近頃、ある一人のお客様から「最近無理してないか?」とのお言葉を貰ってしまいました。というのも、私の接客スタイルは『お客様を不安がらせないよう、お互いできるだけ気持ち良くなってもらいたい』という想いから来ております。
もちろん、お仕事の都合上致し方なくお時間を過ぎてしまうことも多々ありますが、大抵のお客様は「来て良かった」と仰ってくださいます。しかし、無理をしていないと言えば嘘になりますね。私は国頭親子の家の復興の為に封印から目覚め、資金を貯める為に自ら娼館へ働きを申し出た経緯があるので自分の仕事にやりがいを持っていましたが、最近は激務により疲労もたまってきております。そして遂には、娼館で務めている同僚のメカゴジラもとい三式機龍さんからも
「貴方は一回一回のプレイに全力投球し過ぎなんです。もう少しペース配分を考えないと、その内過労で倒れてしまいますよ」
と苦言を呈されてしまいました。
けれども復興費用を稼ぐのを滞らせてはいけないし、かといって資本の元である体をこれ以上酷使するわけにもいかず、こういう時はどうしたら……と思い悩んでいたら、これまたマザーガイガリアンさんから
「シーサーちゅわん、貴方最近頑張り過ぎだから、ここはひとつアタシの贔屓にしてるマッサージ店に行ってみなぁい? スペースゴジラちゅわんもレジェちゅわんも、時間が空けばお忍びでそっちへ癒やされに行っているのよぉん?」
とお誘いの言葉を頂きました。場所は娼館から余り離れておらず、徒歩数分で行ける距離です。私の空いた分は当日務めている娼館の皆様がカバーするとの事なので、ご厚意に甘えて一度行ってみることにしました。
先日マザーガイガリアンさんから紹介された件のマッサージ店は、その一帯から少し外れた裏路地の一角にありました。一見すると青い照明で照らされた普通の雑居ビルか、別の娼館にしか見えないのですが、こんなうら寂しい場所で本当に怪獣を癒す専門店なんてあるのでしょうか? 怪しさに首を傾げながらも、私は恐る恐るビルに入りました。
「いらっしゃいませ」
ドアを開けて入ると、ちょうど正面のカウンターで青白く発光するクラジ(クラゲ)のような不思議な生き物が出迎えてくれました。どうやらこの方が店主のようです。
「キングシーサー様ですね。マザーガイガリアン様からお話は伺っております。本日はようこそ、怪獣娼館からお越しくださいました」
どうやらとっくに話は通っているようで、促されるがままに私は店内へ進みます。室内はお客様の心を落ち着けるためか一面群青色の照明になっており、宛ら星空の中にいるかのようです。
そして一旦施術室の控室に通されると、改めて店主から自己紹介をされました。
「申し遅れましたが、私は当マッサージ店のオーナー・宇宙大怪獣ドゴラと申します。本日はよろしくお願いしますね」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
「さて……当店に来た理由ですが、触診せずとも判る程にとてもお疲れの様ですね。貴方様の鬣にもハリがないように伺えます」
「……え?」
指摘されて、私は思わずギクリとしてしまいました。見抜かれないように振る舞っていたつもりでしたが、やはり目の前のドゴラさんはその筋の職人だけなあって疲れを見抜く力にも長けているようですね。図星を突かれたことに私が返事しながら重々しく溜息を吐くと、ドゴラさんは更に続けます。
「しかしご安心下さい。幾千万ものの人間や怪獣を癒やしてきた私の技術なら、今宵キングシーサー様の凝り固まったお身体をほぐすことなど造作もございません。是非とも今日という日は日頃の疲れを癒やし、リフレッシュなさって下さい」
