偽りの王の至福媚毒 3

絞り出された懇願が紡がれるたびに、儂の下腹部は呪いにかかったが如く、じんじんと疼いた。
焼けつくような熱が、全身を這い上がってくる。
媚薬―――ティアマットの生き血が、儂の躰を淫らな熱で焼き焦がしている。
そんな浅ましい己の姿を自覚するたびに、さらに羞恥が込み上げる。
だがギドラは、今にも笑い出しそうな声色で嗤った。

「上出来だ。貴殿がやる気を出してくれぬと、一向に燃えぬからな…!」

ぱんっ!!
言葉が終わらぬうちに両の尻たぶが強く叩かれる。それを合図に、脊髄の奥を甘い電流が駆け巡った。

「ひぁッ……♥♥ あ゛ッ、あぁッ!!♥」

腰が砕ける。膝が震える。苦痛の余韻が残る中、辛うじて体勢を立て直そうとした刹那―――。

ずっぶぅぅぅっ♥♥♥

散々焦らされた後孔に、ギドラの雄棒が無遠慮に捻じ込まれた。

「あ゛っ、ぁひぃッ!? は、入って……っおぉ、ぁおおお゛ッ♥♥♥♥」

限界まで拡がった菊膜が力強い結合音を立てつつ生きた異物を淫猥に咥え込むと、腸内を埋め尽くす圧倒的な質量が 胃の奥まで快楽を押し上げる。
―――太い。熱い。痛い。苦しい。
それらがぐちゃぐちゃに混ざり合い、思考が痺れる。

「くぅ…っ! 相変わらず、貴殿の中はよく締まるな……ッ!」
「あ゛っ、あ、あぁあッ!♥♥ っはぁ、んぉ゛おッ♥♥♥」

脳が痺れ、意識が白む。気絶することすらも許されず、ギドラの腰が軽く突き上げるだけで快楽の暴悦が走り、強制的に覚醒させられる。

「ヒッ……ぅぐあぁああ゛ッ!!♥♥ ぐぅっ、あ…っぁ……♥ キツ…ぅ…♥♥」
「のっけからすげぇ声だなぁ…ま、こっちもヤリ甲斐があるんだけどさ♪」

ニの嘲笑が響くが、今の儂には言い返す気力すらない。強烈な刺激により媚薬の効果が暴走し、瞬く間に雌堕ちしたそこは、奥へ奥へと突き進んでくる双頭巨根の感覚を求めて自ら蠕動する。
絶命しかねない程に気持ちいい。腸壁が快楽を乞うように、むしゃぶりついて離れない。
一方で、体内に押し込まれた対の異物が未だに強く波打っている。
腹が破れんばかりの存在感。背骨まで届きそうな、強烈な圧迫感。それらすべてを凌駕する、媚薬に支配された快楽。

「あ゛っ!? んへぇえ゛…っ!♥♥  ぬ、抜いてぇ……!♥♥」
「思う存分突き上げてと言ったのは貴殿だろう? まさか、もう根を上げるのか?」

詰りながらも、どこか嬉しげな声。
その余裕が悔しくて、牙をぐっと食いしばる―――だが、それすらも次の瞬間には肉孔を抉る快楽にかき消される。

「や゛め……あ ぁあ゛あッ!♥ それだめ、っ動かな―――…っ!♥♥♥」

じゅぷっ……! ずぢゅっ、ぱんっぱん、ばちんっ……!♥
ぎっちり埋まった結合部分から、聴覚を塞ぎたくなるほどの卑猥な音色が響く。肉孔を抉る律動が、寝台をギシギシと大きく軋ませる。最奥を打たれるたびに、胃が押し上げられてはじわじわと腸壁を塗り潰していく。

「あ゛ぁ……ッ!♥♥ んぉお゛ッ♥ ひぃいっ♥♥♥」
(こんなので堕ちては駄目、なのに……っ!)

肉孔を埋め尽くす怒涛の質量が、快楽と共に理性を呑み込んでいく。
逃げなければ。このままでは、完全に壊されてしまう。
だが―――そんなささやかな抵抗すらも、ギドラは許さない。

ズブゥッ!!

