…!」
眼前の滲んで細まった視界が思考を弛ませ、溢れ出した涎が糸を引きながら胸元に滴り落ちる。その間にも若造に見せつけるかのように細い舌と分厚い舌を絡めた接吻を続けながらギドラの翼の関節部分が儂の背びれを愛撫し始め、飛膜が軽く触れただけでも思わずぶるりと小さく躰を震わせてしまった。
(若造、今のうちに逃げてはくれまいか……)
訴えを脳内で巡らす一方で、未だ立ち尽くしたままでいる若造の視線からは『どうして?』というギドラに対して憤怒と困惑の色が垣間見えた。だが、それを察した偽りの王は一旦接吻を止めると意地悪く嗤う。
「ぷはっ…こら、逆らうつもりか? 折角我がわざわざコイツの様子を見に来たというのに、随分と無礼な奴だ。……ゴジラ、観客は居た方が燃えるだろう?」
「!? ッ……な……」
「それに、この人間にもちょっと手伝ってもらいたいんだよねー」
そう言ってサンが目配せした先、ニはどこから持ってきたのか数個のボールを入れたネットバッグを若造の足元に放る。直撃こそしなかったが、彼はその場で腰を抜かして座り込んでしまい、ギドラに向かって使用用途を問おうと目を白黒させているが、当の本人は回答を明らかにするつもりはないらしく、三頭とも呆れたような嘲笑を浮かべて投げかける。
「なっさけないねぇ…こんなザマでコイツの相手をしようとか笑えるんだけど」
「全くだぜ。おいガキ、俺らの指示が出るまでそこを動くんじゃねーぞ?」
彼らがニヤニヤと嗤いながら若造を見据える傍ら、儂の体はギドラの体に吸い寄せられるかの如く後ろから抱き竦められる様にして寝台の縁に座らせられてしまう。勿論若造との距離はあるものの、今改めて本来相手するはずだった客と向かい合わせになった状態な上、益々彼の焦燥と困惑に満ちた表情がありありと伺える。
そんな彼を見やり、イチは相変わらず口元を歪ませながら儂の耳元に近づいた。
「よし……よく見ておけ、小僧。我とこの元怪獣王がどのように互いを求め合うのかをな」
「ぐぅう……っ!」
モスラのみならず若造の命が掛かっている以上拒否する訳にもいかず、それでも羞恥から顔を真っ赤に染めて必死に目線だけでも横へ逸らそうとした矢先、後ろから回り込んできたサンの頭部が胸板にまとわり付き、赤い舌をちろりと這わせた事で躰はびくっと震えてしまう。
「やっ、そこは駄目っ……んぅウッ♥」
鋭い刺激と快感に堪らず背を仰け反らせながら甘い声を漏らしてしまうが、それを待ってましたと言わんばかりに左右から二本の首が頬や首筋を舐り始める。赤い舌がちろちろと舐め上げるたびに、下腹部で身を潜めていたはずの雄の象徴も忽ち熱く滾っていってしまう。
「っは……ぁんっ♥ あッ、やめ、ろぉ……」
(だめだっ…見られているのに躰が勝手に……!)