幾千万というのは流石に盛りすぎかな?と思いましたが、ドゴラさんが胸を張って仰っていたので、きっとそれは本当の事なのでしょう。それに、無闇やたらと疑うのは良くありません。自信たっぷりに自負している以上、私に断る理由はありませんでした。
「お気遣いありがとうございます。是非ともお願いします」
「畏まりました。それでは、お隣の施術室へ参りましょう」
ドゴラさんに連れられて、私は施術室に入ります。部屋の中央にはシンプルなデザインのベッドが置かれており、その上にうつ伏せで寝るように言われました。柔らかさは硬すぎず、身体が沈んでしまうといったこともなく適度な感触で、すぐ寝転んだだけでも溜息が漏れてしまいそうです。
「それでは早速始めますね。まずはオイルマッサージから行いたいと思いますが、もしご希望があれば変更も承りますので遠慮なく仰ってください」
そう言ってドゴラさんは自らの触手にオイルを入れたボウルへ先端を漬けると、私の背中に垂らしてきました。最初はひんやりとした温度でしたが、垂らされた箇所を中心にじわじわと温まりだし、やがてじんわりとした温かさが身体中に広がっていきます。
「くぅん………」
垂らされたそこを拠点に、今度はドゴラさんの触手がすりすりと私の背中のオイルを塗り始めました。塗られる度に、ヒヤッとした冷気と程良い熱さが混ざり合って何とも言えない心地良さが広がります。
(始まったばかりなのに、なんだか声出ちゃいそう……)
背中に垂らされたオイルは、首から腰の辺りまで徐々に範囲を広げながら隈無く塗られていきます。それは私の体毛を掻き分け、素肌を露わにしながらも、塗り残しが無いように隅々まで入念に行われました。
「んぁっ……」
背中全体へ丁寧に塗られながら触手の先端で揉み解される度に、思わず甘えた声が出てしまいます。
それが恥ずかしくてくっと口を噤むと、すかさずドゴラさんがフォローを入れてきました。
「キングシーサー様、どうかなされましたか? 声を抑える必要はございませんよ」
「で、でも…貴方にこんな声を聞かれるのは、何だか恥ずかしくて……」
「気にする心配はございません。防音設備に抜かりはない上に、お客様の気になる箇所をほぐして差し上げるのが私共の仕事でございますので、何なりと仰ってください」
そう言われると何だか意地になりたくなってしまいますが、言われた以上は自重します。それにマッサージの方はとても気持ち良かったので、なるべく変に意識せずに身を任せるつもりです。
「そうしましたら……そのっ、そろそろ腰付近もやってもらえますか?」
「畏まりました」
ドゴラさんは私のお願いに頷くと、無造作に伸びるオイル漬けの触手で腰を優しく撫でながらマッサージしていきます。触手に染み込んだオイルが肌に浸透していき、触られた箇所がピリッとした心地よい刺激が広がります。
「あっ……!」
なるべく声を抑えていましたが、つい反射的に甘い声を漏らしてしまいました。即座に口を噤もうとしますが、それを阻止するかの如く更なる一手が加わります。
「ふぁぁっ……!?」
腰のみならず、脇腹、背中にまで触手が伸びてきて、ゆっくりと優しく揉みほぐされたのです。思わず娼館で接客中の様な声が口を突いて出てきてしまいましたが、ドゴラさんはお構い無しどころか「もっと聞かせて」と言いたげにしてきます。
「ひゃうっ、だめぇ……んんっ♥」
「我慢なさらずとも大丈夫ですよ。声が出るのは気持ち良い証拠。余程疲れている様なら、この場で遠慮せず思い切り吐き出してしまいましょう」
ドゴラさんに促されるも、相変わらず躊躇してしまいます。というのも、私は余りにも蕩けてしまうと故郷の沖縄語が自ずと口から漏れ出てしまうからです。娼館ではそれを愛嬌と受け取る方が多いのですが、中には珍妙な響きに捉えられる為怪訝な顔をされたり、噴き出される事もあります。その為なるべく声を漏らさない様努めてきましたが、やはり施術中にも故郷の方言が出るのは気恥ずかしいです。