「あ゛ぎッ――――!!?♥♥♥」

最奥の肉輪へ男根の先端が捻じ込まれた瞬間に背筋が仰け反り、絶叫が迸る。
これが、ギドラの支配。骨の髄にまで刻み込まれるほどの、圧倒的な快楽の制裁。儂の理性が粉砕されるのは、もう―――すぐそこだった。

「ふぎィっ!? はっ、ァ……ッああ゛あぁっ!!♥♥」
「あぁ……やっとここまで来れた。我はこの日が来ることを、待ち望んでいたのだぞ…?」

がぶり。流血せんばかりに儂の首筋へイチの牙が食い込む。
体表を穿つ苦痛に伴い、僅かに溢れた血を辿って喉元を舐め上げるような感触が走り、思わず甘い喘ぎが零れた。

「ぐあ…ッ痛ぁ……!♥」
「ふふ……可愛い奴よ」

低く笑みを含んだ囁きが聴覚をくすぐる。まるで甘く慈しむような声音。
だが―――これはギドラにとってほんの「序の口」に過ぎない。
案の定、背後で3つの頭のうちの1つが鼻で嗤った瞬間、腸内に捻じ込まれた巨根が一層膨れ上がった。

「かひゅっ!? っ〜〜ギドラぁあ゛っ…!♥ おぐぅッ…やめ……ひぃぁアあ゛ァ〜〜〜ッッ♥♥♥」

媚薬のせいで、身体が勝手に悦んでしまう。それが分かるほどに、さらに羞恥が増す。
時折巨根が膨張するたびに、腸壁の襞という襞が無遠慮に掻き毟られ、男根を押し返すように締め付けてしまう。

「んぉおッ!♥♥ ぉひぃ…っぐ……はげし…っあ、ぁ゛っ……くぅうゔッ!!♥」

パンッ、パンッ!と、頻りに打ち付けられる臀部から肉と肉のかち合う破裂音が響く。
後孔から腸液が弾け飛ぶたび、焼けつくような熱が腹の奥を焦がしていく。

「嫌々と言う割には、何故貴殿の肉孔はこんなにも締め付けてくるのだ? やはり日頃からヌルい客ばかりで、欲求不満が溜まっていたのでは……ん? どうだ?」
「はっ…? そ…そんな、わからなっ……ッあひィッ!?♥」

後孔内の男根が、突如として引き抜かれる。喪失感と切なさに、後孔が自ずと窄まり―――かと思えば直後に貫かれ、何度も抜いては穿たれる。単純な動きなのに、こちらにとっては狂い果てかねない拷問そのものだ。

「あ゛っ、ぁが……ッ!?♥ あ、お゛ぉッ!!?♥♥」
「どうなんだ? 本当はこうやって肉孔が裏返るほどに突かれ……泣き叫んだ果てに、子種を注がれたくて仕方がないのだろう?」
「くひィィッ!?♥ かはぁっ…♥♥ あ゛っァぁあっ!♥」

僅かでも腰を逃がそうとした刹那―――。
ズゴォッ!!
ギドラが嘲笑と共に腰を大きく打ち付ける。腹の奥を、ぶん殴られた様な衝撃が貫いた。腸内を満たす異物が、容赦なく結腸弁をえぐり返す。

「っぁ……!!♥♥ やっ…ぁあ゛っ!!」

ぐりぐりと押し込まれてしまえば、徐々に意識が溶けるように薄れていく。しかしギドラは一度喰らいついたが最後、こちらを逃がすつもりなど、さらさらない。
その内にギドラはひとつ溜息を吐くと、徐ろにニとサンの首をぐるりと伸ばし、儂の両腕を羽交い絞めにする。そこから上半身が持ち上がれば、ほぼ強制的に膝立ちの態勢にされてしまう。

「なっ……!?」
「丁度良い機会だ。貴殿の言葉が何処まで真実か……この身を以て証明しようではないか」

その言葉が辛うじて残っていた、儂の理性が最後に聞いた声だった。
次の瞬間―――。
ばちゅばちゅばちゅっ!!宛ら嵐の如き律動が、始まる。

「ぁっ―――♥♥ ひっぎィィイイッッ♥♥♥」

変らぬ速度で後孔を激しく穿たれ、腹筋が強く仰け反る。だが、繋ぎ止められた腰は逃げない。否、逃がれるどころか、回避する手段などどこにもない。
目の前が霞む。意識が溶ける。なのに―――。