性的興奮を自覚すると昂った自身だけでなく後ろもじんと疼いてきているのが分かり、堪らずに腰を揺らし始めてしまう。その間にも胸筋が細くくねった二又の舌で舐られ、時折牙でカプッと甘噛みされると背筋から快楽の波濤が押し寄せて背筋が跳ねる。
頻りに左右を愛撫しつつ蛇足するサンとニの舌は手馴れた様子でゴツゴツした表皮の隙間を縫うかの如く這い回り、得も言われぬ違和感が次の快感を生み出す起爆剤となってしまっていた。
「あははー♪ おっぱい無いのにお胸気持ち良さそうだねぇ」
「どこもかしこも弄っただけで直ぐくねらせちまってさぁ、ホント淫らではしたない躰になったもんだぜ」
「う…っぐっ……!」
彼らの淫らな暴言と共に、胸を執拗に嬲っていた舌は今度は腹筋と脇腹に至るまで舐り回す。その感覚はまるで二対の細かな触手で弄られ犯されているようで、堪らずに身を捩じらせるも躰は言う事を聞いてくれないばかりか、まるで快楽を強請るかのように疼き出し、羞恥で頭がおかしくなりそうだ。そんな中ギドラの手に相当する翼の関節部分が、儂の勃ちつつある男根に軽く当てられる。
「んぁっ!」
表面に軽く当たっただけなのに悲鳴が漏れると同時躰がビクンと反応し、先走りの汁がじんわりと滲んできたせいで「ぐちゅ」と水音が立ってしまったのが分かる。その感覚に目を瞑り恥じらっていると、イチは眼を細めて嗤う。
「良いのか? 雄がそんな生娘のような態度で可愛らしい声を上げていては、彼処の観客に笑われるぞ?」
「だ、黙れ…っ誰のせいでぇ……はぁあんッ!」
ねっとりと男根の先端を這っていた翼が裏筋をツゥっと撫でていき、自分のものとはかけ離れた熱さがゾクゾクと脳裏まで伝わってくる。それに呼応するかのように不本意ながらも自身が熱く滾っては水音もまた大きくなり、同時に口から漏れた恥ずかしい声を必死で隠すように息遣いが荒くなってしまう。
「何恥ずかしがってんの、本来取るはずだったお客さんに見られて気持ちいい癖にさー。ねぇ兄ちゃん? コイツってドマゾかつタイタン共の肉便器のくせして、プライドだけはやたら高いね?」
「アァっ!?ちがッ、違ぁ゙……あんっ♥」
肉便器という屈辱的な発言を否定するも虚しく、爪先で左太腿を軽くカリっと引っかかれると痛みで全身が硬直し、顎が仰け反ってしまう。止まぬ言葉責めと快感に気を抜くと忽ち“雌”になってしまいそうだが、若造の居る前でそれは避けたいと思い懸命に腹筋を震わせて堪えた。しかしそれも無駄な足掻きでしかなく今度はもう片方の手が陽根の先端を摘み上げ、反応を確かめるかの如くスリスリと撫で擦る。
「ひぅっ…!? さ、触る…なぁっ……!」
雄の急所を直接捕らわれた事に目を見開き反論ながらも、躰は素直に反応を示してしまう。その箇所を刺激される度に、まるで仕掛けでも施されたかの如くモノ自体がビクリと跳ねては先端からトロついた粘液が滴り落ちていくのが自分でも解るほどだ。
「ほぅ…ひどく期待しているではないか。この濡れようからして…ククッ、我という“ご主人様”に仕込まれた躰は尚も忠実なようだな」
「ゔあぁっ!そ…そんなことぉっ……」
否定の言葉を発するものの、左手の指が陽根を上下に扱き始めた瞬間から頭の中は真っ白になり、もはやまともな言葉を紡ぐ事もままならない。その最中もサン達は首筋を強く舐ったり、時々小声でそっと「この淫乱」だの「ドスケベ」等とはしたない発言を囁いてきたりと精神すら嬲られ始めていき、全身が毒に侵される寸前のような、いっそ此処から溶けて消えた方が楽になれるのではないかという背徳感による陶酔感が押し寄せ、涙で視界が霞んできた。
「無駄な意地を張っている暇なぞないんじゃないのか? あちらの客を待たせるのも酷と言うものだ」
そんなギドラの言葉通り、こちらの方を見たままの若造は不安げな面持ちでその場に座り込んでいた。ギドラの命令もあるとはいえ決して目を背けず、余す事なく淫靡な戯れを見ている。それが彼なりのせめてもの誠意なのであろうと思うと益々心が軋んだ。