「あのっ……やっぱり、声を出すのは恥ずかしいです……」
「ご安心ください。当店はお客様のプライバシーを厳守し、決して声を外部に漏らさないよう心掛けております」
「そうですか…実は私―――」
ドゴラさんの言葉に偽りはない様で、私は少し安堵しました。
今なら打ち明けても良いと思い、改めて自分の故郷の方言について話します。するとドゴラさんは何回か頷くと、それを快く受け入れてくれました。
「なるほど……では、もしキングシーサー様が宜しいのであればその『うちなーぐち』とやらでお話して頂いても構いません。お客様の心が落ち着くのであれば、私はそれを拒絶しません」
「ほ……本当ですか?」
「はい。それにキングシーサー様の故郷を少しでも知る良い機会でもありますしね」
戸惑う私に対して、彼は表情こそ読み取れなかったものの声色からして、きっと優しく微笑んでいるのでしょう。
「で…でしたら、お言葉に甘えさせて頂きます……」
「畏まりました。では、そろそろ腰を集中的にしてみましょう」
ドゴラさんに促されるまま、改めて施術を再開させます。今度は腰回りだけでなく、脇腹や背中にも触手が伸びてきました。
「んぁっ……」
先程よりも少し強めに揉まれた為か、またしても声が漏れてしまいます。そこからオイルの滑りに助けられながら、触手はお腹から腋窩、そして脇腹へ何度も上下しました。その度に甘い感覚が私の全身を駆け巡ります。
「気持ち良いですか?」
「はいっ……とっても♥」
それは最早マッサージではなく快感責めに近い感覚でしたが、不思議と悪い気分ではありません。寧ろ声を我慢する必要がないと判った今の方がリラックスしている気さえしますし、ドゴラさんもそれを察してか更に手付きを大胆にしてきます。
「ひゃうっ……!? あぁんっ、そこ…♥」
今までにない刺激を受けたことで、思わず甲高い声が出てしまいました。まさかこんな場所を責められるなんて想像だにしていませんでしたが、オイルの滑りもあり痛みはありません。むしろ脇の下を優しくマッサージされている様な感覚で、とても心地良いです。
その間にも別の触手が臀部に伸びてきて、私のお尻を揉みしだいてきます。
「んぁっ、そこもっ……良いですぅ♥」
オイルの滑りに任せてお尻の肉をぐにぐにと解されながら、触手の先で揉まれる度にそこから甘い刺激が身体中に広がっていきます。弾みで足の付け根から「ぐちゃ♥」といやらしい水音が室内に響くも、今の私にそれを気にしている余裕などありませんでした。
「こちらも念入りに解しておきましょう」
今度は下腹部から更に下へと触手が伸びていき、太ももや足の指の間といった普段は刺激を受けることの少ない部位まで優しく揉みほぐされていきます。当然その間も背中と腰のマッサージは休むことなく続けられていますから、止めどなく声が漏れ続けていました。
「ひゃんっ、あっ……ああぁっ♥」
身体中の感度が上がり、全身が性感帯になってしまったかの様にどこもかしこも気持ちが良い。今や自ずと耳が立つ程に全身のありとあらゆる箇所で淫らな感覚が弾け飛び、それは最早自分が正気であるのかすら曖昧になる程に深くて強いものでした。
「ドゴラさんっ……私もうっ……♥」
堪らなくなった私はマッサージを受けながら必死に訴えかけると、彼はこくりと頷き返しました。どうやらそろそろ頃合いの様です。私は力を抜いて、彼に身を委ねます。
「キングシーサー様、宜しいですね? では仰向けになって頂けますか?」
そう言ってドゴラさんは触手を一旦私の身体から離しました。少し名残惜しさすら感じつつも、改めて自由になった体は「もっと」と言いたげに疼いているため、私は素直に指示に従います。