「はっ……♥ はっ、くぅ゛あぁ……♥♥」

魂ごと破壊されるほどの快楽に、儂はただ絶叫交じりに甘い吐息を零すしかなかった。

「ぉ゛ひぃいッ!♥ ぃあ゛っ、あ゛ぁアァッ!!♥♥ や…っ♥ ギド、ラぁっ……も、ゆるじぇ…っ!♥ ひぎっ、んあ゛ぁああッ!!♥♥♥
「今度は“許して”と来たか…ホントはもっと俺らにイジメて欲しい癖によ」
「そうだね兄ちゃん。コイツの腹、突き上げる度にボッコンボッコンって波打ってるもん。見てて面白〜い♪」

―――ズンッ!!

「んぎィッ!♥♥ や゛め……言うなぁっ!♥ お願……っも、イきたくないぃっ!♥♥」

無慈悲な衝撃が、腹の内側から押し広げる。外から見ても分かるほどに、儂の腹部は突き上げられるたびに大きく膨らみ―――双頭陰茎の形が、くっきりと浮かび上がる。
羞恥に涙が滲む。

「あ゛ぁあッ!?♥♥ あ、は……っ!♥ も、イくのやだぁ…っ!♥♥♥」

白目を剥き、舌がだらしなく突き出る。みっともなく悶えても虚しく揺れる己の男根。その先端からは、与えられる快楽の許容量を超えた証―――潮と呼ばれる透明な飛沫が絶え間なく噴き出る。

「キヒヒっ、何遍イったかもう数え切れないってか。 でもなゴジラ、それは俺らが満足するまで続くんだぜ?」
「ひぐうぅッ!♥♥♥ んあァッ!♥ ぅ、かはぁっ……♥♥」

ニが狂笑する中、サンもまた首を伸ばす。その先は儂の腹部―――先程指摘された箇所、それも肉壁の奥深くに埋まったままの魔羅の輪郭を象った箇所にそれぞれ舌を這わせ、腹筋越しの歪な凸部分に、軽く牙が立てられ、ぞくり、と儂の全身が戦慄く。
じゅくっ。表皮を噛まれた刺激が腰へと伝う。苦痛を覚えるより甘く痺れた感覚が、快楽へと変換される。

「はへ……ぁ、んやぁあっ!?♥♥ ま…まら゛イッたばかりのに…ぃぐっ、イぎゅうぅ……っンあ゛ぁぁあッ!♥♥」

既に幾度目かも分からぬ絶頂が、容赦なく躰を貫く。
今夜だけで何度イかされただろう。もう二桁すら超えているかもしれない。

「あっはははっ! イキたくないと言いつつすぐアクメしちゃうとか、本当に素直じゃないなぁ、元怪獣王サマは!そんなんだと、先が思いやられるよ?」
「あ゛っ……ぁへぇ…っ♥♥ も…やぇ゛てぇっ……♥」

最早呂律すら回らない。脳が蕩け、涙を流しながらのたうち回ることしかできない。

(このままでは―――突かれながら、イキ殺される……っ♥)

そんな確信が過った刹那。
びくんっ!と埋め込まれたままの魔羅が、内壁を叩くように波打つ。左右の首が荒く息を吐き、時折呻いている。

(……もうすぐ、ギドラが……!)

案の定激しかった律動が不安定に、そして切羽詰まったものへと変わる。

「ぐぅ…ッ射精すぞ、ゴジラ……!」

返答する間もなく、腹の奥がどぷっ♥と一気に熱く満たされる。

「あ゛っ……!?♥ あぅ…ぁへああ゛ッ……〜〜っっ♥♥ ぁ…あっづいぃ……っ!♥」

熱い。熱い。熱すぎる……!
胸筋がビクビクと逸れるたびに、中に埋まったままの魔羅が、どく、どくと脈動しながら精を吐き出す。腸内を塗りつぶすように、ぐにぐにと擦りつけられる。

「っぁ、んぉお゛ッ……♥♥ お゛へぇぇ~っ♥♥」
(こんな量、とても受けきれぬ…。なのに―――なぜ、俺はもっと欲しいと願っている……!?)

