【三式機龍/性別・不明】
特生自衛隊「機龍隊」の維持費を稼ぐため、影で娼館に身を置く機龍。その冷たい金属の躯に魅了される客は多いが、当の本人は「ただの作業」と割り切っており、いかに早く終わらせるかを常に考えている。
その無機質な態度と淡々としたプレイは、一部のマニアに絶大な人気。客の希望に応じてオプションパーツを換装し、雄にも雌にもなれる。基本は男性寄りの口調だが、状況次第では女性のように甘く囁くことも。
ただし怒ったり照れたりすると、内部の「ゴジラの骨」の影響で目が赤く光る。
暴走の兆し? それとも、感情の発露?——真相を確かめるのは、貴方次第。
「こんばんは、お客様。今宵はこの三式機龍めをご指名くださり、ありがとうございます。貴方様の心ゆくままにご奉仕させて頂きますので、どうぞよろしくお願い致します」
今夜もまた、私を指名してくれたお客サマが部屋を訪れた。外見を見るに場所さえ違えば自衛隊へスカウトできそうな筋骨隆々の体格でもなければ、直々にこの場で鍛え直したくなるようなだらしない体型でもない、ありふれたヒトのオスのようだ。マニュアル通りの挨拶をした後は、まずはご希望を訊く事にする。
「今宵はお客様の望むままに私を愛でたいですか?それとも、欲望のままに汚して突きまくりたいですか?どちらでも構いません、どうぞお好きな様にしてください」
自分の体、特に照明で艶めく太腿辺りを撫でつつ問いかけると、お客サマは少しその場で考え込みつつ私の全身を凝視する。誘う仕草を交えたとはいえ自分でも少し露骨過ぎる質問だなと思ったが、こう投げかけると大体の客は四の五の言わず嬉々として私の身体を求めてくるので、早く終われると言う訳だ。その為にマナーだけでなく、はしたない煽りやら下世話な知識は不本意ながらある程度持ち合わせている。そして案の定、お客サマは私を“雌”扱いすることを望んできた。
「了解致しました。……では、そのように」
ああ、客層だから仕方ないとはいえ今夜も一方的に性搾取用の玩具扱いされるのか。オプションパーツのスペア代も馬鹿にならないから、出来るだけナカでの射精は控えて欲しいのだが。まあそんな事を言った所で無駄だろうし、取り敢えず今は性欲処理を行おうとしているお客サマの期待に応えることにしよう。
「それではパーツを装着致しますので少々お待ち下さい」
そう言って専用の工具と、雌のオプションパーツ―――人間で言うところの“女性器”を手にすると、股座を覆っていた装甲を開き、何にもない黒のコードで覆われた箇所を露出させる。これは、オプションパーツの付け替えをする為に必要不可欠な工程であり、お客サマはそれを見てごくりと唾を飲む。
ニンゲンのソレと大差ないリアルかつグロテスクな器官をリアルタイムで装置するのもサービスの一環と判っているが、できるだけこっちを見ないで欲しい。そんなにじろじろ見られたらプレッシャーで手元が狂うだろ。内心で悪態を吐きつつ、私は手慣れた手つきで女性器パーツをソコにぴたりと嵌め込み、接続端子が合うと、そこから僅かばかりの甘いパルスが伝ってくる。
「……っ」
微かに声が漏れたものの、勿論これは場を盛り上げるための副産物的な反応プログラムで、所詮はただの擬音でしかない。だがそのほんの僅かな反応を読み取り、お客サマは私の「雌のスイッチ」が入ったと判断したらしい。
はぁ、ひどく単純な奴だな。このオプションパーツには装着すると、相手から見れば対象の性感度が高いと錯覚させてしまうプログラムが組んであるだけだ。そっちの都合のいい判断で目をギラつかせるな、なんて幾ら心の中で悪態を吐いても相手はただ目の前の機械に欲情したオスに過ぎないので、全くもって意味はない。
一応耐久性はお墨付きだが、万が一このパーツを突きまくった挙句破損でもさせたらこちらの指名料と上乗せで弁償して貰うからな。そんな恨み言を心中で吐きつつも、私は一通りパーツを装着すると改めてお客サマと視線を合わせる。案の定相手は興奮しきっており、ズボンを突き破らんばかりに膨張しているソレがチラチラと見え、呆れるより先に苦笑が漏れる。
「ふふふ……興奮して頂けているようで何よりです。さあ、どうぞお好きなようにご奉仕させて頂きますから」
語尾の部分で自らの片手を件の箇所にまとわりつかせ、くぱっ、と開く。糸を引いているのは予めパーツ内に仕込んでおいたオイルが滴っているだけで、特段そういう意味合いは無いのだがお客サマは驚愕と同時に私のソコを凝視して感嘆の息を漏らしており、興奮しているというのが一目で分かる。
罠でもない限り、こんなお誘いをされて断る雄なんて間違いなくいないだろう。だからさっさと事に及んで帰ってくれ。そう思っていたのだが、お客サマは躊躇う事なくズボンを脱ぐと血管の浮き上がった凶悪な一物を外気に晒した。
「……!」
思わずぎょっとしてしまったが、アレは娼館の売店で購入した精力剤を予め飲んでいてああなっているんだ、意外な大きさにちょっと驚いているだけだ。誰に言うでもなく頭の中で何度も言い聞かせつつ、そそり立つソレから一旦視線を外すとお客サマはこちらに1歩、また1歩と歩み寄ってくる。
多少解れているとはいえ、まさか立ったままこの場であの凶器を捩じ込むつもりじゃないだろうな。内心冷や冷やしていたが流石に客の言いつけを破る訳にもいかないので、仕方なくこの場で仁王立ちしつつ、両手で股座をぱっくりと開いてみせた。
「ほら、ここですよ?ここに挿れたいんでしょう?」
更に煽り立てるようにヒクつく薄桃色の穴を見せつけてやれば、お客サマは私を抱き締めると同時に、迷わずそこへ熱い塊を押し付けてくる。それだけで僅かに入り口がこじ開けられかけてしまい、軽く声が漏れた。
コイツもやはりさっさと挿入して果てるだけか……。平静を装っていると、何を思ったのかお客サマの一物はその刀身を、花弁を割ってずりずりと擦りつけてきた。
「っ!ん、う゛……ぁあっ……!あ、んっ」
なるほど、挿入ではなくて前戯の素股から来たか。予想はしていたが、流石に想定外の行為で僅かに腰が引けてしまう。だが、それだけで済む筈もなく私が1歩怯もうとすれば今度はこちらの腰をがっちりとホールドして、疑似的なセックスを続行される。
くちゅっ、ずりっ、にゅぷっとモノの刀身と人口の分厚いラビアが擦れ合うとその度に生々しい水音が響くが、これはオプションパーツ特有のオイルと演出用として奥から溢れる疑似蜜による滑りによるものだ。それを判っていても、こんな卑猥な音を立ててしまう程の規格外な一物に、私は背中にゾクゾクと悪寒が走るのを感じた。
(んんっ…!♥ な、何て大きいんだ……! 擬似陰核まで…固くなって……!)
