面接試験 5/5

あれから―――メカゴジラ達の作業により救助作業は短時間で終わり、その中で事故に巻き込まれた隊員達に死亡者はおらず、全員が軽傷止まりで済んだ。
本部の修復に関しては、メカゴジラが全ての責任を被るとして作業に当たり、建設業者と交じって日中夜問わずひたすらに働いた。

 

そして数日後の夜―――。

「お疲れ様です先輩。今日も異常なしでしたよ」
「隊長、明日もゆっくり休んでて良いからね?」

「あぁ、悪いな。しかし、流石に体中が痛ぇわ~…」

メカゴジラの私室。机の上に機械怪獣用プロテインが置いてあったり、カーペットの上に書類が放り出されていたりと隊長の立場なのに乱雑に散らかっていて、歩くにも気を使わなければならない位だ。
そしてとうの部屋主は帰って早々ソファーに寝転がっており、筋肉痛に悶えつつモゲラ達に介抱を受けていた。

「しかし先輩、たまには片付けて下さいよ。これじゃ踏み出しづらいです」
「いいじゃんか、それ位目ぇ瞑っててくれよ機龍。ところでアイツは、今どうしてる?」
「ジェットジャガーのこと?今オイルを汲みに行ってるよ。隊長が復帰するまでしばらくお手伝い係だって」

のっけから問題を起こしたジェットジャガーは今では三人とすっかり打ち解けており、中でもモゲラは「まるでヒーローみたい」との印象を抱いたためか、彼との良き遊び相手となっている。

「そんな立場なのか…随分予定がズレ込んだ事だし、早いとこ稽古つけてやらねぇとな」
「そうですね。あ、来ましたよ」

言葉が止まった直後足音が近づき、ドアの前で止まる。

「どうぞ」
「ハイ」

機械的な返事と共に、件の人物(?)ジェットジャガーが入ってきた。彼の姿はエプロンを付けており、両手にはオイル用カップが三つ入ったステンレス製のプレートを持っている。
ただ、相変わらずあのスマイル故に不釣り合いに見えるが、これもご愛敬だろう。

「隊長、皆サン、飲用オイルガ入マシタ。ドウゾ」
「ん…?お前喋れるようになったのか?」
「うん。隊長が本部を直しに行ってる間、僕達とコミュニケーションが取れるように人工声帯を付けてもらったんだ。何時までもジェスチャ-や電子音とかじゃ全然わかんないもん」

俺の見てないところでそんな事が起きていたとは。驚きと感心を隠しつつオイルを一口飲んだ。
作戦会議中と仕事が終わった後にいつも飲んでいる味だったが、疲労困憊の自分にとっては熱さや慣れた味わいですらも格別に感じた。

「ありがとな、ジャガー。疲れが和らいだよ」
「恐縮デス。モゲラ君モドウデスカ?」
「とっても美味しいよ、ありがとう!」

流石はお手伝いロボットという所か、汲み方が上手だ。機龍すらもコクを愛でつつ時間をかけて嗜んでいる。
このまま寝ていればこの極上美味なオイルが味わえる。しかし、一方でメカゴジラはある決意を秘めていた。

 

―――あの無口だったジェットジャガーが喋れたんだ、俺も隊長としておちおち寝てられねぇな。

オイル用カップを片手にメカゴジラは痛む体を起こしつつ、ジェットジャガーに目を向ける。その様子にモゲラと機龍は驚いたように息を呑んだ。

「先輩、まだ寝てなきゃ…」

「っ…良いんだお前ら、こんなの敵怪獣に痛めつけられた時に比べたら、まだマシな方さ。さてジェットジャガー、お礼と言っちゃなんだが明日から早速訓練だ、ビシバシ行くぞ!」
「隊長……ハイッ!ヨロシクオ願イシマス!」

良い返事だ。人工音声でも判る高らかな決意に、メカゴジラとジェットジャガーはお互い顔を向かい合わせると、さも決心を固めるかのように親指を立てたのだった。

 

 

 

 

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