思考回路が快楽に呑まれる。理性の残滓が媚薬と白濁の熱に塗り潰されていく。

「……ふぅ、これでひとまず1発目か。どうだ? 久方ぶりに腹の中を貫かれ、注がれる感覚は」
「はぁ… はぁ……ぅう゛っ♥」

返答する気すら、起きない。これ以上は無理だという思考の反面……注がれた子種で、理性すら塗り潰してほしい。

(こんな事、考えてはいけない……ッ!!)

けれど無情にも脱力した頭部がコクンと頷けば、それを肯定と受け取ったギドラが鼻で嗤う。ずるり、と音を立てて、後孔から魔羅が引き抜かれる。
その後はすぐさま挿入されなかったものの、当然ながらまだ終わる気配などないと、本能が察していた。
新たな快楽地獄が始まる、と。

「んはぁ…っ……♥」

すっかり悦楽に屈した後孔は、名残惜しそうにモノが抜け出た後も、くぱぁ……と開いたままで、そこから白濁液がどろりと溢れる。

「んくっ……♥」

どろっ……と腸壁に塗り込められた粘液が、尻の谷間を伝い落ちていく。それだけでも、脊髄の奥を甘く舐め尽くされるような感覚に襲われ、軽く絶頂してしまった。
一息を吐きたくともそんな余韻に浸る間など、この怪獣男娼には与えられるはずもない。
瞬間、視界が反転する。

「はっ…何を……!?」

天井と照明が視界に入り、瞬く間に仇敵の上半身と向き合わされる。どうやら仰向けに翻されたのが理解できた。即座に両脚を開かされ、すぐさま後孔へと熱を孕んだ男根が宛てがわれる。
その先端は、儂を貫いた時と変わらず―――寧ろ先程よりもさらに膨れ上がり、硬く張り詰めていた。

(嘘だ……まだ、あんなに硬いとは……)

あれだけ動き続け、多量に精を出したというのに魔羅の表面は血管を浮き立たせ、官能の熱気を纏わせ、どくん、どくん、と脈打つ鼓動が皮膚越しに伝わってくる。
粘液にまみれ、尚も昂ぶりを滲ませる二対の凶器。
こんなものを、また……。

「っは……ッ……」

体内を穿たれたくなどないのに。なのに―――躰が疼く。

(生き血のせいで……!)

焦燥感が、儂の内側から這い上がる。視線が釘付けになる。
やけに喉が渇く。目の前にあるのは、自分を徹底的に屈服させた雄の象徴。生殖器の形をした暴力そのもの。その巨根が、さらに一回り膨張すると―――再び、先端が肉孔の縁に宛がわれた。

「っは……ま、待て…少し休ませてく……」
「駄目だ、待たん」
「――ッ!!?」

言葉が終わる前に、腹の奥が貫かれる。

ぐぶぐぶぅっ!!

「お……ッ!!?♥♥」

息が詰まる。喉が震える。腰が跳ね上がる。
全身を揺るがす衝撃が脳髄を焼き焦がす。
目の前が一瞬真っ暗になり―――思考が、明滅する。
絶叫―――否、嗚咽の如し引き攣った悲鳴しか上げられない。

「……ッ!?……ぉ、ッ…ひィッ……!♥♥」

呼吸すら出来ない。
強烈なアクメが、五感のすべてを支配する。視界が眩み、意識が飛びそうになる―――。
けれども、腹の奥深くに埋まった魔羅の感触だけは、鮮明に脳へ刻み込まれる。

「息を止めるな。力を抜いて、ゆっくり呼吸しろ……とは言っても、このザマでは聞こえておらぬな」

腰を引かれる。
ずるり……。

「……っ♥」

今度は執拗に奥を抉っていたのとは一転して、浅い部分 “だけ” を、ちゅりちゅりと擦る。なかなか入ってこないじれったさで腸壁が切なさに震えるのを、愉しむかのように。