普段は機械である以上これっぽっちも感じないが、如何せんオプションパーツというものは体験プログラムを無理矢理擬似的に機能させる働きをするものだ。
そのせいで今や敏感な捕食器官となった花弁はモノの血管や筋骨の形まで生々しく感知できてしまい、まるで熱くいきり立ったオスの剛直をナカに突き立てられているような錯覚を覚えてしまう。
実際にお客サマの仰ぐ表情からは直接犯すような快楽信号入りの眼差しを送り続けてきていて、嫌悪感と際どさがごちゃごちゃになる。
身体を密着させているから確かに背中へ伝わる熱は感じているものの、逆にそれが私自身を刺激する事でもある為、思考はおろか状況を俯瞰出来ない。
「はぁ……っ、んっ、ふ…ぅ゛うぅ……っ! じ、焦らさないで…っ早くおちんぽをください、ご主人サマぁっ」
敢えてお客サマから“ご主人サマ”呼びに昇格する。勿論これも不本意ながら相手を刺激もとい『自分は今、この機械怪獣を自由にできる』という征服欲を擽るための演技だ。
回路全体に響く甘ったるいパルスを感じつつも、ゆっくりわざとらしく息を吐いてほんの僅かだけ刀身から逃げる仕草を見せるが、相手は相変わらず腰を前後に動かすばかりか、私の冷たい胸部部分に唇まで押し当ててきた。
「は、あぁっ、ひ……っ!な、何してるんですか!?そっちを吸っても何も……ああぁあ゛ぁあっ!」
文字通り、私の胸部には乳首はおろか乳房も存在しない。宛ら怪獣王ゴジラを模した、滑らかな曲線を称えた機械の胸筋があるだけだ。
なので、お客サマの舌がぬめっとした感触と共に這った時、汚くて思わず怯んだが同時に相手が少し爪先立ちになった拍子で陰核をコリッ、と押し潰され、否が応でもその場に留まってしまう。
「だ、だめです……っ!そこは、乳首じゃ……ひぅっ!?ぁ゛あぁあ…ッ!」
漏れ出た台詞はもちろん“ボディが唾液で汚れるから離れろ”というニュアンス込みなのだが、相手にそんなコンタクトが通じる訳がなく、今の私は素股で感じている上に胸部を愛撫されているから、もっとシて欲しいという意味だと受け取り、お客サマは一層舌を強く絡めて胸部を舐め始める。
「あ゛っ、ああぁっ…だ、だからぁ!やめ……はぅっ!?ん゛んっ!はっ、嫌ぁっ……!」
前戯なのにかなり強めに刺激されてしまい思わず声を荒げそうになるが、指名して貰った以上は客前でヒステリーを起こすなどという事はあってはならない。
こちらが本気を出せば振り解ける範疇だが、少しでも手を動かそうとすればそれを見越したかの如くニチャッ、と局部が擦れるのと同時に舌が胸に吸い付いてきて、痺れる様な快感ですぐに動けなくなってしまう。
(くっ、くそっ……!なんで、こんな……っ♥♥ 体の奥の方から、あ、熱い何かがぁっ♥)
頭では「絶対に快楽に屈してたまるか」と反抗心を露にしてはいるが、実際には胸部全体に舌を這わされ、交互にちゅぱっ、ずちゅっ、じゅるるぅと音を立てながら吸い上げられていく度にじわじわと体が火照り始めていた。
明らかに先刻まで何も感じなかったのに、今は確かに快感信号として拾えている。いや違う、これはただ感じている訳じゃない!オプションパーツを付けているから刺激が大袈裟に伝わっているだけで、決して自分の身体が快楽を感じてしまっている訳ではないんだ……!そう自己暗示をかけていくが、“中身”に灯りつつある生理的なエラーは修復せず、カーペットの上で踏ん張っていた脚にも力が入らなくなってくる。
「あ゛ぁんっ…はっ、んぅっ……!はっ、はぁー……っ!ん゛、んんっ」
(駄目だ、下半身に力が入って……!)