寝返りを打つと、やはりというか案の定雌蕊からオイルと入り混じってトロトロと愛液が滴り落ちていました。
(あっ…でーじはじかさー…♥ しーばいしたみたい……)
傍目から見ると失禁したみたいで、顔から火が出そうな程恥ずかしくって思わずこの場で硬直してしまいますが、ドゴラは「お気になさらず」と言いたげに肩をポンと叩きました。
「ドゴラさん……その、私っ」
「遠慮なさらずに。他のお客様がそういう風にシーツを汚すことはよくある事です。安心してご堪能下さいませ」
そう言ってドゴラさんは、ベッドの上で仰向けになるよう促します。言われたとおりに寝転びましたが、それは獣が服従のポーズを取るも同然で、しかも発情しきった牝の匂いがむわりと立ち込め、特に汗ばんだ皮膚―――自慢の体毛からそれが漏れ出しているのを自覚した途端、顔がますます熱くなりました。
「うぅ…でーじふーじぇーねー……」
「ご心配なさらず。むしろその匂い……非常に良い傾向ですよ。恥じらう必要はありません」
「じんとー?」
「ええ。フェロモンを撒く程そんなに発情しているのは、私共のマッサージが貴方様にとても良く効いている証拠です。それに、その体毛もハリが戻ってきてますよ」
「にふぇー、あ…ありがとうございます」
唐突に褒められたそこは今やオイルと汗がごちゃ混ぜでゴワゴワになっていましたが、それでも彼は肯定的に受け入れてくれました。
「さて、そろそろ施術を再開しましょう。キングシーサー様はそのまま楽にしていてください」
そう言われて私は羞恥はそのままに心の片隅で(一体どんな事をされるんだろう)と期待に胸を膨らませつつ、再び全身に触手が伸ばされるのを待ちました。すると肩を始め二の腕、腹部、そして太腿にオイルで濡れた触手が這わされ、ほぼ同時に私の全身を刺激していきます。
「んん……あっ」
足先からじわじわと快感が伝わってくる様な感覚に、思わず身悶えてしまいます。最初はぞわぞわとしたむず痒い感覚でしたが、時間が経つにつれてそのムズムズとした感覚が熱を持ってくると、触られている箇所はもちろんの事体中が熱くなっていきました。それはまるで全身の血流が良くなり、身体が火照っているかの様です。
そして腹部を這っていた触手は更に上へと伸びていき、遂には胸まで到達しました。
「あふぅっ……♥ んぁあ…っ♥」
まるで慎ましやかな大きさの胸の形を憶える様に丹念に、それでいて優しく揉まれる度に。これまで以上の刺激が全身に響き渡り、堪らず声が漏れてしまいます。しかしその声は蕩けきり、甘えた犬宛らにとても色っぽいものでした。
(わたしっ、今こんな声を出しているの……?)
娼館での接客中では勿論自分の口から出たとは思えない程の淫らな声色に驚く私でしたが、施術は構わず続いています。但し秘部には絶対に触れず、あくまで胸と太腿を中心にした責めです。それでも私は、今まで感じたことのない快感を全身に受けていました。
「あっ……あぁん♥ はぁんっ…そ、そこぉ……♥」
胸を揉む動きは変わらず優しいものでしたが、触手の先から滴るオイルと今まで散々に快楽を浴びた身体は更に敏感になっており、それだけでも心地良くて堪りません。一方で下腹部はずくんずくんと痛い程に疼き、早く触って欲しいと訴えているかの様に蜜を滴らせ続けていました。
(流石に今性器に触れて、なんて言ったら引かれるよね……)
あれこれ躊躇している最中にも、すっかり解された体はあちこち揉まれる度にビクビクと反応し、ソコに触れずとも達しそうになっています。私はそれを悟られない様に小さく喘ぐことで誤魔化そうとしましたが、案の定雌蕊はあとのお楽しみと言わんばかりに触手で撫でられるだけでした。
「あぁっ……はぁん♥ でーじ、いーあんべぇ……♥」