「さぁ、『どうする?』『どうするんだ?』」
二匹の舌が言葉混じりに、尚且つ交互小刻みに掠め、焦らされていた陽根に弱く吸い付くと絶頂寸前の快楽が迸りそうになる。そんな最中、思案していたかのようなサンの頭部が儂の陰囊に近付き、つっと舌を這わせた途端急な刺激に儂は悶えながら大きく腰を反らしてしまう。
「ひぁっ♥ あ、ぅああんっ♥♥」
「ほら、ま~た喘いで誤魔化す!素直に“お願いです”って言ったら気持ち良くしてあげるのにさー」
「だ、誰が……ッ! ひぃうっ、く…っゔぁああっ♥♥」
「あは、悲鳴に近い声でてるのに感じてる所だけは正直にピクってしちゃうなんて……可愛い♥」
根元から裏筋に渡り、襞を辿る様に丁寧に伝い上がってきたサンの舌先が雁首をぴちゃぴちゃと弄び、その度にビクビクと浅ましく躰が震える。浅く繰り返された呼吸によって興奮と共に熱く脈動する生殖器は、だらしなく先走り液を垂れ流し、それを舐め取る度にいやらしい粘着音が自分の聴覚を犯し、羞恥で全身を更に火照らせていく。
種族違いながら客であり、同性に見られると云う気まずさと羞恥心に身体の奥がじくじくと疼きだすと、陰嚢の中で活性化された造精細胞の猛りによって子種が大量につくられているのであろう感覚が押し寄せてきた。その脈動を必死に堪えようと強く下腹部に力を込めて屹立を落ち着かせるべく太腿を強張らせるものの、そこに加勢としてニの舌が先端を嬲ってきたせいでそれは空しく瓦解してしまう。
「ぁんッ! あ゙ぁっ、くっ♥ そこや゙…だぁ♥♥」
膨れ上がる欲情を示す敏感な先端を二頭がかりで容赦なく弄ばれ、時々どちらかが露を垂れ流す源泉を舌で抉っては、儂の理性のタガは今にも外れてしまいそうになる。それでもこんな辱めを受けているのに、躰の昂りも絶頂の近い兆候も止まる事なく強まっているばかりで、そんな浅ましい自分が嫌で恥ずかしくて堪らず、若造に対して謝罪の言葉が零れ出てしまう。
「わ、若ぞ…んぅッ♥ う……すまなっ…ぁ゛っ♥ こんな惨めな姿をっ… もうお願いだからぁっ……見ないでくれぇッ!」
儂の羞恥を痛い程に感じているであろう若造は瞬きもせずに只管此方を見つめ続け、その無垢な視線が尚更痛い。だがそんな心配も余所にニとサンは攻めを休める事もなく、わざと音が立つように陰嚢を、雁首をも舌で舐めしゃぶる。しかもそこにイチの頭部が耳許に近付き、吐息混じりにこう囁いた。
「何を謝る事がある? 貴様の躰はもう快楽には絶対に抗えぬのだ。あの小僧の見ている前で、何時もの様に吐き出してしまえ」
「んんぅ……! んぁっ、射精るっ……! 嫌、だっ…あぁあああっ♥♥!!」
ギドラの妖艶な声色を引き金に脳髄を溶かしきられるほどの淫楽に毒され、腰の内側から中心に向かって快感が駆け上がり、忽ち儂は己の股を勢いよく果てさせてしまった。それが普段と異なり多量の蜜液が鈴口から噴きあがった事は自分自身でも理解出来たが、同時に雄としての解放感を覚え一瞬の快楽に恍惚とした感覚に身を任せてしまう。
「はぁぁ゙っ……♥ ふぅ…っ…ンはぁ、っ……!」
絶頂の瞬間に極限まで引き締まり固くなっていた全身の筋肉が、くにゃりと力を失い徐々に緩み始めてしまう。精を吐き出したのに躰の奥にじくじくと残っていた欲情や羞恥心、妙な寂寥感は一向に収まらず、寧ろ却って全身を掻き毟りたくなるような罪悪感に苛まれ、涙が目尻からぽろぽろと零れ出てくる。
けれどもこちらがどんなに涙を流そうが、如何に惨めな醜態を晒そうが偽りの王は自らが満足するまでそれを許してはくれない。未だ熱を孕み固さを保っている儂の男根にちろちろと舌を這わせながら、イチは囁き掛ける。
「フッ…どうした? 娼館では毎度の如く相手が満足するまで何度も達し、精を搾り取った筈だろう? 何を嫌がるんだ?」
「あぅっ……♥ ち、ちがぁ…っこんなっ…あぁんっ……!♥♥」