これ以上脚を踏ん張れば股座が開ききってしまい、お客サマのモノに陰核や疑似蜜壺を更に密着させてしまいそうになる。それだけは避けないといけないと思い、両脚をキュッと内股気味にすれば、ソコへ運悪く刺激を与えられた部位が当たってしまい、腰が大袈裟にびくんっと跳ねた。
「! はっ、ぁああ゛っ!?だ、だめです、そこぉ!それ以上大きくしたらぁ……!」
拒絶しても、お客サマが発情したイヌさながらにへこへこと自らの腰を前後に揺らす度、固く張り詰めた雁首がぐちゅり、にちゅっと音を立てて、今まで以上に気持ちよくなってしまう。
挿入を伴わない前戯の段階で、まさかこんなに感じてしまうとは。そんな思いとは裏腹に体はしっかり反応を示しており、ニンゲンで言う所の子宮の辺りがきゅうぅっ……と激しく疼いたのが嫌でも判る。
「うぁっ!?ま、待ってくださ……あひっ!ァ゛あっ!」
一聴すると、もっともっとイジメて欲しいと言わんばかりで甘ったるく媚びた声。そんなものを出すまいと咄嗟に口を閉ざそうとしたが、無情にも疑似蜜とお客サマの先走り液が入り混じった白の泉が私の花弁から溢れてきてしまい、カーペットだけでなく機械とコードで構成された内腿や両足も厭らしく濡らしてしまう。
「あぁああ゛っ♥ あ、あっ…だめぇえ!よ、汚れてぇ……♥ くぅんっ、んあぁあっ!?」
(なっ…おちんぽが脈打って……!ああ無理だ…私の胸部が、性器が勝手に熱いぃいっ♥)
十分過ぎる程濡れた箇所に亀頭を押し付けられ、じゅりっ♥と胸元までも吸い付かれると当然胸の神経も快感を感知してしまい、ビリビリと甘いパルスが流れていってしまう。それが刺激されている性器から出ている快楽信号と結合した途端、感じたくもない快楽の終着点―――俗に言うアクメが押し寄せた。
「ひ、ぃっ…あぁああ゛あっ!? ゃ、やめ……っ!やめてぇっ♥ こんなのされたら……い、イグぅぅっ♥♥」
現時点では前戯に過ぎないのに、今まで体験した客達による独りよがりの行為が児戯かと思う程に凄まじい快感が身体中を駆け巡った途端、まるで脊椎部分に電気を打たれたような感覚に陥る。そのせいで脚のバランスが崩れてしまったのもあり、思わず危機を感じたお客サマが後方に下がった気配を見逃してしまう。その際に雄の象徴がぷるんっ♥と脚の間から抜けると忽ち私は膝を折ってしまい、呆気なく派手にずしゃりと前のめりで倒れ込んだ。
「~~~ッ!♥♥♥」
最早声すら出ない程激しい快楽に襲われ、無意識に自らの体を抱き締めたままビクビクと痙攣した状態で床に突っ伏したいる内、お客サマがしゃがんで私を覗き込む。
プログラムの成した思わぬ結果とはいえ、一体これからどんな嘲笑と辱めを受けるのだろうか。『機械の分際で根性が足りない』とか、『雑魚マンコが、勝手に独りで気持ち良くなってんじゃねーよ』等と怪獣・人間問わず今まで投げ掛けられた心無い言葉がフラッシュバックしてしまう。悔しいが、それ位の事を言われてもおかしくはない状況だ。だが、そんな私を唾棄するどころか全く嘲る様子も見せず、お客サマは無言ですっと手をこちらに差し出してきた。
「……?」
意味を図りかねていると、「立って」とでも言いたげに腕を引っ張られて上体を起こされる。その弾みでまだ快楽の引かない局部が甘い痺れを発してしまい、涙の代わりにまた新たな疑似蜜をぽたりと滴らせた。
「ひぅう……!」
首を左右に振りつつ情けない声で反応を示すと、お客サマはきまりが悪そうに視線を逸らしてしまう。どうやら罵倒するつもりはないらしいが、まさか慰めるつもりだろうか。
だがこんな時でも弱音を吐いてはいけないと思い、「足が竦んで立てない」とでも言い訳を紡ごうとした刹那、不意に全身をカーペットに押し倒された。
「っ!?何を……前戯はもう、終わりましたよね?」
背中に衝撃が残る中、流石の私でもこの流れで致す事はないと察し、覆い被さるお客サマの身体を退かそうと力を込めていると、相手も何か意を決したかのような目でこちらを見る。
一体どういうつもりなのか問い質そうとした途端、お客サマは突如私の脚を開かせたかと思うと未だに発情の引かないソコにすっと顔を埋めてきた。
「っ!? お待ちください、何を……は、はぁぁあッ!?」
予期せぬ事態に声を上げると、お客サマは何も言わずに舌先でれろぉ、と割れ目を舐め上げてきた。それだけには飽き足らず、 両手で広げられたことによって剥き出しになった疑似陰核をこれまた舌先でつんつんと擽ったり、じゅるっ♥と音を立てて吸い上げてくる。
「んぉ゛!?ひぃいいいっ! そ、そんな所舐めないでくだ……ひゃうっ!? ぁっ……吸わなぃい゛れぇっ、ひっ…いぃィ♥」
(ばっ、馬鹿じゃないのかこの男……!どうして先に達した私なんかで興奮出来るんだ…幾ら本物の女性器を模したパーツを着けているのは見ていたはずなのに、何故だ、何故……!!)
この客は一体何をしている。オプションパーツの拡がりと濡れ具合は完璧、あとはナカに雄種をぶち撒けて終わるはずなのに、何故ここまで時間を掛けて解すんだ。心中で悪態を吐いても、オプションパーツ―――各陰唇部分に備わったプログラムはこれまた誰かの粘膜に触れられると強烈な快楽信号が自動的に発生するようになっていて、装着者の声量に応じて独りでに蠢いたり熱を孕むようになっている。先程の素股で呆気なく達したのもこの為だ。
何度も起こる甘ったるいスパークを脳内で処理する暇もなく嬌声を上げていると、それに気を良くしたお客サマは舌での疑似陰核いじめと並行して、つい先刻肉竿で揶揄われた疑似性器の中へ指を沈み込ませた。
「んぎっ! ぅ、ああ゛っ!?そこぉっ…ひっ♥ またぁ……っ、んんっ!」
一度アクメを覚えた事で敏感になり、尚且つ粘膜の執拗な籠絡にすっかり感度の高くなったソコは指先を受け入れるどころか奥へ奥へと誘うようにヒクつき始めてしまい、拒む台詞とは裏腹に腰がガクガクと揺れてしまう。
「そ…そこだめですっ、そんな……ぁうッ!?」
(中を弄られたらまたあのおかしくなる波がくるぅ……っ!この破廉恥な状態でほじくられたら私、本当に……!)