最早そのマッサージに成すがままとなった私は、全身をぴくっ、ぴくっと跳ねさせつつ涙すらじんわり浮かばせながら蕩け切った顔を浮かべます。相変わらず愛液は留まるところを知らず滴り落ちており、ベッドシーツをびしょ濡れにしていましたが、ドゴラさんは気にした様子はありません。寧ろそれが彼?の狙いだったのかも知れません。何故なら彼は私の反応を見て「そろそろ頃合いか」とでも言いたげに頷くと、触手でお胸や太腿を一層撫で回した途端私は全身を快楽に包まれながら、思わず耳をピンと張り詰めると同時に全身がビクンッ!と震え、瞬く間に絶頂を迎えました。
(ああっ♥ きちゃうっ、いっちゃうぅっ♥)
「あぅうっ!♥ ご、ごめんなさっ……♥ い、イクぅっ!! んあぁっ!♥♥」
不意に訪れた絶頂は、宛ら「よく頑張ったから、溜まっているものを全部吐き出しなさい」と言われているかの様でした。それは非常に強い感覚で、無意識に全身―――特に腰が無意識に浮き上がる程のものでした。
「ひうぅっ! あっ、やだぁっ!」
(私、今までこんな感覚知らなかった……♥)
雌蕊に触れてもいないのに、全身への愛撫だけで達してしまいました。しかもこれまで味わった中でも一番強くて深い絶頂で、意識が飛んでしまいそうです。一頻り体が溶けてしまいそうな恍惚を味わったあと、私の四肢は自ずとシーツにくたっと投げ出されました。
「キングシーサー様、大丈夫ですか?」
私が絶頂の余韻に浸り、肩で息をしていると、ドゴラさんが心配して声を掛けてきました。
「ええ……♥ こんな感覚、初めてですもの…信じられません」
息も絶え絶えに返事すると彼は少し安堵した様子でしたが、それでもまだマッサージは終わっていません。彼?には悪いけれど、折角こんな気持ち良いことをしてもらっているのに途中で終わりなんて嫌です。だから私は自分からおねだりしました。
「ねぇ…お願い。こんな事言うとはしたないとは思ってるけど、もっともっと……ほーみー…というか、おまんこにもして欲しいの……♥」
「畏まりました。では、追加のスタッフをお呼びいたしますので少々お待ちを……」
追加のスタッフと聞いて、もしかして従業員がいるのでは?と思いましたが、数分も経たないうちに施術室のドアが開かれ、もう一体のドゴラさんが入ってきました。
「キングシーサー様、お待たせしました。上半身は私が担当致しますので、宜しくお願い致します」
姿形も店主のドゴラさんにそっくりというか、寸分違わない寧ろ分身の様でさえありました。そして挨拶もそこそこに、店主のドゴラさんが「始めますよ」の一言で下腹部に回り、スタッフのドゴラさんも私の頭部に回ると、それぞれ触手を這わせてきます。
「あぁ……っ♥」
先程は上半身のマッサージですっかり骨抜きになっていた私はそれだけでも感じてしまい、思わず甘い吐息が漏れてしまいました。しかも2体がかりで責められているのですから、それがまた堪りません。自分でするのと娼館でのお客様がする様な愛撫では絶対できない様な“神業”で責められ、私の躰はすっかりと疼き切っていました。
「ドゴラさん……さっきみたいにココにも触れて♥」
先程の絶頂は今まで味わった中で一番の快楽でしたが、それだけでは物足りません。寧ろこのままの状態でほーみーに触れてしまうとどうなってしまうのか、自分から脚を―――所謂M字開脚と呼ばれる格好で開いている為、かなり恥ずかしい格好です。尤も今の私にとってはそれも興奮材料の一つにしか過ぎませんし、そもそもこの体勢こそ私が望んでいたものでもありますので……寧ろ歓迎する所です。
はしたないお願いだと自覚していますが、それでもドゴラさんは相変わらず「畏まりました」とだけ言うと、私の秘部へと手を伸ばし、そっと触れました。
「んぁっ♥ あはぁ…っすごぉ……!♥♥」