言葉を遮るかの如く再び白濁のこびり付く胸板に舌を動かされ、甲高い声が上がってしまう。無論それはただの反射的な反応なのだが、イチはそれを敢えて否定するような口調で質問を続けてきた。
「違わんな? この反応を見るに、余程ヌルい客しか取ってこなかったか長らく手持ち無沙汰だった。そうだろう?」
「ぁ……っあ、んぅう♥♥」
そんな事はないと思いつつもニの舌遣いは開かれた内腿を再び愛撫し、同時にサンの舌が何時の間にか尿道に残っていた精液を抉り取るかのようにぐりぐりと動き、未だ残る絶頂感の余韻を無理やりにでも長引かせる。
(嫌だ…違う……俺は……っ)
誰に見られても躰の奥が焦れったく昂ぶる自分の浅ましさに泣きたくなりながらも必死で否定の言葉を探すものの、直ぐに胸板を軽く甘噛みされると蕩け切った媚声しか出てこなくなる。すると、ニが「そうだ」と小声で声を漏らすと、イチへ内緒話かのように何かを耳打ちする。それを聞いた彼が何かを思いついたかのように若造へ視線を映すと唐突に口を開いた。
「“若造”」
彼が小僧呼びから打って変わってそう呼んだ時、若造は眼を見開いて息を詰まらせ、びくりと肩を震わせた。
「時間だ。その袋を持って此方に来い。逃げようなどと思うなよ?」
イチの言葉に、若造はおずおずと立ち上がると先程ニによって投げつけられたボール入りの袋を抱えて近付き、儂の前に来るとその場に立ち尽くす。
一体これで何をするつもりだろうとお互い疑問に思っていた最中、ニとサンの頭部が無防備に晒された後孔の近くに迫る。
サンはこれから起こる事を期待して目を輝かせる一方、ニは若造へ睨めつくような視線を送るとこんな事を言い出した。
「さぁて坊主…つーか若造だったか。次は中に入ってる球を全部肉洞に入れてってくれ。それがお前の仕事だ」
「な……ッ?!」
この死刑宣告と言っていいその言葉に思わず声が漏れてしまい、平静も装わずに二匹の様子を愕然として凝視した……が、案の定彼らは面白い見世物を期待するかの様な眼色をこちらに向けてきている。まるで獲物を弄び見下している様な肉食獣の目線が儂に突き刺さる中、若造は震えながら首を振りつつ後退る。しかしギドラから発せられた威圧と命令がそれを許さない。
「聞こえなかったか若造? “肉洞に全部”入れろと命じた筈だ」
「そうそう。それにコレはただのゴムボールじゃなくて、この娼館の売店で暴れ…購入した特殊な玩具の一種でね。ちょっと強めに圧迫すると中からローションが出る仕組みになってるんだよ」
「一気に入れちまうと流石に孔がキズ物になっちまうからな……ほれ、グズグズしてないでさっさとブチ込め!」
臆した若造の意思を無視し、語尾の部分でギドラが威嚇の意味を込めて蝙蝠の如し翼を広げる。部屋の天井を貫きかねん勢いの怒号に若造の躰は硬直し全身ごとビクンっと跳ね上がり、すっかり脚の力が抜けた彼はその場で崩れ落ちてしまった。
そんな状態でも足が竦んだせいで這いつくばり、必死に自分の拳より少し大きめの青いボールを袋から取り出してはそれと儂の顔を交互に見ている。どうやらボールの挿入を躊躇っているようで、その手つきはひどく震えていた。
「…し、心配するな若造。こんな事は何度もやってきた身だ、十分に慣れておる。だから――うッ!?♥」
怯えきった若造に対し、宥めるべく優しい言葉を投げかけた瞬間、雁首にギドラの指先がズリュッと触れた。
無駄口を叩くなと言いたげな荒々しい手つきに儂は再び躰を仰け反らせ、拒もうと腰を突き出せば再び肉鞘ごと扱かれ、忽ち雌犬の如き嬌声を上げてしまう。
「あ゛ゔぁッ…!んぁあ゛あぁっ!♥♥」
「遅すぎー。お前誰かを相手する時こんなにトロいの? ほらほら、早くしないとまたイカせちゃうよ〜?」
サンが若造に軽口を叩く中、最初に取り出した青色のボールをきつく握り締めながらも若造は何とか手を掲げ、ゆっくりと儂の菊門へ近づけていった。
(嫌だ…そんなモノを挿入たくなどない……!)