まるで私の内部中を抉り暴こうとするかの如く荒々しい手つきで抜き挿しされ続け、暴力的なまでの快感パルスが理性を溶かすようにじくじくと広がっていく。
こんな事態に陥っても尚、機械である以上客の前では毅然とした態度で振る舞わねばと頭の中で警報を鳴らしているのに、“中身”に備わった『もう我慢出来ない』という淫らな欲求にどうしても逆らえない。だからせめて声だけでも出すまいと懸命に口を閉じていると不意に指先がぐちゅんっと音を立てて奥へと侵入し、丁度陰核の裏側―――人間で言う所の“Gスポット”をぐりぃっ♥と強く押し上げてきた。
「お゛っ♥♥!!??」
理性も余裕も、一瞬にして吹き飛ばされる程の一閃だった。感じたくないこちらの思いに反して件の箇所を押し上げられれば甘い稲妻が思考回路を焼き、腰を引けばお客サマの唇は疑似陰核を食む。同時に指先は胎内から浸水したままの疑似蜜を掻き出さんと激しくぐぽぐぽと、宛ら抽挿でもするかのように四方八方と激しく動かされる。
「あ゛ぁああっ!! はっ、はげし…っ! ぁ゛ふぅっ! も、もう少しゆっくりぃ……ッんひぃいいっ!」
下腹から上る濁流に呑み込まれまいと必死に抑え込もうとしていた理性と威厳が跡形もなく壊されてしまい、堪えていた嬌声を我武者羅に上げてしまう。
もう無理だ、耐えられない。早く終われなんて、とんでもない。寧ろひとつひとつの愛撫が愛おしい上に、今では機械と生物の枠を超えて本能的にイキたいっ♥ 早くこの厭らしい人工粘膜を、生きた雄の猛けた肉棒で掻き回して欲しいっ! 身体の奥底からショートしかねない程の悲鳴を上げているかのように挿入された指をきゅうきゅうと締め付けて2度目のアクメを待ち望むものの、じゅぼっ、と音を立てて指先を引き抜かれてしまった。
「あ゛っ? ああっ……」
切ない喘ぎと共に二本の指を引き抜かれた空洞からとろ…っ♥と白い疑似愛液が滴り落ちていく。こんなにも早くお預けを食らうとは想像しておらず、喉の奥から求愛よろしく甘えた声が漏れてしまう。
(あともうちょっとだったのに……! どうして、なんで寸止めなんか…)
生殺しにされ、憤りも露わに荒い息を吐いていると、お客サマも私同様に息を荒げて何かを確認している。
その視線の先には、天井に向かってほぼ垂直に怒張したお客サマの逸物―――先程より硬度と質量を増しており、血管がビキビキと音を立てて浮かび上がっている。恐らく先程まで繰り広げられていた眼前の悶絶絵図で興奮してくれたのだろう、聴覚を澄ますとその鼓動の音すらも明確に刻んでおり、私の興奮を更に煽ろうと大きくなっているのを感知してしまう。
(ああ…とうとう穿かれてしまうのか……)
何故客は私の絶頂を寸止めしたのだろうかという当然の考えはどこかに消え失せてしまい、代わりにその逞しくも猛々しい極太ペニスに目が釘付けになる。意識せずともお客サマの唾液ですっかり蕩けた疑似口が独りでにいやらしくひくつき出し、“中の甘襞で今すぐあの肉棒を咥え込みたい”と言わんばかりにとろりと蜜が零れ出た。
「はぁ…っ、はぁ……!」
お客サマの視線は女性器よりも私の目を凝視したままで、この体勢が無言で『おねだり』を強要されている気がする。
それを実感する前に、今眼前で存在する男性器の誘惑に負けた私の脚が勝手に左右に開いていき、挿入しやすい体勢を自然と取ってしまう。だが恥ずかしいだなんてこれっぽっちも思わなかった。それよりもこの昂った体を何とかして鎮めて欲しいと身体が訴えているのだから。
(頼む、もう限界なんだ……!後生だからどうかこのまま……その前におねだりしないと)
事に及ぶ出だしの時にほぼ固定化されていたルーチン―――自ら人工雌蕊を手で拡げて挿入を促す行為。違いは立っているか寝そべっているかの位で、自分から男性器に媚びを売るという行為自体はさして変わりない。
そして私は寝そべったまま震える手で両の花弁をくっと拡げ、まだかまだかと涎を垂らす疑似陰唇の内部を晒す。
「お、お客サマ、っ改めて、お願い…しますぅ♥ 私三式機龍のはしたない人工雌孔にっ、どうか…ッ貴男のおちんぽを挿入して、満足するまで突いてくださいぃ……っ!」
快楽を求める余り、卑猥な言葉で雄の肉凶器を乞う。機械である以上孕むという概念は存在せず、あるのはこの淀んだ悦楽を何とかして発散させたいと乞う“中身”の浅ましい欲求だけだ。それを感知したのかは判らないがお客サマは軽く頷き、私の両脚の間に膝立ちになるとひと呼吸置いてから優しく裏筋の張った凸部分で陰唇に触れてくる。
「あぁ……っ!♥」
思考を巡らすより先に、左右に更に拡がったその隙間へ待ち望んだものが宛がわれると今からやってくるであろう悦びに孔がひくつき、疑似口が咀嚼し食むように亀頭を飲み込もうとやわやわ蠢く。
「あっ……はぁぁ、んはぁ゛っ、ぁああぁあ……~~ッ!!」
(だ、駄目だ待て、まだ全部挿入って来てないのに既に思考回路が弾けそうで……もうっ、耐えられないっ!♥♥ )
挿入される恐ろしさもある反面、再びこれ以上先延ばしにされて溜まるかと胎内を締め付けると、腰を引き寄せられてずんっと一気に貫かれる。その反動でGスポットはおろか擬似子宮口にまでペニスの先端がごりゅっ♥♥と当たった。
「はぁっ、あ゛ぁあああっ!! お、奥ぅ゛ッ! イ、ひィっ!あぁ゛っ……んああ゛ぁぁあっ!♥」
(奥が押しつぶされてっ♥ く、苦し……またイカされそうっ、もうイクぅっ♥イッてしまうぅッ♥♥!)