「やぁっ……!♥ そこ、だめっ……あぅっ、ぁあっ……ぅっ♥」
「我の声が届いているではないか。全く、相変わらず素直ではない奴め」

気遣うように見せかけて焦らす。菊縁が亀頭を咀嚼するのにもどかしさを覚える。
もっと奥まで突いてほしい。気持ち良くなりたいという気持ちはあったが、やはりそれを素直に求めることなどできない。

「どうした?もしかして……また奥まで欲しくなったのか?」
「っ……違っ……そんな訳が…ッああっ♥ ひぅぅっ♥♥」
「そんなに喘いでおいて、まだ拒むか…。 本当は―――もっと続けてほしいのか? どっちなのだ?」

堕ちるな。王として、こんな奴に屈するな。
けれども―――奥へ、奥へと欲する衝動が、止められない。

「……っ……!」

微笑混じりの甘い囁きに、ぞくりと肌が粟立つ。骨の奥まで舐めるような誘惑が、耳の奥に絡みつく。当然ながら、仇敵に対してそんな反応を見せるわけにはいかない。喉の奥で唸りを上げ、必死に反論する。

「っ…貴様が、こんな真似をするからだろうが……!」
「ふっ…強情な奴よ。だが、そういう所も愛おしいぞ……我はな」

愛おしい、だと?そんな言葉など聞きたくなかった。
思わずそっぽを向く。他者から「愛おしい」などと言われること自体、娼館ここでは珍しくない。
けれど、仇敵に言われるとなれば話は別だ。

(ふざけるな……!)

拒絶したいはずなのに。しかし、躰は正直だった。
抜かれつつある中でも肉壁は「嫌だ、抜かないで」と訴えかけるように、ギドラの男根を強く締め付ける。

(違う……これは違うんだ……!)

そう否定しても、既に何の意味もなかった。タイタン達に肉奴隷として扱われて以降、儂の身体は被虐の炎に炙られ続けていた。その上、未だ冷めやらぬティアマットの生き血の効果で、さらに強い恍惚を求める始末だった。

(俺は……淫乱なんかじゃない……!)

意思に反して男根の先端が悦い箇所の近くを掠めると、堪らず腰を揺らしてしまう。それに合わせて、自然と中の異物をきゅっ……と締め付ける。その感触に優越感を覚えたらしいギドラの喉奥から、くすりと笑う声が零れた。

「もう認めてしまえよ。口では嫌だと言っているが、躰は快楽を求めているままだぞ?」
「さっきからテメーが嫌そうな態度してたら、こっちも燃える気しねーんだわ」
「本当は、何もかも忘れてイキまくりたいんでしょ〜? 怪獣王サマ」

三つの首が嘲るように問いかける。その声は脳髄を溶かすかのように甘く、理性をぐずぐずに融かしていく。
快楽と王としての矜持。その狭間で、何とか言葉を紡ごうと口を開く。
とくり、と鼓動が高鳴った途端、ふ、と力が抜けた。
僅かに赤みを帯びた蒼光が体表を這う。恐らく肝心なところを焦らされたせいで本能が理性を凌駕したのだろう。気付けば自ら尻尾を伸ばし―――ギドラのそれと絡ませていた。

「んっ? なんだ、ようやくやる気になったかね?」
「……てくれ…」
「何だよ、はっきり言え」

ニに促される。サンは無言ながら、期待に満ちた眼差しをこちらへ向けている。
躰を舐め尽くす視線と欲情。そして、快楽の源泉が抜かれそうになる中で―――もう、儂には断る理由などなかった。

「ッ……もっと、犯してくれ……!♥♥ 今夜だけは…其方の好きなようにしていいから……っ!」

まただ。
また、言ってしまった。自分の意思ではなく、本能のままの言葉を。それがどんな意味を持つのか理解した瞬間、強い後悔と羞恥心に襲われる。
結果、それら全てを打ち消すかのように三つの首の高笑いが部屋中に轟く。