心中でそんな悲痛な叫びも届く事はなく、ある程度の距離まで近づいたところで一旦手が止まったかと思うとゴクリと喉を鳴らす音が聞こえてきた。それがどのような感情を表す態度なのかは言うまでもない。
そして覚悟が定まったのか、彼はくっと目を瞑ると一気に球体を埋め込む形で儂の後孔へぐぽん、と押し込んだ。
途端に冷たい感触が直腸内に広がり、何かが込み上げてくる。
「ぐっ……ぅあ゛っ…! はぁあ゛ぁぁあぁんっ!!」
脳天を突き抜ける快感と共に肉棒や陰嚢を小刻みに揺らしてしまう程の衝撃が走り、それが連鎖反応の如く全身を駆け巡る。目の焦点が合わずに視界がぼやけ、どれだけ躰を捩ろうとも後孔から込み上げる快楽の濁流に翻弄される事しか出来ず、口からは絶叫交じりの嬌声が出てしまう。
(は…入ってくるぅ゙っ…冷たいのがぁ……!)
奥に押し込まれてある程度の地点に止まった直後、肉壁の圧迫により圧し潰された弾みでボールからローションがびゅっと噴き出してきた。先程は冷たいと感じたそれが肉壁の体温に温められば、じわじわと直腸に染み渡っていく。その感覚がまた被虐感をも増長させ、この淫らな行為に声を殺し歯噛みするばかりだ。
「あ゛ぅゔッ…んぐっうぅ、ぁ……♥♥」
「うわ〜、1個目で出来上がっちゃってるねー。完全に発情しきったメスの顔しちゃってまあ……」
「なんだかんだ言いながら自分の孔に突っ込まれて興奮してやがるんだ。ほら、次も早く入れろ」
ニの催促を受け、若造は再び袋に手を突っ込むと無造作に取り出した桃色のボールを握り締め、一度深呼吸をした後にそれを儂の後孔にぐりっと押し込んだ。
「んあ゛あぁっ!くぅっ……ぅ…♥♥」
ヌププ……と粘性のある音を立てながらボールがゆっくりと押し込まれていく。
孔が徐々に拡げられていく感覚と、肉壺に埋まれば先程と同じようにローションがどぷん、と出され、奥への侵入を許してしまう。否応に生み出された快感で儂の腰が痙攣すると共に首をのけ反らせながら躰が硬直するも、それを面白そうに眺めつつ三頭は下卑た笑みを向けてくる。
「まだイッたりしたら駄目だよ〜? 気を抜いて落としたらそこからやり直しだからね」
「あんだけ射精したのにチンポまた勃起しちまってるなぁ。……ったく、たった二個目でこんなになるとは、元怪獣王サマは立派なマゾに成り下がったもんだな」
苦悶と悦楽に呻き声を上げる様を見て彼らが愉しそうに嗤う中、若造の手は休むことなく袋の中に手を突っ込み続け、新たに黄色の三個目を取り出した。
忌々しい宿敵の体色を連想させるそれを見て思わず息が引き攣りそうになるも、せめて若造を躊躇させないようにと彼を促した。
「あっ…くっ……!わ、若造っ…遠慮など、しなくて良いんだぞ? 前に此処で交合った、みたいに……存分に、儂で愉しんでくれ…!」
その言葉に我に返ったのか、若造は小さく頷くと一度深呼吸をした後、ゆっくりとボールを儂の菊門へ近づけていった……が、その目は虚ろながらこの異様な空気に圧されたせいか息遣いは荒い。
明らかに今までとは様子が違う事に気が付いた時、若造の持ったボールは一気に儂の躰を貫いた。
「ひあ゛ぁッ!ぁぁっ……ゔ…ッ!」
勢い良く挿入されたボールが腸内粘膜を激しく摩擦し、肉壁の圧でそこからローションを噴き出しつつ内部に易々と滑り込んでくる。既に入った二個がごりゅん、と奥の壁にぶつかった所で留まるも、あと数個入ってしまえば前立腺にまで到達してしまうだろう。
「くぅっ♥ うぁっ……んぉおッ!」
「ほらほら、手ェ止めんじゃねーぞ。あと残り四個もあるんだから、グズグズすんな!」
「こんなに手際が悪いとは、随分と我を退屈させてくれる。その調子だと夜が明けても終わりそうにないな?」
ニの怒鳴り声とイチの呆れたような言葉に若造はハッとした表情を浮かべ、慌てて残りのボールを袋から取り出した。