甘えた声で狂おしく悶える中、ドゴラさんの触手は先程と同じ様にオイルの滑りを借りて包皮に覆われた肉芽周辺や陰唇の周り、膣口の周りを揉みしだいていきます。
「ああっ♥ んあぁあぅうっ♥ じょーとぉっ、でーじやっさぁ…いーあんべぇっ♥♥」
触手がぬめっ、ねちょっと音を立てて這いまわる度に快感が走ります。先程の絶頂ですっかりスイッチの入った私はもう身も心も快楽に蕩けきっていて、僅かな刺激でも腰が震えて止まりません。お陰で無意識に沖縄語を発してもドゴラさんにとっては「気持ち良い」と聞こえるようで、包皮をぷりんっ♥と剥いた瞬間には一際甲高い声を上げました。
「ああぁっ♥ や……っいぁああっ!?♥♥」
しかしそんな悲鳴を気にも留めず、ドゴラさんは何度もコリコリ♥と陰核を左右から扱き上げ、否が応でも包皮から露出させていきます。その度に私の脚はガクガクと震え、雌蕊から垂れ流している愛液もツィビ(お尻)の穴を湿らせてしまう程でした。やがて、触手のひと撫でがすっかり剥かれた秘豆を往復した途端、またもやアクメに達してしまいました。
「あひっ、あ゛っ!♥♥ あ゛ぁーーっ♥ ぃいっ……いく゛ぅうっ!!♥」
ぷっしゃああぁっ♥♥と失禁したかの様に勢い良く潮を噴く最中にも、ドゴラさん達の全身愛撫は止めないままで、その絶頂感が引かない内にまた次の絶頂を迎えてしまいました。それでも敏感な芽はビンビンに勃起したままで、しかも無意識に腰をへこへこ♥と振ってしまっており、まるでドゴラさん達の愛撫をおねだりしているかの様でした。
「キングシーサー様、すっかり夢中ですね。良い兆候です」
ドゴラさんの一言に思わずはっとして正気に戻りましたが、羞恥を覚えるより先に私の思考は拒否よりも期待に胸を膨らませてしまっていて、陰核への愛撫よりも深い箇所―――雌蕊の奥にまでその触手が突き刺さる事を望んでいました。
「お、お願い…ドゴラさぁん♥ 早く、ココにも挿…れてぇっ♥♥」
開かれたままの脚の付け根にある膣口からは先程からずっと大量の愛液が流れ出ており、快楽を求める度物欲しげにくねっ♥ くねっ♥と腰を振っています。その様はまるで発情期の雌犬そのもので、娼館でもなかなかやらない仕草にドゴラさんも気を良くした様に頷きました。
「ええ、勿論ですとも。これが最後の処置ですので思う存分溜まったものを吐き出し、気持ち良くなって下さい」
優しく囁きつつ、ドゴラさんは私の股間に触手を伸ばします。今まで受け入れてきた舌や指、そして肉茎と比べて糸のように細く長い触手は、ぬるっ、と膣穴の襞をひとつひとつ舐る様に刺激していきました。
「んあっ、ああぁあ♥ んぃいい……っ痺れるぅ…!♥♥」
その微細な動きは粘膜越しに伝わる為、膣の中の襞の一枚ずつが一辺倒ではなく前後左右にねっとりと絡みつく様な快感となって私を責め立てます。
(あぁん…また焦らすのね……でも、結構癖になるかも……♥)
熱っぽい視線をドゴラさんに送ると1本だけだった触手が二本、三本と増えていき、やがて四本になった触手は、それぞれ私の陰核と膣穴、そしてお尻の谷間に伸び、ぬるっ……♥と入り込みました
「んあっ!♥」
思わず大きな声を上げ、躰を跳ねさせる私。しかし触手は構わず谷間の奥深くまで入り込み、まるでマッサージでもするかの様にねっとりと愛撫していきます。
「ああぁ……っ♥ そ、そこぉ……♥」
(やだっ……お尻もほーみーも、触手に犯されちゃってるっ……♥)
まるで細くとも穴という穴を犯されているかの様な感覚。しかも上は乳房をも愛撫されたままで、文字通り私の体に溜まりきった疲れやストレスを快楽に溶かしていき、全身が解されていく感覚を覚えます。
「んはぁ……っ♥ ど、ドゴラさ…んっ!わ、私、イキそうっ……♥♥ 」
その感覚に身を委ね、すっかり蕩けきった顔でドゴラさんに呼びかけると、彼もまた嬉しそうに頷きます。