「ふっ……くははははっ! そうだなぁ、そう来なくてはな! これからは、我の番として―――何もかもを忘れて、存分にイキ狂えよ!!」

ぐぼっ……ぐぶぶぶぅーーっ!!♥♥♥
歓喜に満ちた律動が始まる。焦らしていた男根が、一息に最奥まで突き入れられる。衝撃が脊髄を貫き、視界が白黒に弾け飛ぶ。脳髄が蕩ける熱さに、思考回路が完全に停止する。

(ああっ……やっと……!やっと、満たしてくれた……!!)
「んはああぁ゛ァアッ!!♥♥♥♥」

びくん、びくんと震える体。儂の男根から透明な飛沫が切なく跳ね上がる。待ち望んだ歓喜に打ち震える最中も間髪入れずに、肉孔で激しい抽挿が始まる。
まるで発情しきった獣のように、ギドラは何度も腰を打ち付けた。

「おひィっ♥ あぐぅっ!♥♥ やめ、今イって……っ!♥♥」
「何を言う、まだまだこんなものでは終わらんぞ…! 我は貴様を魂ごと犯したくて、出禁を食らおうと毎日毎晩気が狂いそうな程に欲していたのだ」

唐突な告白と共に、ぐぶぅっ♥と熱い衝撃が腹の奥深くを突き破る。

「っ……かひっ!? なっ、何を言って…っ!?」

先程よりもさらに強く突き立てられた剛直。痙攣する肉壁を押し広げながら、さらに奥へ、奥へ。それは、ただの交尾ではない。
ギドラが儂という存在そのものを「独占する行為」だった。

「宇宙を彷徨っている中で、ここまで我に執着を抱かせた存在は、他にいなかった……」

低く、重く、粘りつくような声。囁かれた瞬間、体の奥底に甘い毒を塗した棘がざくりと刺さる。

「故に貴殿を欲するのは必然。我が魂は―――貴殿と交戦した時点で、既に虜となっていたのだ」
「っ………!」

やめろ。これ以上は、聞きたくない。しかし不可抗力の快楽に絡め取られた躰は、抗えずにギドラの言葉に耳を傾けてしまう。
知らずのうちに固唾を呑む。

「あの忌々しい虫螻モスラにも、この娼館に来る雑多な客共にも、貴殿は渡さぬ。生涯に渡り、我だけのものだ。……なぁ、そうだろう? ゴジラよ……」

ぞくりと粘りつく甘さを孕んだ囁きが、聴覚に絡みつく。骨の髄にまで侵食するような執着心に、眩みそうになる。
しかし、それすらもギドラの狙いだった。現実を見失わせ、こちらを快楽地獄に沈深くめるための、狡猾な算段―――。

「ッ……ぁ、ぁぁ……!」

生き血の効果が理性を焦がす。今までの因縁も王としての立場も、どうでもいい。
ただ、もっと―――もっと深く繋がりたい。心の奥底から恍惚を味わい尽くし、狂い果てたい。
そんな淫らで浅ましい願望が湧き上がる。蒼光が赤紫に染まり熱を帯びた肉孔が、ぎゅんっ♥と収縮する。

「っ、ふ……そうだ、それで良い…。素直に我を受け入れれば、もう何も考えなくて済む。貴殿はただ何もかも忘れ、我だけを見て、我に溺れていればいい……」
「んぶっ……! んんっ…♥」

れろっ……じゅる……♥ 口腔内で、熱い粘液が跳ねる。サンとニの舌が、咥内を暴れ回る。耳許に絡みつく吐息。
挿入されているモノの体積がぶわりと膨張し―――律動が激しくなる。

「れろ…っはぁっ……ほぉら、またイっちゃいなよ〜、元怪獣王サマぁ♪」
「今夜は俺らの貸し切りなんだし…んはっ、遠慮せずにアクメしちまえよ」

ごぶっ……ずちゅぅぅっ♥

「ッッ!?♥♥」

前立腺を抉るように、ぐりぃっ♥と突き上げられる。意識が、飛ぶ。
―――否。飛ばせてもらえない。覚醒させられ、また快楽の海へ沈められる。

「んぐぅっ…! んぢゅ、っ…ギドラぁ……ンッ、お゛ォォッ…〜〜〜ッッッ♥♥♥」

くぐもった嬌声が、快楽に塗れた部屋中に響く。白く弾ける視界。全身を覆う、恍惚の波。

「はぁ、はぁ……ッさぁ達しろ、ゴジラ!!思う存分、我の下で気をやってしまえ!!」

ごぢゅっ!♥
結合箇所から、淫らな音が響いた。
ごぽっ♥ ごぽっ♥と最奥まで噴出されたゲル状の熱い衝撃に、堪らず背筋を仰け反らせる。肉と肉がぶつかり合う音が、脳髄に染み込む。
抗えない。逃げられない。あとはただ、絶頂の渦へと引きずり込まれるだけ。