今度は赤色の球体で、ギドラの配下に成り下がった炎の悪魔・ラドンを思い起こさせるそれを見て、儂は思わず背筋が凍る。だが今更足掻く事も出来ず、ゆっくりと押し当てられた球体が孔にめり込んでくる感触に声を抑えるので精一杯だ。
「はっぁ…♥ くぅっ……んふッ……ぅ゙…!」
最初は浅い部分で止まり、そこから若造の手で押し込まれて徐々に奥へと入るそれは、まるで過去にラドンのモノが徐々に儂の中へと入り込み、散々に蹂躙した感覚と似ていた。
最初こそ躰に馴染みきらない異物感があったが、やはり圧迫すればローションがどぷりと吐き出されると直ぐにそれが快感へと変わり、まるで本物の雄に陵辱されているかのような錯覚に陥る。
「くふっ…ッ♥ あ゛っ、んぁっ! んぅゔっ……!!」
(気を緩めるな…絶対に落としてはならん……!!)
無意識に腰を振ってしまえば腸内がゴロゴロと掻き回されるような錯覚に陥り、締め付ければとろりと愛液宜しく今までボールから吐き出されたローションが腸内から垂れ落ち、固く起った自身の鈴口からだらだらと先走り液と垂れ混じって床を汚す。
あと半分で終わる、と思いを侍らせつつ羞恥に耐えて目を瞑っている間にまた新たなボールが後孔に押し込められ、堪らず腰が砕けそうになる程の凄まじい衝撃が走った。
「あ゛ぁっ♥♥」
今度は色を確認する間も置かず、五度目の腸壁が濡れて押し拡げられる快感に無様にも喘いでしまう。しかも既に奥に入った球体が不意に前立腺を掠めるもので、まるで絶頂の前兆の如く躰がぶるりと震え、広げられた脚がガクガクと痙攣する。
「今のでイカなかったか…ざんね〜ん」
「ま、今ザーメン出したところでこのガキに全部掛かっちまうからなぁ…キヒヒッ」
「はぁ…はぁっ♥ うぁっ、ぐっ…! あ゛ぁぅうう♥♥」
サンとニが残念そうな口調でそれぞれ言葉を投げかけてくる中、儂は辛うじて首を左右に振り乱して拒絶の意思を示した。
(イケるものか……こんな所で達してしまうなど…っ!)
一度でも絶頂に達してしまえば今まで堪えていたものが台無しになり、若造にもいろいろな意味で多大な迷惑を被ってしまう。そう分かっているからこそ、儂は必死に歯を食い縛り、全身を駆け巡る快感に抗う。
「なかなか頑張るねぇ」
「でもあと二個だぜ?イきそうになったらちゃっちゃと言うんだぞ〜」
「はぁ……ぅ゙ッ! ふざけ、おってぇ…ッ!!」
既に五個目であるのにも関わらず一向に落としもしない儂に対してからかう様に嗤う二頭だが、本当は彼らが望んでいる事など分かりきっている。この場で達したら弾みで入れられてきたボールが殆ど落ちてしまい、またそこからやり直しを強いられるだろう。
もしそうなったら、と考えるだけでもゾッとした。万が一初めから繰り返されたらと想像しただけでナカが蠢き、全身が熱を帯びて新たな先走りがツゥっと垂れるのを感じる……そんな浅ましい自らの躰に絶望しながらも、無機質に入ってくる新たな緑色の球を受け入れていった。
「ふぅッ♥ ン゙ぁ、はぁ……っあ゛ぅゔ!」
ぐじゅり、と淫猥な音が立つと先に入っていた色とりどりのボールが腸壁を押し上げ、最初の数個が結腸を掠める。ほんの一瞬の強い快感に躰が跳ね、弾みで既に埋まっていた球体達がローションの滑りに任せて一斉に腸内をグリュっと一撫でしていくと、一体幾つ入っているのか忘れてしまう程の快楽の暴力に襲われた。
宛ら内から腹を殴られた様な衝撃に思わず大口を開け、その牙や口内から覗く舌に引っ切り無しに唾液が滴り落ちる。
「あれ、なんか蕩けた表情しちゃってるね。 あ・や・し・いなぁ〜。もしかして…そんなにそのボール気に入ったの?」
サンからの指摘に思わず声が上擦り、否定する前に孔を締めてしまった。その所為でまた奥で球体が擦れ、再び快感の波が込み上げてくる。しかもそれは若造に見られていて、儂がこの責め苦に耐えている事を知っているからこそ彼も羞恥を感じているらしく頬を真っ赤にして顔を背ける様子が目に映る。
(こんなモノが気に入る訳なかろう……!)