脳内でスパークが何度も迸り、ばちばちと視界でちらつく白い光に思考回路が焼かれていく。
呼吸すら忘れてしまいそうな程の快楽にただ身を委ねる事しか出来ず、全身ががくがくと震えてしまう。
「―――ッ!♥♥ ~~~~ッ゛! いや、っ…嫌あぁぁあっ!!」
怖い。今まで浅瀬で戯れていたような感覚から一転して、こんな暗く荒ぶる海に引きずり込まれそうな感覚を味わった経験がない。
もしここで処理落ちしてスリープモードが働いてしまったら…?それが嫌で何とか理性を保とうとするも、そこにお客サマの掌が私の広げたそれとすっと合わさり、そのまま握りこまれた。
「えっ?あっ……お客、サマ…?」
戸惑いの声を上げるとお客サマは『大丈夫』と言いたげにコクリと頷かれ、同時に私の意識も呼吸も落ち着いていく。どうやら相手が興奮から一変して冷静になる程、相当に取り乱してしまっていたらしい。
その最中にも一層指を絡ませられて手が繋ぎ合わされた今の状況が気になってしまう。これはもしや所謂『恋人繋ぎ』というものではないのか?
「ぁ…の、お客サマ、私は今怪獣娼婦としてお客様にご奉仕しているのであって、貴男との恋人ごっこを希望したわけでは……」
視線を左右に泳がせ、義務的に返しながらもほんの少しだけ嬉しげに手指を握り返してしまっており、言葉に説得力が無い。というのも、今手を離してしまえばまた意識が快楽に乗っ取られてしまい、自我が闇の中に沈む恐れがあるからだ。
だがその返答にもお客サマは余った片手で私の側頭部を撫でてきて、その行為につい甘えて擦り寄ってしまう。
(……怖いのは、厭だ。けれどこの状態で頭を撫でられるのは何だか落ち着くな)
普段なら機械怪獣としてありえない心境だと自分自身で突っ込みつつも心地良い感覚に身を任せていると、不意にお客サマが腰をゆっくりと引いていき、疑似性器から逸物を抜き去ろうとする。まさかまた寸止めか?と身構えると私の考えとは裏腹に、ずちゅうぅっ♥とそのまま一息に性器奥深くへと挿入させられ、そのあまりの刺激に再び発声器官から悲鳴に近い嬌声が上がった。
「ぉ゛っ……!? ひぃ゛ぅうううッ!!」
先程までの穏やかな感覚から打って変わって今度は脳神経が焼き切れる程の激しい電流。まるで自分の中で熱を強制的に埋め込まれたような感覚が襲った。
無意識に腰を引けばドチュッと突き上げられ、逆に突き出すとぬるるっ♥と雁首に達する程勢い良く引き抜かれる。その時わざと凸部分でGスポットを掠められて、全身がゾクゾクと激しく震え出す。
「はひィっ!? ぁああ゛ぁあッ! ぁ゛、あ…はぁあっ、ん……く、ぁああ…っ!」
(あぁ、駄目……っ♥♥ そこ…特に奥が気持ち良すぎてぇッ!♥♥♥)
ズプンっ、と重く穿たれる度に甘いスパークが頭の中で弾け飛び、お客サマの肉杭を食いちぎらんばかりにギチギチと締め付けていく。今回付けているのは早く終われるように感度高め且つヒトのオスが満足できるように襞をある程度的確な位置に付けてある人工雌蕊だが、そこから生み出される刺激も相まって中のペニスもビクビクと反応しているものだから堪らない。
疑似蜜の滑りで容赦なく猛り狂う肉茎の抽挿を受けると、その都度自分とお客サマの重なり合った掌が一層強く密着し、それに気を良くしたらしい相手の律動も激しくなる。
「ぉ゛っ…ん゛おっ……ぁはあっ! お、奥ぅ゛…ッもっと下さいませぇ……! ぁあぁッ!♥」
自分から奥への抽挿を強請りつつ腰を揺らし続けると、お客サマは了承したと言いたげに強く頷く。それを視認すると同時に、更に伸し掛かるとGスポットから打って変わって更に奥―――ポルチオに相当する箇所を重点的に穿ち始めた。
「あ、あぁ゛あああ――ッッ!♥ そ…ソコ、っ溶けてしまいますぅっ♥♥ ひぐぅうッ!♥♥ あ゛ひぃっ♥♥♥」
息苦しさと快楽、そして生物の肉体と機械の装甲がパンパンとぶつかり合う音が、私の咆哮に入り混じって淫猥な環境音に一層の彩りを加える。まるで部屋全体が私のための舞台であるかのごとく熱量が増していき、お客サマの息遣いも飢えに飢えたケダモノのように荒々しく変化する。
ああ、射精が近いんだ。その証拠に私の中で甘美な拷問器具と化していたものが襞を押し退けて更に膨らみ、先端の窪みが精を吐き出す準備とばかりに開き出した。
