魔獣帝ノ夢想

「いつも拒絶しおって…その内お前から俺を求めるようにしてやるから、覚悟しておけ」

その一言を引き金に、柔らかな寝台の上にオオタチを押し倒して裸身を眺める。生贄の子羊さながらに震える彼女の姿は、俺の嗜虐心を掻き立てて止まない。

創られてから何回彼奴レザーバックに抱かれた?何回奴の名前を呼んだ?僅かに紅潮しつつある内腿を撫でつつ、返答を促す。当然オオタチは答えられず、怯えた様相で口ごもった。

ああ、その恐怖、その目だ。そもそもこの魔獣帝に逆らえる個体はライジンや創造主を除けばほぼ皆無なのだが―――長い間狙っていた獲物が戦意を失って臆する様は堪らない。普段の強気そうな眼差しから一変今にも潤み出しそうな二つの黄玉を一瞥した後、菫色のルージュを無理やり貪った。

逃げようとする舌を無理やり絡め捕り、無意識に漏れる呼吸ですらも口内で一層深く篭絡する。この青く輝く舌が彼奴の男根を貪り、愛撫したかと思うと心がちりちりと炙られそうだ。だが、その時苦しさか肩に爪を立てられ、忽ち思考が現実に戻された。
この期に及んで、まだ反抗する気か。一端唇を離すと、俺の背中でうようよと蠢いている無数の尻尾でオオタチの両手首を拘束し、乱暴に寝台に叩きつけた。

ごめんなさい、ゆるして等と、オオタチの同調が脳内に次々と入り込んでくる。しかし、俺が聞きたいのはそんな有り触れた許しを請う言葉などではない。

「思う存分啼いてもらうぞ」

直後、余っていた尻尾がオオタチの両脚に絡みつき、頑なに閉じていた秘部が露になるように開かせる。忽ち仄かに牝の匂いが立ち込め、彼女の恐怖と連動しているのか薄紅色の花弁が震えていた。ますます強くなる拒否の同調をバックに、芽吹きかけている秘豆をぐっと引っ張ると僅かな悲鳴を上げつつ、オオタチの躰がびくんと仰け反った。
良い反応だ。征服感に満たされつつ局部へ舌を這わす。秘豆を転がし、時にやわやわと食み、包皮から頭を出した直後に軽く吸うと、先程の悲鳴とは違った甘い声が聴覚を過った。
ココが良いのかと言わんばかりにソコを刺激する度、すっかり羞恥と恐怖に心身共々引き攣ったオオタチの口からヒッ、ヒッ、と嗚咽にも似た断続的な嬌声が漏れる。その内、番としての本能なのか少し開いていた雌孔が自然とひくひくと開き、淫靡な匂いが嗅覚を突いた。
秘豆の愛撫を利き手に任せ、今度は雌孔に舌先を、唾液を流しつつ突き入れる。先ほどとは違ったオオタチの拒絶の声が尚も嗜虐心を煽り、無意識にナカを嬲る速度が上がる。
ココだけは存分に濡らさねば。何故なら俺の男根は他の個体と違い、異形そのもの―――自らの尻尾さながらに存分に蠢き、尚且つ三叉に分かれているのだから。現にも強く鼓動を打つソレは、今にも理性を突き破ろうとせん勢いで勃ってきている。

雌孔から溢れる苦くて甘美な蜜が味覚を刺激する中、心惜しいながらも舌を離し、指を幾本か突き入れてそこから何度も折り曲げる。今度は悲鳴ではなくて甘い嬌声だった。その反応に嬉しく思い、ぐいぐいと弱い箇所で曲げると拘束された太腿がビクリと跳ね上がった。その間にも唾液と入り混じった愛液は重力に従って体内から溢れ出し、後孔をも濡らしてゆく。
だめ、そこは、舐めないで。相変わらず拒絶の言葉だったが、何処かしら艶を帯びてきている。

「…そろそろ良い頃合いだな」

ずるり、と指を抜くと、彼女の花弁は今にも埋めてくれるモノを求めるかの如く脈動していた。言葉では嫌がっていても、コチラは先程の愛撫で雌としての本能に逆らえないのか。ならばこの俺が答えてやろう。彼奴レザーバックとはまた違った感覚を。
突然止まった愛撫を訝しがる反面、何をされるか分かったオオタチが驚愕に目を見開くも、既に後の祭りだ。拒絶の声を潤滑油に雌孔には二本、後孔には一本と男根を埋めてゆく。腰を動かさなくても、俺の気分一つでモノを動かせば違った感覚を与えられる。