言葉が出せない分心の中でサンへ反論する中、いつの間にか顔の間近くに移動していたイチが儂の表情を覗き込んでにんまりと目を細めた。
「ほぅ…今ので達しなかったか。名残惜しいが、次で最後だ」
ギドラの愉しげな声が聞こえると同時に紫色の七個目―――つまり最後のひとつが取り出され、そのまま後孔の縁にひたり、と当てられた。この時既に儂の結腸近くには最初に入れられた青と桃色のボールが二個鎮座しており、少しでも押し込められればすんなりと入ってしまうだろう。
「ぐっ……ぅうっ……! はあ゛ッ、はぁ゙っ♥」
「うわぁ、すっごいね。コイツの孔すっかりギチギチじゃん。正に“まんいんおんれい”一歩手前…ってやつ?」
「そうだな。さぁ若造、一思いに入れてしまえ。それでお前の仕事は終わるぞ?」
そんな儂の心を知ってか知らずか、イチは若造に優しく声をかける。
それを耳にした彼は一度深呼吸をした後、ゆっくりとボールを儂の菊門へ近づかせていく。だがあと一押しという所で手が止まり、儂の顔を窺ってきた。
「んっ…も、もう少しだから早く……う゛ぅっ♥♥」
若造が何を躊躇っているのかは十二分に分かっているものの、今は彼の優しさに甘えてしまっても良いだろう。その一心で催促すれば彼は小さく頷き、最後の球体をずぷんっ♥と菊門の中へと沈み込ませた。
「あ゛ぁッ! がっ……ひぃあ゛あァァァッ♥♥!?」
勢い良く挿入されたボールが腸内粘膜を激しく摩擦し、ゴリっと一斉に上へ押し上げられていく。しかも今までのように押し込んだだけではなかなか球体が納まりきらなかったらしく、強めに下から突き上げられた反動で結腸に数個が入り込み、思わぬ闖入の感覚に背中を大きく仰け反らせながら絶叫した。
「お゛ッ♥♥ ひぐぅっ……あァッ! あぁぁっ…んあ゛ぁぁあぁっ♥♥!!」
「うわぁ、スゴ…。見てよ兄ちゃん、コイツの悦がり方! もう普通にヤるより叫んでるんじゃない?」
「予想通りの展開になったな……これで堕ちない訳がなかろう」
イチ達のそんな会話など耳に入らず、与えられる衝撃を処理しきれない。突き抜けた快感から逃れようと思わず身動ぎをしようとしたが、またしても詰め込まれた七個の球体に腸壁を擦られてしまい嬌声を上げてしまう。
「そんなに暴れるとボールが落ちちまうぜ? まあ、俺は別に構わないけど……」
「ひっ…はぁっあ♥ ぁひっ、も…もう出させてぇッ……んぐぅゔゔうゔぅうぅ゙ーーっっ♥♥!!」
「良いではないか。もう少し見ていたかったが、漸く伴侶の可愛い願いを聞けたんだ。場所を変えよう」