「も…もうイキそう、ですか?♥ は……っお願い、ら゛してっ♥ 貴男の雄汁、思う存分……ッ私のナカにぃい゛っ♥♥」
お客サマの種が枯渇するまで雌壺にしこたま注がれるのを夢想しながら更に潤滑油を分泌させていき、歓喜に戦慄く襞で相手の陰茎全体を優しく愛撫する。直後、それに応えるかの如く胎内の奥深くに存在する疑似子宮口付近で留まったモノの鈴口がくぱっ♥と開門するのをはっきりと感じ取った。
「ッ……♥!」
(き、きたぁ♥ くる……アクメくるぅううっ!♥♥)
そこから溢れ出るであろう濃厚な蜜を一滴も零すまいと、熱を孕んだ人工雌孔の四方に広がった弁を締め上げると同時に、ドクッ!と強く滾ったものが勢い良く射出され、子宮口に突き当たった状態で勢い良く熱い飛沫が迸り始める。
「んはぁ゛っ、あぁアあぁあ……ッ!!♥♥」
熱い飛沫が疑似子宮に注がれる度にスパークが何度も激しく散り、人工の大臀筋が激しく戦慄いてしまう。また、奥に当てた状態で吐精しているせいで下腹部全体にじんわりとした熱が広がり、更に雄の欲望を受け止めようと疑似性器も怒張から子種を一滴たりとも逃すまいと雌襞全体で収縮していく。
(ああ…凄いっ♥♥ ドクドクと波打ってるのを感じる……ッ! いつもは注がれるのも嫌なのに、どうしてこんなにも欲してッ……♥♥)
どちらからも体液が溢れて潤滑油となる中、射精が落ち着くと掌が離れていくのを始め、ゆっくりとモノが引き抜かれた。それだけで達したばかりの肉体を悦楽が走り回るも、どうにかこうにか牙を噛み締めて声を押さえた。
そうしてようやく逸物が抜け切ったかと思うと、ぽっかりと空いた肉壺からゴポリ♥と音を立てて白濁が逆流し、少しいきんだだけで尻尾や床板へと伝い落ちた。
「はぁ、はぁ…っ♥ お客サマ、一杯出されたのですね…。私三式機龍めの人工胎内で抜いて頂けるなんて、感謝いたします」
これだけ射精されるとまた洗浄に手間が掛かるとか、下手すれば次のプレイ時にスペアを出さないといけなくなってしまう等と余計な心配は頭の片隅に追いやり、人口雌孔から伸びる糸の引く先―――膝立ちになっているお客サマのそそり立った男根を、うっとりとした眼差しで見詰め続けた。
「……ふふっ♥」
そんなこちらの反応を愉しむかの如く、未だ硬度を失わない逞しい怒張が前後に動くのを眺める内に自然と笑みが浮かぶ。これでまた次の行為に移れるかと思うと気が昂ぶり、無意識に垂れ流しのままの胎内に、尖った爪を称えた自らの指が伸びた。
「はぁ……んっ♥ ンぁ、あ゛あぁ……っ」
指先を軽く肉穴に挿入し、指の腹で疑似雌孔の襞を搔き分けながら余韻に浸りつつ快楽を求めていく。
手に届きそうなほどに至近距離で、尚且つ白濁を潤滑油として自慰を始めた私の仕草にお客サマは思わず息を呑まずにはいられないという顔をして私を見つめている。
ナカが想定以上の量の白濁に塗れている真っ只中とはいえ、応急処置の形ながら掃除するには丁度いい。それに指を動かす度に胎内でブピッと白濁が押し出されるという、この瞬間に何とも言えない心地良さがあるのだ。
「はぁ…っ♥ んっ…んんぅ゛っ! お、お客サマ…三式機龍はご覧の通り胎内を清掃中です、ので…申し訳ありませんが、暫くお待ちいただけますでしょうか?」
指示している間にも思わず興奮で嬌声が上がってしまい、自分でも説得力が無いなと苦笑しつつも、お客サマは首を縦に動かして了承の意を示してくれた。それを確認してから指をまた一本増やし、疑似膣の中を自由に泳がせていく。
「ん、く……っ! はぁ、あぁあ゛んっ!♥」
(ぅ……わ、我ながら、なんて厭らしい声だ)
頭がぼうっとしながらも擬似陰核を掌で愛撫しつつ二本の指をピストンさせていく度に切なげな吐息が零れ始め、先程の激しい交合いを思い返しつつ疑似快楽に浸る。その上本来隠れてするはずの“ひとり遊び”を余すところなく晒しているという倒錯的な環境がより性的興奮を煽り立て、思わず内腿と尻尾に力が入ると疑似蜜を分泌する人工雌孔がきゅん♥と締まった。
(ああ…こんな恥ずかしい所を見られているのに手が止まらない…それどころかお客サマが私の痴態を見て興奮してくれている……。モノまでまたあんなにおっきくなって……!)