「い、嫌あぁあっ!スラターン、様ぁ!やめてぇ…!抜いて、抜いてくださいぃ!」

俺の名前を呼び、拘束された躰を波打たたせながら絶望と快楽で泣き叫ぶ拒絶する姿すらも、何もかもが愛おしい。時々レザーバックの名前を呼べば胎内をぎりぎりと押し広げ、掻き回されると雄叫びのような声が上がる。そのケダモノじみた嬌声に、ぞくりと恍惚が体中に走った。
何度もぐぽぐぽとナカの胎動を味わっている内、やがてオオタチは少しの冷静さを取り戻したのか、淫靡に喘ぐ唇を必死に動かしながらこちらに問いかけてきた。

どうして、こんなことを。

答えは簡単だ。涙で濡れた頬をつっと撫で摩り、部下達には一生出さないであろう優しい口調で返す。

「君が、俺を誘惑して已まないからだ」

普通の雌の個体では挿入しようものなら壊れてしまうこの異形の男根を完全に受け止められるのは、目の前で組み伏せられて喘ぐしかない彼女だけだった。俺が本当は番になるべきだったのに、創造主は地上人の造った人形共に対抗するべく急遽レザーバックという雄の番を創り、交合わらせた。
相性としては完璧だったのだが、納得がいかなかった。少し俺の完成が早ければオオタチは地上に駆り出される事もなかったのに。まして、彼女に宿した子供も巻き込まれる事もなかったのに。

湧き上がる嫉妬を振り払いつつ自在に動く男根が胎内の一番弱い所を強く舐った途端、オオタチの声から一際断末魔の如し絶叫が上がると塞がれた二孔が何度も蠕動し、内部に絶え間ない白濁の海を成していった―――。

 
 

「あっ………!!」

骨の髄から抑えようのない熱が立ち込め、躰が仰け反ると同時に三叉の男根から白濁が奔出された。それに合わさり、雌孔と後孔に埋まっていたライジュウのモノがナカでびくびくと、なけなしの白濁を分泌させながら力ない痙攣を繰り返す。醒めゆく恍惚の中でゆっくりと目を開けた先にはオオタチの姿などなく、見慣れた天井と部屋が真っ先に視界へ入り込んできた。

彼女を抱いていた妄想から意識が現実へと覚めつつある中で背後の息遣いが耳障りに感じ、俺の下で“奉仕”をさせていたライジュウを振り向きざまに見下ろした。その様子は文字通り息も絶え絶えで、奴の裂けた口から露になった牙からは絶え間なく呼吸が漏れており、普段の能天気さに反して鍛え上げられた胸筋は汗だく、尻尾一つ動かすのも困難といった所だろうか。

「すらたーん、様っ…これ以上はムリ……」
「………チッ」

オオタチを想っている内に慾を抑えきれなくなり、ライジュウ本人の同意そっちのけで部屋に呼んだものの、気分を上げるために奴のマスクを引き剥がして狂乱化させても3、4発位で疲れが見え始め、今ではこの様だ。俺の護衛が聞いて呆れる。溜め息を吐きつつ、ずるりと白濁を引きながら自ら腰を上げると、俺の足元に落ちていたライジュウのマスクを持ち主の横に投げつけた。その時奴は正気に戻ったのかビクリと体が跳ね上がり、偶然にも俺と目が合った。

「興覚めだ、行け」

半ば不機嫌交じりに吐き捨てると、仕置きを受けると勘違いしたのかライジュウは慌てた様子でマスク片手にこちらを何度も確認しながら寝台から降り、寝台の下に落ちていた服を取ると、疲れからか覚束ない早足でこの部屋を去っていった。
一人残されると淫靡な匂いが部屋中に立ち込めたが、行為の後処理はスカナーにでも任せれば良い。どうせいつもの事なのだから。
ライジュウに貫かれている間、そして今も俺はずっと思いを馳せ続けていた。オオタチの恐怖と快楽に歪む顔、震えながら紅潮した肌、そして、まだ自分が最終兵器カテゴリー5として創られている間に同調越しで見た光景―――オオタチと、その番であるレザーバックが子を生すべく創造主に宛がわれた小さな一室で行為に及んでいる様を。
回想している内に再び雌孔がジクジクと疼き出し、萎えかけていた三叉の男根が再びうねうねと動き出す。自然と吐息が漏れる中、ひとつ舌なめずりをすると、ぽつりと呪詛の如く呟いた。

「俺は君を絶対に諦めんぞ……オオタチ」