「ええ。しっかり見ていますので、たっぷり出してくださいキングシーサー様」
促されるかの様にぐぽぐぽと肉孔中を責めまくられた瞬間、私は股間の奥から一層快感が昇ってくるのを感じました。
「あ、あぁん♥ もうダメぇっ!!♥♥」
全身にこれまで以上に力が入った瞬間、牝孔から一気に潮が噴出しました。ぷしゃぁあ!♥♥と迸った雫はぱた、ぱたたっ♥と音を立てて雌蕊に当たり、その刺激でもまた孔奥をぎゅっと締めつけます。その直後にも快感によって牝筋をキュンッと萎縮する度潮が噴き出された事で、更に快楽の泡を増やしてしまいます。
「んぁあっ♥ また…またっイぐぅうっ!!♥♥ ひゃあ゛ぁああぁんっ!!」
これまでに経験した絶頂の快楽とは比べ物になりません。秘豆をふんだんに責められた時以上の圧倒的な快感に、私は開きっぱなしの口から獣の咆哮宛らに絶叫しつつ、何度も何度も達し続けました。
「あぁ……っ!♥ んっ、くはぁっ♥♥ あぅう……♥♥」
くぽっ、と秘所から触手が抜けきるや否や、私は再び意識が飛びそうな程の激しい絶頂を迎えました。四肢や腰だけでなく体中をびくびくっ♥と震わせながら嬌声を漏らした途端、全身が虚脱感に覆われていきます。
「はぁ……はぁ……でーじ…かふぅ……♥」
(私……こんなにいっぱい潮噴いて……恥ずかしいけど凄かった……♥)
最早指一本動かす力すら残っていません。今の私にできるのは、瞼を閉じて呼吸を整える事と余韻に浸ることぐらいでした。
「お疲れ様でしたキングシーサー様」
優しい言葉と共に手がそっと添えられますが、 既に私にはお礼を言う力すら残っておらず、次第に意識が闇の中へと沈んでいきます。
「さぁ、ゆっくりお休みください」
ドゴラさんの温もりと共に静かに響く声を遠くに感じながら……。
「う、うーん……」
暫くして、私は意識をゆっくりと取り戻します。意識は戻りましたがまだ意識が朦朧としていて、視界もぼんやりとしか見えません。まるで寝起きの時の様な感覚に戸惑いながら必死に目を凝らすと……施術室とは違った所謂休憩室に移されていたようでした。清潔なベッドに寝かされているのを始め、ダウンライトの優しい明かりが部屋を包んでいて、とても穏やかな雰囲気です。
(私、余程寝ていたようですね。体の疲れもすっかり取れたし、そろそろ起きようかしら)
まだ少し気怠さの残る躰を起こし、軽く伸びをします。すると、まるでそれを見計らっていたかの様に部屋の外からドゴラさんが入ってきました。
「キングシーサー様、お目覚めになられましたか」
「ええ……すっかり寝てしまいましたね。ごめんなさい」
「いえいえ、とんでもございません。それより、ご気分の方は如何でしょうか?」
ドゴラさんは私の顔色を窺う様に尋ねます。実際全身にのしかかっていた疲れが取れていて、四肢の怠さも全くありませんでした。
「ええ、大丈夫そうです……ご心配おかけしました」
ベッドから降りて立ち上がると、あれだけ潮やら愛液などでぐしょぐしょに濡れていた跡すらも綺麗に処理されており、寧ろ来た時よりも髪や肌の艶やかさが幾分か増し、全身どころか心も完全に落ち着いた様子でした。
「それは何よりです。あれからほぼ丸一日、ずっと眠りっぱなしでしたので心配しておりました」
丸一日、と言われて私は思わず驚きました。ということは怪獣娼館はおろか、このマッサージ店に迷惑を掛けたと思っても仕方ありません。
「ごめんなさい、とんだご心配をかけました」
「いえいえ、滅相もありません。 マザーガイガリアンさんから“あの子はとても疲れてるから、施術が終わったら起きるまで寝かせてあげて”と伝言を預かっておりましたので……それに自分も、キングシーサー様の気持ち良さそうな寝顔を見るのが、とても楽しい一時でした」