「あへぇえっ!♥ い゛、ぃひィッ、イグっ……! 雌孔ケツまんこイグぅぅっ!♥〜〜〜っんあ゛ァア゛ッッ!!♥♥」

力なく勃った儂の魔羅がぶるり、と震え、先走り汁とも潮ともつかぬ透明な液体がだくだくと溢れる。それに追随して、腹の奥で間欠泉の如く熱い汁が注がれ、掻き回されている感覚に身震いし、その拍子に長い恍惚を受け入れてしまう。
達したのにまだ出続け、前後左右に双頭の魔羅が動かされているのは儂の絶頂をまだまだ拝みたいからに他ならない。

「んひィっ!? あっ、あつっ……やめっ、止まっ……っ! んはぁぁっ♥ もっ、無理ぃ…っ!♥♥♥」
「今度は“無理”と来たか……ふ、ならばお望み通り抜いてやろうではないか」

ずるり、と灼熱の塊が引き抜かれた瞬間、腸壁がひくりと震えて、栓を失った肉孔がくぱぁ……と開く。しかし、すぐさま『びくんっ…!』と波打つギドラの双頭。

「っ……!?♥」

これから一体何が…と悟る前に、どぷっ……びゅるるるっと音を立てんばかりに勢いよく吐き出された白濁が、容赦なく儂の下腹部、胸元、首筋へと飛び散った。

「んおっ……!?♥ お゛っ…♥ か、掛けるな…汚らわしいっ……!」

肌を這う精液の感触に、思わず身を震わせる。
熱い。熱い……熱い……! 火傷しない事は判っていても、掛けられた感覚は確かな熱を孕んでいる。

(くそっ……こんなもの……っ!)

ギドラの精が、肌にじわっと染み込んでいく。体表が焼けるような錯覚。全身を焼きかねないソレは明らかに現実だった。

「くくっ……何とも良い光景だな。貴殿が雄の獣慾に染まる有様……実にそそられるぞ?」

マーキング。ギドラが中出しだけでなく、この瞬間をいたく待ち望んでいたかが嫌でも伝わる。
やめろ。そんな目で見るな。こんなこと、許されるはずがない。拭おうとするも、散々陵辱された体は力が入らず、ただ視姦されるがまま。
やがて掛けられたソレが汚いものから一変して香ばしく感じ始め、気づくとスンスンと残滓を嗅いでしまう。

「うっわぁ、コイツぶっかけられたザーメンの匂い嗅いじゃってるよ……ほんっと、救いようがない淫乱だよね」
「怪獣男娼っぷりがしっかり板についちまってるな。ま、俺達の調教の賜物だけど」
「……そうだな。生き血の効果もあるが、これも我々が丹念に仕込んだ甲斐があったというものだ」

眼前で三つの首が好き勝手に会話を繰り広げているが―――今の儂には、それを咎める力などなかった。
瞼が、重い。
駄目だ……今は、寝てはならぬ……。意識を失えば何をされるか分からない。こんな奴らの思い通りには。
なのに、残酷にもじわりじわりと沈み込む気怠い感覚には抗えず、不意に力なく落ちた掌がぱたん、と寝台を叩く。

ガキィィン!!

「……っ!!?」

突然、轟音が響いた。木が割れる音と、何かが砕ける音。
寝台が崩れると同時に、すぐ近くで何かを破壊する鈍い音が聴覚を叩く。

(何だ……? 一体何が……!?)

しかし、すでに視界は黒一色に閉ざされ、何も見えない。意識の底へ―――あとは深く、沈んでいくのみだった。