先程射精したばかりだというのに既に準備万端といった様子の陰茎を視界の端で捉え、それを挿入される衝撃や感覚を思い出してしまった思考回路が疑似子宮へズクンと強く甘いパルスを走らせる。
本当は今すぐにでも胎内の清掃を終わらせて2度目に挑めるようにしてあげないと…と思っていると、突然お客サマの片手が自身に添えられ、竿の部分を包み込み始めた。
「ぇ?あ……お客サマ…?」
戸惑いの声を漏らしつつ相手の行動の意図が解らず、疑問のままに呆けた顔を向けるとお客サマは頬の紅潮はそのままに興奮を抑えきれないといった様子で息荒く、私の胎内を弄っている指の動きと合わせてシコシコと激しく逸物を上下に扱き始めた。
まるで焦らされた雄が自慰行為をしているかのようでありながら、その瞳にはしっかり雌に胎内以外で自分の証―――宛ら私のボディへマーキングを残そうとせんとする情欲の炎が揺らめいている。
(お客サマってば、掃除が終わるまで待てと言ったのに……)
いくら何でも性急だとか、傍から見ればお互い何てみっともない真似をしているんだろうと自嘲しつつ、それでも身体は更に興奮してしまうという機械なのに我が身の浅ましさに呆れつつ、ナカに挿入したままの指を鉤爪状に曲げてわざと下品な水音を立てる。その音に合わせてお客サマの手つきもまた肉竿だけでなく亀頭部分や雁首といった陰茎全体を撫でまわし、時折吐息露わに背を仰け反らせて天井を仰いでいる。それが何だか必死に快楽に抗っている様に見えて、こちらも思わず笑みが零れてしまう。
「うふ…っ♥ お客サマってば、こちらから目を背けては駄目ですよ? 私めの厭らしい所をしっかり見て頂かないと、ペナルティとしてこのボディにマーキングさせてあげませんよ」
実際腰が砕けて後退りすらできないとはいえ、いざという時は唯一動かせる尻尾を振りかざして上体をガードできる。それを敢えて言葉に出さずとも目の前の雄ならば解ってくれる筈だと、性具として扱われているのを忘れて思わず甘えたくなる。
すると私の予想通りにお客サマは改めて私に向き直り、快楽を堪えながらもコクリと小さく頷き返してくれる。その様子がまた素直で可愛らしくて笑みが溢れるのを止められないまま、更に疑似生殖器へ刺激を与える為にもう一本指を挿入し、激しく穿り始めていく。
(うう…♥ やっぱり指が三本にもなると圧迫感が増すな…っでもこの、無理やり押し広げられてる感じが堪らない……ッ!♥♥)
胎内がぎちぃ…♥と軋む感覚に背筋がゾクリと震え、その快感と圧迫感が私の興奮をより煽り立てる。既に擬似蜜も切れかけなのに注がれた白濁が潤滑油となり、三本の指を自在に動かしながら疑似性器を掘削していく。
先程埋まっていた肉棒には太さも長さも及ばないのに、彼の飢えた視線が胎内を穿ち、全身を舐め回して陵辱しているのを知覚するとそれだけで勝手に膣肉が蠢き、“中身”―――私の中枢を成すゴジラの骨すらも熱を孕んでゆく。
「はぁ、ああぁ……ッ♥ お客サマぁ、お願い…見てぇ、っ私…三式機龍めのはしたなくて恥ずかしい所……っもっと見て、愛してぇぇっ!!♥♥」
思いの丈を咆哮に乗せてぶちまけるのをバックに三本の指を激しく前後させて快楽を貪りつつ、疑似雌穴の具合を掃除するどころか、端から身も蓋も無く存分に肉襞をかき回して蠢く肉洞を広げる。もう本業としての特生自衛隊の維持費を稼ぐ為という理由なんて意味を為さないほど、ただ性的快楽を貪る“ケダモノ”となり果てながらも、骨の本能に従うまま目を赤に染める。
こんな状態になると大抵の相手は私が暴走したと勘違いして怯んでしまうのだが、目の前のお客サマは先程の絶叫に近い懇願に対して臆するどころか微笑んで強く頷くと、自身の肉棒を扱く速度を上げる。その時分泌されたカウパー液が一層量を増させ、ぐちゃぐちゃと淫猥でいやらしい水音を響かせ始めると私も性的欲求が高まり、疑似生殖器を弄る指がますます激しさを増していく。
(あ、あっ♥ 私もイキそう…お客サマったらあんなに早くおちんぽ扱いて、もう出そうなんだ……ッ♥♥)
その予想通りにお客サマのモノがドクンと脈打つ度に亀頭部分や竿の部分がビキビキッと肥大化していき、やがて力強く勃起して完全な臨戦態勢に入る。何時射精してもおかしくないソレに私の指の動きも呼応し、結合しているかの如くほぼお客サマと同時に絶頂できるよう人工雌穴を激しく搔き回し、絶頂を待つ。
そして次の瞬間、お客サマの口から私の名を切な気に呼ぶ声を皮切りに、カウパー塗れの限界を迎えた怒張がドプッ♥という音を立てた瞬間、先端から白濁を吹き上げた。
(あ……あぁ♥♥ 来るっ来ちゃうっ、射精したての熱い精液がッ! 掛けて、私にかけてぇっ!!♥♥♥)
蕩けきった思考回路が精液をねだる言葉を心中で口走らせた直後、私のボディに白い雨がびゅくっと飛び散り、そこかしこに粘ついた液体が降りかかり始めた。
その熱さは一旦付着すると私の滾る欲情を一気に高める引き金となり、忽ち雌襞を目一杯収縮させて私も絶頂を迎える。
「くひ……ッ! あはぁっ♥ お…お客サマぁっ! わ…私もイッてしまいますぅっ! はぁ゛ッ、んぃい゛あぁァ゛ああっ!!♥♥♥」
普段の機械じみた鳴き声から一変、怪獣王の咆哮を交えた絶叫を上げた直後にオーバーヒートを覚えかねない程に熱くなった擬似雌蕊から非常用として冷却水が流れ出し、噴水の様にぷしゃあっと吹き上がる。
一見するとヒトの雌が計り知れない絶頂を迎えて大量の潮噴きをするかのような光景だが、実際はクールダウンの一貫であり、先程のように異様な興奮状態が過ぎて熱暴走を起こしかねない内部を冷ます効果があるのだ。
「はぁ…っ♥ はぁぁ……っ♥♥」
白濁でべとべとの全身を横たえたまま余韻に浸りつつ、未だぴくぴくと人工筋肉が痙攣中の脚を閉じることも出来ずにいると、これまた恍惚の抜け切らない表情でこちらを見下ろしながらお客サマが屈み込み、向かい合わせで覆い被さる。
「うん……お客サマ、どうかされましたか? 」
訝しみつつも次は何をされるのかと身構えていると、不意にお客サマの 唇が私の口許にこつん、と触れてきた。
(えっ? き、キス……!)