ドゴラさんのその一言に、私は思わず頬が紅潮するのを感じました。熟睡している最中にもこっそりと私の寝顔を覗いていたなんて、何だか気恥ずかしいです。目線を泳がせてもじもじしていると、ドゴラさんは私が何か言いたげにしているのを察したのか、やんわりと声をかけてきました。
「キングシーサー様、お客様が処置後に長い間眠ってしまう事は良くありますからお気になさらず。それに貴方様の同僚、ゴジラさんは丸2日も眠り続けてしまったこともありますよ」
「えっ、ゴジラさん……そんな長い時間眠るのですか?」
御老体にも関わらず、穏やかながら怪獣王という異名は伊達ではなく威厳のある彼の意外な一面に思わず問い返すと、ドゴラさんはひとつ頷きます。
「ええ……いつもはどっしりと構えた雰囲気なのですが、此処に来ればあっさりと本能を剥き出しにされるばかりか、乙女の様にお泣きになるのですよ」
ドゴラさんは「それがまた可愛らしいのですが」と付け足しましたが、私はその話を聞いて少し呆気にとられました。
(ゴジラさん……そんなに凄いのね……)
彼が娼館で務めている時ですらそうやって善がるのか想像できない上、この店でも見せる淫靡な状況をちょっと見てみたい様な見たくない様な複雑な心境を察したのか、ドゴラさんは小声で「失言でしたね」と呟くと話題を変えました。
「さて、そろそろお帰りになられますか?それとももう少し休まれていきますか?」
「そうですね……もうすっかり疲れも取れましたし、そろそろ帰ろうかしら」
「承知しました。では、お会計と帰りの手続きを致しますので、少々お待ちくださいませ」
ドゴラさんはそう言って一礼すると部屋から出ていきました。私は改めて部屋を見回しますが、寝ているお客の喉を乾かさない為の加湿器や観葉植物が置いてあって、まるで病院の様ですが、どれも丁寧な手入れがされており居心地の良い部屋です。娼館のロビーとは違った雰囲気にちょっとした観光気分で眺めながら待っていると、ドゴラさんはほどなくして戻ってきました。
「お待たせしましたキングシーサー様。お会計はこちらになります」
出された精算合計はそこそこ高くもなく安くもなく、といった金額でした。娼館での行為に比べれば随分良心的な値段設定に、私は内心で安堵しつつ財布を取り出します。そして一頻りお会計を済ませると、ドゴラさんは最後に「不躾ながらこちらからお願いがあります」と付け加えて言いました。
「もし貴方様が宜しければ、娼館におとずれるお客様に此処の存在を教えて頂けませんか? やはり立地が立地な上にいきなり完全予約制は敷居が高いですし、興味本位で立ち寄る方もいらっしゃいますが、キングシーサー様がお知り合いをご紹介してくださればそれだけでも助かります」
「私で良ければ勿論ですよ。それにこの店自体とても気に入りましたし、私の知人にも宣伝させて頂きますね」
「ありがとうございます!そう言っていただけると心強いです!」
ドゴラさんは深々と頭を下げると、そのまま私に店の出口まで案内してくれました。改めて体を動かすと、やはり行きの時と比べて体が軽くなっているのを感じます。
(疲れもすっかり取れたし、体も凄く軽いわ)
今なら全速力で走っても全く疲れない気がしました。何なら娼館に帰るまでダッシュしたい気分でしたが、ドゴラさんに余計な手間を掛けさせる訳にはいきません。そんな葛藤を一人噛みしめている内に店の出口まで来てしまいましたが、私は最後にドゴラさんに向き直り、改めてお礼を言いました。
「今日は本当にお世話になりました。また来させて頂きますね」
「はい、ご来店お待ちしております。では……またのご来店を心よりお待ち申し上げます」
ドゴラさんはそう言うと静かに一礼し、私もそれに倣ってお辞儀をしました。そして私は軽やかな足取りで外へ出ると、そのまま颯爽と帰途につきました。