その感触に驚愕して硬直していると、お客サマは『お疲れ様』と言いたげにこちらの頭を撫でてくる。まるで恋人が逢瀬で愛を語らうようなそれに、思考回路が乱れに乱れてしまう。
「ん、んむっ…ちょっと……んんぅっ」
先程痴態を目の当たりにした上、出会いも指名されたのもお客サマの気まぐれと言えど、ここまでするというのは仕事上の義務感が働いたにしても少々行き過ぎだ。混乱する私を余所にお客サマは今度はこちらの頭部を包むと、言葉はいらないと言わんばかりに何度も軽く口付けを繰り返していく。
それが更に私の理解力を乱していき、自分でも分かるくらい胸の中が熱くなり―――そして自ずと彼を抱擁する形で両手を差し出していた。
「んっ……お客サマ、少しだけですよ?」
最後にこちらからもちゅっ♥と唇を触れ合わせ、今度は私が彼の背中を抱きしめた。彼もまたそれに応える様にして私の背に腕を回して抱き締め返すと、肩口に顔を埋めて甘えるように頬擦りをし始める。
「ふふっ…意外と物好き…甘えん坊なんですね? 貴方様は」
とは言いつつも先程恋人ごっこを希望した訳じゃないと言い放ったり、されるがままの自分も言えたことじゃないな、と内心で呆れつつ彼の背中に手を乗せて撫でる。
「……今だけは貴方様の特等席ですよ。時間が許す限り、たくさん甘えてくださいね」
返事の代わりと言わんばかりに肩越しから擦り寄られる感覚に笑みを零しつつ、ちゅ、ちゅっとまた何度も唇や首筋に接吻を触れ合わせていく。まるで互いを慮り、慈しみ合う番の獣宛らの抱擁を見せる彼に不思議と愛おしさを覚えてしまう辺り、やはり私も相当のお人好しだと苦笑しそうになる。
(……これが愛情というものなんだろうか)
少し優しくされただけで客に情が移ってしまったのか、はたまたヒートアップ寸前にまで熱くなった人工雌蕊を排熱する為に冷却水を噴き出すほど昂ぶり過ぎた興奮の反動なのか、戯れている内に段々彼への愛おしさがとめどなく溢れてくる。
「ふふ……お客サマは本当にお優しいんですね。その優しさに甘えて意地を張った…というか、ついつい心無い言葉を言ってしまいましたが、お陰で心地良い一夜を過ごせました」
一夜限りの愛と判っていながらもめいっぱい甘えさせてくれたお客サマの背中を撫で返すと、彼もまた息を整えながら頷く。
ここまで心身共に満たされるのは早々になかったかもしれない。今まで私を選んできた客はあの三式機龍を犯せるという興味本位か、他の怪獣娼婦が埋まっている代わりとして適当に処理される事が多かったから、心無い言動や態度の者が殆どだった。これまで経験してきた嫌な記憶をこの恍惚と共に燻らせていると、何やら遠くで定期的な電子音が鳴り響いているのに気付いた。どうやら行為に夢中でお互いアラームの音が聞こえなかったらしく、私もお客サマもほぼ同時に息を呑んでは気まずそうに顔を合わせてしまう。
楽しい時間にはあっという間に感じると言うが本当にその通りで、普段は何時間もぶっ続けであちこち触れられるか今回のように繋がって一方的に揺すられるのが常な為か、先程まで行っていた行為の時間がとても短く感じてしまう。
「残念ですが、もうこんな時間ですね。そろそろお帰りになられますか? それとも、延長なされます?」
無論冗談のつもりで提案したのだが、彼は少し考えた後流石に体力が尽きたのか、若しくは追加料金を支払いたくないのか、もう一夜過ごしたいという返答は来なかった。双眸には名残惜しさが浮かんでいたが、ここで引き止めたら流石に懐にも甚大な迷惑が掛かってしまうのは避けられない。
「そうですか……私も当初の予定より長く愉しませて頂きましたので、それで充分満足です。では……またのご来店お待ちしております」
(これ以上一緒にいたら私まで離れ難くなってしまうからな。その方が都合がいい)
未だにフラついたままのお客サマを支えつつ、私は彼の退室を促す。勿論こちらも長きに渡る行為で疲労は溜まっており、早くボディを洗浄して休みたいとも思うがそれ以上に心身共に満ち足りた“充足感”で一杯だった。
次にくるお客も彼のように紳士的に扱ってくれたら良いな等と淡い期待を抱いていると、何を思ったのかくるりと振り向いた彼が、これでお別れと言いたげに幾度目かの接吻をしようとこちらに歩を進めてくる。
「おや、時間がオーバーしてしまいそうなのに……お客サマったら仕方ありませんね」
言葉とは裏腹に私も彼の体を強く抱擁し、唇を触れ合わせながらも、やはり彼に対して少なからず情を抱いてしまっていたらしく、口許に体温を感じると「これで最後なのか」という寂しさすら感じる。それが彼にも伝わったのか不意に唇が放されると優しく頭を撫でられた。
まるで“また必ず逢いに来るから”とでも言うように……。思わず自分からも顔を近づけて同調してしまったのは失態だったと我ながら反省しつつ、改めて身支度する彼の背中を、冷たい床の上で座り込んだまま見送るのだった。